多すぎるメニュー。目的のものを毎回探すつらさ
アプリに機能が増えて便利になるのはありがたいですが、そのせいでトップ画面がボタンで覆いつくされたようなアプリがありますよね。
自分の知りたい情報のありかを、ボタンの位置で覚えているユーザーもいます。しかし、この手のアプリはとにかく機能を追加していくため、ボタンの位置はあてになりません。
デザインの世界では、引き算が一番難しいと言われます。プロトタイプでも良いので、足し算発想を禁止して再出発してみてください。足せないので引くしかなくなります。そのチャレンジはきっと報われるはずですよ。
役割
アプリのトップ画面は、ユーザーがアプリを操作する際の出発点であり、重要な情報や機能へのアクセスを提供する役割を担っています。直感的なナビゲーションと整理されたインターフェースは、ユーザーが目的の情報を迅速に見つけ、タスクを効率的に完了するのを助けます。
トップ画面のデザインは、ユーザー体験の向上に直結するため、慎重な設計が求められます。
課題
アプリに新しい機能を追加することで便利さが増す反面、それらを闇雲にトップ画面に配置すると、ユーザーは必要な情報や機能を見つけるのが難しくなり、操作に時間がかかるようになります。
特に、ボタンの位置で自分が頻繁にアクセスする機能の場所を覚えているユーザーにとっては、新しい機能の追加によってボタンの配置が変わることがストレスとなります。このような設計は、ユーザー体験を損なう原因になりかねません。
これらの課題は、ユーザビリティの原則である下記に反しています。
一貫性と標準化(Consistency and Standards)
美的でミニマリストなデザイン(Aesthetic and Minimalist Design)
柔軟性と効率性(Flexibility and Efficiency of Use)
リスク
ユーザビリティの観点から、過剰なボタン配置は以下のリスクを伴います。
混乱とフラストレーション
ボタンが多すぎると、ユーザーはどこに何があるのか分からなくなり、混乱とフラストレーションを感じやすくなります。操作ミスの増加
ボタンの配置が頻繁に変わると、ユーザーは誤って別の機能を選択する可能性が高まり、操作ミスが増加します。学習コストの増加
新しいボタン配置に慣れるために、ユーザーは時間と労力を費やす必要があり、学習コストが増加します。
認知バイアスの一つである「選択バイアス(Selection Bias)」は、選択肢が多すぎるとユーザーが選択に悩み、満足度が低下する現象を示しています。
解決案
トップ画面のユーザビリティを向上させるためには、以下のような対策が有効です。
機能の整理と優先順位付け
最も重要な機能をトップ画面に配置し、その他の機能はサブメニューやタブに整理します。これにより、ユーザーは主要な機能に迅速にアクセスできます。ミニマリズムのアプローチ
必要最小限の要素だけを表示し、ユーザーの注意を重要な情報に集中させます。ミニマリズムは、過剰な情報を排除し、ユーザー体験を向上させる効果があります動的なナビゲーション
ユーザーの使用状況に応じてトップ画面をカスタマイズし、最も頻繁に使用される機能を目立つ場所に配置します。これにより、ユーザーは自分にとって重要な機能に迅速にアクセスできます。
まとめ
アプリのトップ画面の改善は、ユーザビリティを大幅に向上させ、ユーザー満足度を高める可能性があります。例えば、スマートフォンのホーム画面が最も使用頻度の高いアプリのみを表示し、他はアプリドロワーに収納しているように、アプリ内でも同様のアプローチを採用できます。
「引き算」のデザインは、例えば高級時計のように、必要最小限の要素だけを残すことで逆に価値を高めることができます。アプリでも、核となる機能に焦点を当てることで、使いやすさと同時にブランド価値を高めることができるでしょう。
プロトタイピングの段階で「足し算発想を禁止」するアプローチは、デザイナーやエンジニアに創造的な制約を課し、新しい解決策を生み出す可能性があります。例えば、スマートスピーカーのように、ボタンをなくすことで逆に使いやすさを向上させた製品もあります。
このような改善により、アプリは直感的で使いやすいものとなり、ユーザーは必要な情報や機能に素早くアクセスできるようになります。結果として、ユーザーエンゲージメントが向上し、アプリの長期的な成功につながるでしょう。
シンプルさを追求することは、単に要素を減らすことではなく、本質的な価値を明確にすることです。それは、ユーザーにとっても開発者にとっても、より良いアプリ体験への道筋となるのです。
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