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播磨陰陽道

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2022年5月の記事一覧

播磨陰陽師の独り・第二百八十八話「亡霊の知能」

播磨陰陽師の独り・第二百八十八話「亡霊の知能」

 亡霊の知能。何をさして知能と呼ぶのかは別として、亡霊は、少し頭が悪いです。これは生きている頃に比べてと言う意味です。同じ人でも、生きている時と、死んだ後では、知能そのものに開きがあります。
 亡霊には生きた脳がありません。人は脳だけで物事を考えている訳ではありませんが、知能の大半は脳の機能が生み出すものです。だからか、亡霊になると、少し知能が低くなるのです。
 亡霊は感情でのみ物事を考えます。し

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十七話「理想的な庭」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十七話「理想的な庭」

 わが家は小さな山の中腹にあります。家は庭に囲まれており、どの方向を見ても近くに山が見えます。西の方には隣県の山口県の山が見えます。山までの間に家が建っていますが、窪んだ場所に建っているため、わが家からはあまり見えません。ボーッと見ていると、山の中に家があるみたいな感じに見えます。
 南の庭には桜が咲いて、観賞用の草木が繁ります。西の庭は野菜の畑を作っています。カボスの木もあって、毎年、たくさんの

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十六話「ビデオデッキ」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十六話「ビデオデッキ」

 はじめて父親がビデオデッキを買ったのは、ソニーのベータマックが出たばかりの頃でした。まだVHSは発明されていません。
 当時、おまけでチャップリンのビデオテープが付いていました。もちろん、コピーされたものです。まだビデオソフトは発売されていません。生テープはかなり高かった覚えがあります。
 その頃の私は、毎日、チャップリンばかりを見ていました。最近でも、時々、YouTubeでチャップリンが見たく

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十五話「単一民族ではない話」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十五話「単一民族ではない話」

 わが国は単一民族の国家である……と言われています。しかし、それは誤解です。単一ではありません。少数民族と言う意味では、アイヌの人たちや、沖縄の人たちも存在しています。しかし、普通の日本人でも、実は単一ではないのです。
 単一民族と言うのは、日本人の遺伝子で作られている人々が、多くを占める国のことです。しかし、日本人の遺伝子と言うものがありません。日本人は複雑な混血種ですので、同じ民族の集まりでは

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十四話「ミジンコの卵」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十四話「ミジンコの卵」

 そろそろ壺池の季節となりました。ここ数年、庭に放置していた壺池は、落ち葉が積もって水中で土になりかけ、そのため、メダカも水草も死に絶えてしまいました。生き物が死に絶える主な原因は、酸素不足です。水草すら光が当たらず分解してしまいました。
 そこで、水を入れ替え、新たに水草を入れて作り直しました。これからミジンコを入れて水を浄化する訳ですが、今年は卵を入れることにしました。いつもなら、生体をネット

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十三話「流行りのアニメ」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十三話「流行りのアニメ」

 最近、海外で日本のアニメが流行っているようです。コロナのおかげでたくさん見られるようになりました。Netflixなどが全世界配信をしているため、外国でも日本のアニメを見られるのです。
 今、世界で流行っている作品は『パリピ孔明』だそうです。これは、三国志で有名な諸葛孔明が、現代の渋谷に転生するコメディです。原作はあまり売れておらず、アニメが放送されるまで失敗作と思われていたそうですが、いざ、放送

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十二話「ハワイの思い出」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十二話「ハワイの思い出」

 中学生の甥が生まれる前のことなので、もう15年近く前の話になります。甥の両親の結婚式でハワイに行きました。
 はじめてのハワイは、案外、楽しめました。ハワイはアメリカと言うより、ただの巨大な観光地でした。アメリカを感じることはありましたが、日本語だけでも十分に楽しめます。
 ハワイでは観光用の潜水艦に乗りました。どの種類の潜水艦でも、乗ったのは、はじめてでした。小さな船で沖まで行って、そこから窓

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十一話「霊はどう見えるのか」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十一話「霊はどう見えるのか」

 私は、先祖代々、生まれながらの霊能者です。霊が見えるのは霊感ではなく、〈霊視力〉のなせる技です。霊視力とは、霊的なものを見る力のことで、聞く力である〈霊聴力〉などもあります。
 このようなことを言うと、
「霊は、どう言う風に見えているのですか?」
 と聞かれます。どうもこうも普通に見えすぎて、霊だと分からないことが多いです。見えるのは生まれつきなので、物心がついた時から日常の風景の中に霊的なもの

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播磨陰陽師の独り言・第二百八十話「某国から来た人々」

播磨陰陽師の独り言・第二百八十話「某国から来た人々」

 ゲームの開発をしていた頃、C国やK国から、海を超えて勉強しに来ている人たちがいました。彼らは学生ではありません。また、それほど若くもありませんでした。
 C国から来た人々は、日本で言うと工科大学系の大学院の教授たちでした。自分たちで開発した『タングラムQ』と呼ばれるパズルゲームを売り込みに来たのです。ゲームはかなり時代遅れな感じでした。デザインも音楽も昔のC国の雰囲気が漂っていました。しかし、レ

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播磨陰陽師の独り言・第二百七十九話「ゲーム用人工知能」

播磨陰陽師の独り言・第二百七十九話「ゲーム用人工知能」

 ゲームの開発をしていた頃、いつも、
——何とかして、プレイごとにゲームの内容を変えられないものかな?
 と考えていました。寝ても覚めても考えていました。今から三十年以上も前のこと、AIの基本的な理論もなく、ツールもない時代の話です。
 そこで私は考えました。
——出現出来る敵キャラの数内で、戦略的なチームを作り、倒された順番で次に出現するチームを変えてみてはどうか?
 と。
 つまりはこうです。

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播磨陰陽師の独り言・第二百七十八話「大山旅行のこと」

播磨陰陽師の独り言・第二百七十八話「大山旅行のこと」

 ゲーム開発だった頃、二度目のボーナス旅行は真冬の大山でした。鳥取県の大山のことです。真冬だったこともありスキーに行きました。雪道を車に分乗して、チームで向かう途中、雪で道が分からなくなり、崖から落ちそうになりました。
「おぉ、危なかった。全滅するところだった」
 と安全を確認してから、皆で苦笑いしました。
 冬の大山は少し不気味でした。雪に埋もれる地蔵さんが並んでいる姿を見て、
——さすがは霊地

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播磨陰陽師の独り言・第二百七十七話「スタローンさん」

播磨陰陽師の独り言・第二百七十七話「スタローンさん」

 ゲームの開発をしていた頃の話です。当時、映画『ランボー2・怒りの脱出』が流行っていました。それで、映画会社と契約して、この映画のゲームを作ることになりました。その時、開発していたのが『怒IKARI』と言うゲームです。まだ契約が決まっていなかったので、〈怒りの脱出〉ではなく〈怒〉だけのタイトルを仮につけていました。勝手に作っていたのではありません。契約は順調に交わされていました。
 あの頃、そんな

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播磨陰陽師の独り言・第二百七十六話「ハリマオからの手紙」

播磨陰陽師の独り言・第二百七十六話「ハリマオからの手紙」

 妻の伯父は陸軍中野学校の卒業生で、義父の兄にあたります。中野学校とは今の中野区にあった陸軍のスパイ養成所のことです。ウキペディアによると、

——陸軍中野学校は、諜報や防諜、宣伝など秘密戦に関する教育や訓練を目的とした大日本帝国陸軍の軍学校で情報機関。かつての所在地は東京都中野区中野4丁目付近で、校名の中野は地名に由来する。偽装用の通称号は東部第33部隊。

 とのこと。中野学校は成績が優秀なだ

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播磨陰陽師の独り言・第二百七十五話「Nさんのこと」

播磨陰陽師の独り言・第二百七十五話「Nさんのこと」

 西成区で街づくりをしていた頃、時々、東京の某テレビ局に出張していました。そこでは、新しくコンピュータを導入し、デジタル・ビデオ編集をはじめたと言うことで、そのマシンの使い方などを調べたり、コンピュータの使い方そのものを教えに行っていました。
 そこで出会ったのがNさんと言うお爺さんでした。Nさんは、いつも楽しそうに座っていました。私がコンピュータをいじっていると、後ろに座り、話しかけてくれました

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