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主治医のUI/UXデザインTips集

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デジタルプロダクトのUI/UXだけでなく、モノやコトの体験にまつわるTipsも配信していきます。
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インフィニットスクロール。元の位置に戻らなくてイライラ限界

途切れなくコンテンツが表示されるインフィニットスクロール。多くのアプリで活用されるUXの王道です。しかし、ある課題に気づいた方も多いはず。 例えばECサイトで商品を探していて、詳細画面から戻ると元の位置に戻らない経験はありませんか? これが多発すると、多くのユーザーは探すのを諦めてしまいます。 実は、元の位置に戻すことは技術的に可能です。実現しているアプリがたくさんあるのが何よりの根拠です。 アプリやサイト開発者の方々へ。この問題を放置すると、どれだけ魅力的な商品やコン

スマホケース。巨大なアフターマーケットを創出

スマホのルックスを自分好みにカスタマイズできるスマホケース。さまざまな素材、色、デザインのものが世の中に溢れています。 現代の技術で滑らないスマホの製造は可能なはずです。しかし、あえてそうしないのは、スマホケースという巨大なアフターマーケットを創出するためかもしれません。 この市場は2023年には世界で約300億ドル規模に達し、Casetifyのような成功例も生み出しています。保護機能や個性化のニーズを満たすだけでなく、新たな雇用も創出しているのです。 控えめに言って、

音楽アプリ。尋ねてもいないのにしつこくリコメンド

多くの音楽アプリには、ユーザーの試聴履歴を元に自動でプレイリストを作る機能が搭載されています。 気が利くなと思うこともあれば、余計だなと思うこともありませんか。 例えば、たまたま90年代のヒット作を聞いたとします。そのタイミングで90年代のプレイリストを作ってくるようなアプリは、「これも聞きたいでしょ?」と尋ねてもいないのにしつこくリコメンドしてくる人と同じだと思うんですよね。 皆さんはどう思いますか。 役割音楽アプリの自動プレイリスト機能は、ユーザーの試聴履歴を分析

アナウンス。過剰すぎて判断力を鈍らせる

日々の通勤や移動で、繰り返される公共交通機関のアナウンスに違和感を覚えたことはありませんか? 初めての利用者と毎日の利用者の両方に配慮しようとする意図は理解できます。しかし、「お忘れ物のないようにご注意ください」といった頻繁な案内に、過剰に反応してしまうこともあるでしょう。 利用者の安全と快適さを追求する一方で、個人の判断力を尊重することも大切です。ますます便利になる現代社会だからこそ、利便性と自律のバランスを見直す時期ではないかと感じます。 公共サービスの在り方につい

カーナビアプリ。早いルートに一定時間で自動切り換え

カーナビアプリで、交通状況に応じてより早いルートを案内してくれることがあります。その後のアクションの提示方法はアプリによってさまざまです。 私が見た中で最も秀逸なのは、早いルートに切り替えるかどうか選択肢を提示しながら、一定時間経過したら自動的に切り替えるパターンです。運転中のユーザーに配慮したデザインですね。 個人的には確認不要で切り替えて欲しいですが、これが多くの人に受け入れられるベストプラクティスだと思います。 役割カーナビアプリの重要な役割は、ドライバーを目的地

詰め替えウェットティッシュ。2枚目のティッシュがついてこない

汚れを手軽に拭きとれるウェットティッシュ。皆さんの生活でもよく使われていると思います。 中身が無くなったらケースを再利用し、詰め替えパックを買うのが一般的ですが、中身を入れた後、1枚目をケースの取り出し口へ通すのが難しく、やっと押し込んでも2枚目がついてこないことが多くてストレスを感じます。 この問題、皆さんはどう対処していますか。 注)主治医はプロダクトデザイナーではありません。UI/UXデザイナーから見た考察となります。 役割ウェットティッシュは、私たちの日常生活

通知バッジ。お知らせがないのに気を引くニセ通知

ユーザーにお知らせがあることを知らせるバッジ。アイコンの右上に赤い丸で表示されることが多いものです。 通知がある、ということだけを丸ドットで示すパターンもあれば、通知の件数を楕円で囲って示すパターンもあります。 後者において、通知が1件もないときに「0」と表示されるアプリがありますが、やめたほうがいいですよ。なぜなら、通知がないならユーザーの気を引く必要がないからです。 実生活で特に用もないのに人に声をかけるようなことは普通はしませんよね。そういうことです。 役割通知

冷感インナー。トップスからはみ出てみっともない

冷感インナーがすっかり定着しましたね。特に夏に着用する場合、ワイシャツやTシャツの下に使うことが多いかと思います。 しかし、男性用のものはインナーの襟元がトップスからはみ出て目立つものが多いです。女性用のものは襟元がU字型にカットされるなど工夫がみられますが、男性用は一向に改善される気配がありません。 そもそもインナーとして売るなら、性別問わず「中に着るから外から見えないで欲しい」という役割をしっかり果たして欲しいと思うのは私だけでしょうか。 注)主治医はプロダクトデザ

アップデート。タイミングを選べて安心

昨今、アプリのアップデート手段には自動、手動、サイレント、強制などがあります。不具合のリスクから、慎重なユーザーは手動アップデートを選ぶことが多いでしょう。 そんな中、優れたアップデート方法を採用しているデスクトップアプリがあります。控えめに通知を行い、適用タイミングをユーザーが選べるのです。強制的なアップデートはなく、ユーザーのアクションでのみ実行されます。 これは現段階でのベストプラクティスの一つですが、アップデートしないリスクもあることを忘れずに。アプリのタイプに応

パワーウィンドウ。中央に配置されていて探してしまう

パワーウィンドウ(ウィンドウの開閉スイッチ)が中央に配置されているクルマがあります。私もこのタイプのクルマに乗っていますが、何年たっても窓側を探してしまうんですよね。 クルマの設計知識は乏しいですが、私が内装デザイナーなら、スイッチはドア側につけます。なぜなら、スイッチと連動して動く窓の近くに配置したほうが、直感的に操作できるからです。 しかし、クルマは美的外観が購買意欲に直結する製品の一つです。理詰めで作って良くなる保証がないとしたら、操作性を多少犠牲にしてでも感性に訴

個人情報提供。あなたは選ばれた人という特別感演出

ユーザーからフィードバックを得たいときに「製品の精度向上のために少人数の方々にご協力をお願いしています」というメッセージを一時的に表示するアプリがあります。 ユーザーはこのメッセージに同意することで個人情報の提供を約束することになりますが、「少人数の方々に」という言い回しが「自分が選ばれた特別な存在だ」という感覚を与え、個人情報が企業に渡るリスクをうまく隠していると言えるでしょう。 しかし、この手のフィードバックは匿名化されて送信されることがほとんどなので、実際にはほぼ無

ストローレスリッド。ストローを使う人が減らない

コンビニやテイクアウトできるコーヒーショップで見かけるようになったストローレスリッド。飲み口付きの蓋でストローを使わずにドリンクを飲むことができます。プラスチック削減を目的としたSDGs観点から注目を集めているこのリッドですが、ストローを求める客が減らず、採用の取りやめを検討する店舗があるそうです。 ストローレスリッドの課題の一つは中身をかき混ぜられない点です。これはストローを求める客が減らない要因の一つでしょう。また、「映え」するドリンクではデコレーションされており、結局

アルミチューブ。穴が開いてクリームが漏れる

アルミチューブのクリームは、折りたたんで使っているうちに角に穴が開いてクリームが漏れてきますよね。 アルミが無限にリサイクル可能な材料であること、内容物を保護するのに最適なことは知っています。しかし、カバンの中でクリームが角から出ていることがたびたび起こると「またか」とうんざりします。 その素材や製法がサステナブルだとしても、漏れてクリームが無駄になるとしたら、エシカルではありませんよね。もしチューブを他の破れにくい素材を使い、サステナブルな製法で一新できるなら、私は価格

Escキー。書いている内容が全部消えた

つい先日、キーボードのエスケープキー(Escキー)をうっかり押したら、書いている途中の内容が全部消えてしまいました。 Escキーは操作をキャンセルするためのキーとして認知されていますが、その役割がユーザーの期待する結果と一致するかどうか良く想像してください。「作業内容をすべて消える」というのは明らかに期待を裏切る挙動です。ユーザーがそこまでに費やした労力を一瞬で無力化するからです。 だから今回は厳しく言います。今すぐに修正してください。ユーザーは決して許してくれませんよ。