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播磨陰陽師の独り言・第二百八十七話「理想的な庭」
わが家は小さな山の中腹にあります。家は庭に囲まれており、どの方向を見ても近くに山が見えます。西の方には隣県の山口県の山が見えます。山までの間に家が建っていますが、窪んだ場所に建っているため、わが家からはあまり見えません。ボーッと見ていると、山の中に家があるみたいな感じに見えます。
南の庭には桜が咲いて、観賞用の草木が繁ります。西の庭は野菜の畑を作っています。カボスの木もあって、毎年、たくさんのカボスが生っています。
わが家の南の庭を理想的な庭にしたいと、常々思っていました。
理想的な庭……何と美しい言葉でしょう。わが家の庭に、この理想的な庭を作りたいと思っています。理想的な庭とは、春にはカエルが鳴き、夏にはセミの声、秋には秋の虫たちと、冬には野鳥がやって来る庭です。
この内、カエル以外は何とかなっています。
春にはサクラが咲き誇り、ウグイスも美しい声で鳴き続けます。
夏にはうるさいほどセミが鳴きます。
秋は虫たちが静かに鳴き続けます。
そして冬には庭にカボスが実を結び、野鳥たちがやって来ています。
さて、わが家の庭で、無事にカエルが鳴きました。しかし、鳴き声は一匹のみ。複数の鳴き声はありません。昨年の今頃、百匹のオタマジャクシを見つけて育てました。一年後の生存率は、わずか1パーセント。百匹いたので、一匹のカエルが生き残れば良い方です。
昨年、壺池で見つけたオタマジャクシは雨蛙のものでした。アマガエルは雨が降ると、その中を移動します。ただし、生まれた場所から移動しがちなので、なかなかひとつの場所に定着しません。しかも、体も小さく、外敵に食べられやすいのです。ある時は鳥に啄まれ、またある時はヘビやトカゲの餌食となります。そうやって、だんだんと少なくなります。
一方、トノサマガエルは生まれた場所にいつくので、いつまでも生まれた池に住んでいます。常に池の近くで暮らします。その点、アマガエルのように裏切りませんが、体が大きいので可愛くありません。トノサマガエルも欲しいですが、とりあえずアマガエルが増えて欲しいです。
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