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アラート。なかなか消えず集中力が飛ぶ

アプリを使っていて「〇〇しました」のようなポップアップが表示されて消える場面を見たことがあると思います。控えめなアラートとしてよく活用されているものですね。

しかし、このポップアップがなかなか消えないアプリを見たことがありませんか?ほんのわずかな時間でも、次の操作の準備をしているときにこのポップアップが表示されていると、非常に邪魔に感じられるはずです。

ユーザーが短期的に覚えておける情報は限られています。控えめであるはずのアラートが、実は操作の妨げになっているかもしれません。もし思い当たるならば、今こそ見直すタイミングですよ。


役割

ポップアップ通知は、アプリケーションにおいてユーザーに重要なフィードバックを即座に提供するための手段です。これらの通知は、例えば、「データが保存されました」や「設定が更新されました」のように、操作が成功したことや特定のアクションが完了したことを知らせるために使用されます。

控えめなアラートとしてデザインされることで、ユーザーの注意を引きつつも、操作の流れをあまり妨げないようにする役割を果たします。適切に設計されたポップアップは、ユーザー体験を向上させ、アプリの利用効率を高めます。

課題

しかし、ポップアップ通知が適切に管理されない場合、ユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、ポップアップが表示されたまま長時間消えない場合、ユーザーの次の操作を妨げ、フラストレーションを引き起こすことがあります。

これは、インターフェースの視覚的な負荷を増加させ、ユーザーが必要な情報を迅速に見つけられなくなる原因となります。また、認知バイアスの一つである「情報過負荷(Information Overload)」により、ユーザーは表示される情報を処理しきれず、重要な情報を見逃すリスクがあります。

これらの課題は、ユーザビリティの原則である下記に反しています。

  • ユーザーのコントロールと自由度(User Control and Freedom)

  • 柔軟性と効率性(Flexibility and Efficiency of Use)

  • エラー防止(Error Prevention)

リスク

ポップアップ通知が適切に設計されていない場合、以下のようなリスクが考えられます。

  1. 操作の妨げ
    ポップアップが長時間表示されると、ユーザーは次の操作を行うための視界やスペースが遮られ、操作効率が低下します。

  2. ユーザーのフラストレーション
    頻繁に表示されるポップアップは、ユーザーにとってストレスとなり、アプリの全体的な使い勝手に対する不満を引き起こします。

  3. 操作ミスの誘発
    ポップアップが表示されたままの状態では、ユーザーが誤って他のボタンをクリックする可能性が高まり、操作ミスを誘発します。

  4. タスク完了時間の延長
    ポップアップがすぐに消えないことにより、ユーザーの認知負荷が不必要に消費され、タスクの遂行を妨げる可能性があります。

  5. ユーザー離脱
    繰り返し不快な体験をすることで、ユーザーはアプリケーションの利用を避けるようになり、最終的には離脱する可能性があります。

解決案

ポップアップ通知のユーザビリティを向上させるためには、以下のような対策が有効です。

  1. 表示時間の最適化
    ユーザーが情報を認識するのに十分な、最小限の時間だけポップアップを表示する。

  2. ユーザーによる制御
    ユーザーがポップアップ通知を手動で閉じることができるオプションを提供します。これにより、ユーザーが自分のペースで操作を進められるようになります。

  3. 非侵入的なデザイン
    ポップアップ通知のデザインをシンプルかつ非侵入的にし、ユーザーの視線や操作を妨げないように配慮します。透明度を調整したり、画面の隅に配置することで、視覚的な負担を軽減します。

  4. 代替通知方法
    重要でない情報は、別の方法(例:ステータスバーの小さなアイコン)で通知する。

これらの解決策は、「マイクロインタラクション」の概念に基づいています。これは、単一の用途や目的のために設計された小さな対話や操作のことで、ユーザー体験を向上させる重要な要素です。

出典: Microinteractions: Designing with Details. O'Reilly Media. Saffer, D. (2013).

まとめ

ポップアップアラートの改善は、アプリの使いやすさと効率性を大幅に向上させる可能性があります。例えば、スマートフォンの音量調整バーが自動的に消えるように、ポップアップも必要最小限の時間だけ表示し、自動的に消えるようにすることができます。

また、ソーシャルメディアアプリが新しい投稿を小さなドットで表示するように、重要度の低い通知は非侵襲的な方法で表示することも効果的です。

このような改善により、ユーザーは中断されることなくスムーズにタスクを完了できるようになります。結果として、アプリの使用体験が向上し、ユーザーの満足度も高まるでしょう。

ポップアップの設計は、単なる情報伝達の手段ではなく、ユーザーとアプリのスムーズな対話を促進する重要な要素です。適切に設計されたポップアップは、ユーザーの操作を支援し、アプリの価値を高める強力なツールとなるのです。


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