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夜のカフェの憧れ。
いいなあ。。。。。
まだ夜の長さが身にしみる夕方6時前。
わたしは喫茶店を見回して心のなかで呟いた。
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ここにいる人たちの中で、これから晩御飯を作ったり、子供の宿題をみたり、食器洗ったり家族の洗濯取り込んでたたんだり、子供の相手をイライラしながらみたり、風呂掃除してお湯を沸かしたりするタスクのある方はどれくらいだろう。。。
見た感じ、みな子育てを終え自適に暮らしていたり、独身だったり学生の人だったり、お一人様の方っぽい人が多い。
いいよなあ。。。。
私の頭の中でかーえりたーくなーいのさよならマーチが鳴り響く。
今夜は鍋の予定だが、とことん作りたくない。
きって鍋に入れればいいから、と自分をなだめる。
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ゴッホの夜のカフェ、という作品がある。
酔い潰れている人や、男女の愛を酌み交わすもの、真夜中0時過ぎの田舎の人たちのもう一つの顔が描かれている。
ゴッホは堕落した人たちの様子を描いているらしいのだが、夜通し営業していたカフェ、というもの自体、なんだか魅惑的な印象を受ける。
学生の時分から、私はこの世界に憧れた。
酒を飲まないかわりに、コーヒーやちょっとした菓子やつまみで、たわいもない話を喋る夜。
もし、ワープするなら、この絵の世界のひっそりとあの奥の赤い席にすわり、延々と漫画の原稿を書いたり手紙を書いたりして夜を明かすだろう。
まだ独身の頃、漫画家志望のみんなと、漫画スクールの帰りに都内のカフェによって、終電まで漫画談義を喋り続けたことや、
コミティアの関係者の方にマンガのネームをみせて、一対一でやはりディープに作品作りについて夜のカフェで語ったこと思い出す。
それらはささやかながら小さな自分の青春の1ページだった。
今でもあの時と同じように夢を追いたい自分がいる。
しかし。
今は夜のカフェに入り浸ることは許されない。
ため息をついてライフでお夕飯の食材を買い、帰宅後娘の宿題をせかしながら、お風呂を用意し、洗濯ものを取り込み、大嫌いな食事作りに着手する。
夕べの4時間ほどの家事ですでにぐったり疲れて、もう風呂に入る気力がない。
寝るのもやたらと早く、10時すぎには娘と一緒にベッドルームで布団を被っている。
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風邪を引いてしまったのか、朝から喉が痛く、頭がぼんやりする。
明日はせっかく2月1日という始まりなのに、1月の重だるさを引きずってしまう恐れがある。
リセットの方法が思い浮かばず。
うつは続いている。
ちゃんとしたご飯が全然美味しいと思わない。
家族には提供して、自分はパンやグラノーラを食べていることが多い。
(ケロッグ博士は天才だ。。。さすが病中食でコーンフレークを発明しただけあって、食べたくないときに、コーンフレークやグラノーラは大変重宝する。
自分だけ3食グラノーラという日もざらにある。)
おまけに主人は面接に落ちてしまった。
家はじわじわともったり重い空気に包まれる。
前回の面接でも落ちてしまい、高い受験費用が一気に吹き飛んでしまった。
人生はうまくはゆかないなあ。。。。と思うことだらけ。
カフェで好きな作品に、
1944年に、ドアノーが撮影したボーヴォワールの写真がある。
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カフェ ドゥ マゴでは、いつも決まった席で文を書いていたボーヴォワール。
私はこの写真を見て、資料ノートを喫茶店でつけようと決めたことがある。
ボーヴォワールは日中文章を書いていたのだろうか。
ドアノーの写真の中でも大好きな日常の一場面の一つである。