マガジンのカバー画像

主治医のUI/UXデザインTips集

28
デジタルプロダクトのUI/UXだけでなく、モノやコトの体験にまつわるTipsも配信していきます。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

リマインドメール。しばらく知らせないけど戻ってきてね

語学学習アプリで学習をサボっていると、「見てないみたいだから、しばらくお知らせをやめるね」といったメールが届くことがあります。このメールを受け取ると、見放されそうな気持ちになり焦ります。最後通告のような内容なのに、「しばらく」と書いて関心をつなぎとめようとするなんて、人間味にあふれていますよね。 学習記録が消えるわけではないのに、すべてが失われるかもしれないと錯覚してしまうのは、サンクコスト効果です。離脱しそうなユーザーを引き止める手法として、これほど巧みで嫌味を感じないも

多すぎるメニュー。目的のものを毎回探すつらさ

アプリに機能が増えて便利になるのはありがたいですが、そのせいでトップ画面がボタンで覆いつくされたようなアプリがありますよね。 自分の知りたい情報のありかを、ボタンの位置で覚えているユーザーもいます。しかし、この手のアプリはとにかく機能を追加していくため、ボタンの位置はあてになりません。 デザインの世界では、引き算が一番難しいと言われます。プロトタイプでも良いので、足し算発想を禁止して再出発してみてください。足せないので引くしかなくなります。そのチャレンジはきっと報われるは

ボトル・ラベルデザイン。似すぎていて入れ間違える

シャンプーとコンディショナーのボトル・ラベルデザインは、デザイナーの腕の見せ所です。しかし、似すぎたデザインの製品も多く、詰め替えを間違えたことが何度かあります。 SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に当てはめると、詰め替えパックは「つくる責任」、入れ間違えは「つかう責任」です。 同じ地球に住み、恵みを分かち合うファミリーとして、消費者が「つかう責任」を果たせるよう、もっと見分けやすいデザインを目指してほしいと願っています。 注)主治医はパッケージデザイナーでは

アラート。なかなか消えず集中力が飛ぶ

アプリを使っていて「〇〇しました」のようなポップアップが表示されて消える場面を見たことがあると思います。控えめなアラートとしてよく活用されているものですね。 しかし、このポップアップがなかなか消えないアプリを見たことがありませんか?ほんのわずかな時間でも、次の操作の準備をしているときにこのポップアップが表示されていると、非常に邪魔に感じられるはずです。 ユーザーが短期的に覚えておける情報は限られています。控えめであるはずのアラートが、実は操作の妨げになっているかもしれませ

キャッシュバック。手間がかかりなかなか戻ってこない

ディスカウント価格でホテルを予約できる、あるアプリでは、後でキャッシュバックされる仕組みのため、ホテルではいったん正規価格を支払う必要があります。 ここに巧妙な罠があります。まず、キャッシュバックの申請はすぐにできません。やっと申請できても、毎回情報を入力し直さなければならず、キャッシュバックはかなり後になります。これは、いわゆる「ダークパターン」です。申請のハードルを高くすることで、諦める人が出るのを狙っています。 しかし結局のところ、自分次第です。手間を惜しまなければ

カップ麺。調理時間とお湯の量が分かりづらい

全世界で年間約1,000億食も消費されるインスタントラーメン。お湯を入れて数分待つだけで、サッとおいしくお腹を満たせる国民食といってもいい食べ物です。 しかし、毎回思うのは調理時間とお湯の量です。「なぜ?」というくらい、パッケージの隅っこに小さい文字で印刷されていることが多いですよね。調べてみると、実際に「分かりづらい」という声が上がっていて、改善に取り組んでいるメーカーもあるようです。その改善後パッケージを見てみると、どうしても主役であるラーメンのビジュアルは崩したくない

爪切り。カーブが凄すぎて爪が切れない。

テコの原理が効きそうなデザインなのに「なぜ切りにくいんだろう」と不思議に思いました。 理由はテコ部分の高さにありました。カーブがあり、約45度まで上がります。このカーブのお陰で持ちやすいですが、高さがあるために大きく手を広げて持つ必要があるんです。この持ち方を続けると疲れるので、無意識に力が入って刃を閉じてしまう。だから上刃と下刃の間に爪がなかなか入らない、切りにくいということが起こっています。 爪を切るための製品なのに、切りにくいなんて本末転倒ですね。デザインが良いだけ

スマホ通知。全部読まないとマークが消えない

日々の生活を快適にするスマホの通知。煩わしい通知マークに悩まされたことはありませんか? よくあるのは、お知らせをすべて読まないと通知マークが消えないアプリです。関心のない情報でも、通知マークが消えないので読むしかない。これが続くと、ユーザーはそのアプリの通知をOFFにし、いずれアプリを削除するかもしれません。 通知は、例えるなら電話中の人に割り込んで話しかけるようなもの。その必要があるかどうかは内容次第です。例えば、通知をまとめて既読にできるボタンを置くなどの工夫が有効です

サービス連携。連携失敗でキャラが笑う

他社サービスとの連携でいろいろと便利になる、あるアプリ。アカウント登録時に、別の場所で発行されたパスワードが必要なのですが、パスワードを入力せずに先に進めてしまいます。これは、多くのユーザーがパスワードを把握できていないことを示唆しており、その救済措置だと思いますが、個人情報を取り扱うアプリとして、本人確認が十分でないことが心配です。 サービス連携を試みると「アプリが起動できない」というエラーメッセージが表示され、マスコットキャラクターが笑っています。 笑ってはいけない場

歯磨きセット。自立最優先、出し入れ大変

自立することを重視しすぎましたね。筒状のビニールケースは、口がどうしても内側に戻ろうとするので、中身の出し入れが大変です。歯磨き後の濡れた手で、ケースを広げながら歯ブラシを戻す。やってみると分かりますがなかなか難しいです。衛生的にもあまり気持ちの良いものではないですね。 例えば、ファスナーを上部に移動するのはどうでしょうか?「自立する・出し入れ簡単・どっちが上かすぐわかる」。製造工程が変わるとは思いますが、形については大きく変えずに済むと思うんです。 注)主治医はプロダク

アプリの顔認証。迷惑かもしれないタイミング

スマホに顔を合わせるだけでログインできるなんて、便利な時代になりましたよね。でも、アプリ起動直後に始まるタイプの顔認証は、いつ反応するか予測できず、結局スマホから目を離せません。これでは「スマホ歩き」から「スマホ立ち止まり」になってしまいます。 顔認証は便利。しかし、ユーザーが認証のタイミングを自分で選べるほうが場合によっては適切です。ボタンをタップする手間は増えますが、突然立ち止まって後ろの人に迷惑をかけるよりマシですよね。アプリの利用シーンを想像して、最適な方法を選びま