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播磨陰陽師の独り言・第二百八十六話「ビデオデッキ」
はじめて父親がビデオデッキを買ったのは、ソニーのベータマックが出たばかりの頃でした。まだVHSは発明されていません。
当時、おまけでチャップリンのビデオテープが付いていました。もちろん、コピーされたものです。まだビデオソフトは発売されていません。生テープはかなり高かった覚えがあります。
その頃の私は、毎日、チャップリンばかりを見ていました。最近でも、時々、YouTubeでチャップリンが見たくなります。iMovieでもチャップリンの短編映画を買っているので、いつでも見れます。
あの頃は、白黒テレビから総天然色になったり、ビデオデッキが発明されたりで、映像を取り巻く発明にワクワクしていました。
——いずれは立体テレビになる。
とか、
——壁掛けテレビが発明されるのも、もうすぐだ。
と言われいました。
まだブラウン管しか見たことのない時代です。児童会館へ行ったら、実験用のテレビ電話もありました。今では、あの頃、夢に見た未来のテレビのすべてがあって、そのかわり、ブラウン管はなくなりました。少し歪んだ画面を懐かしく思います。
そう言えば、SF映画『ブレードランナー』の中のテレビ電話も小さなブラウン管でした。あの頃は、ブラウン管以外のテレビは考えられなかった時代です。まさか、液晶が発明されるなんて、思ってもみない頃のことです。ほとんどのSF映画の宇宙船には、ブラウン管のモニタが搭載されていました。
液晶が発明されてからのSF映画は、驚くほど近未来的になりました。しかし、それも現実の日本の方が近未来的と感じる外国人が多いらしく、観光に一役買っています。
チャップリンと言えば、何かの災害があると、必ずチャップリンのコスプレをしたお爺さんが現れます。阪神大震災の時にも、この姿のボランティアのお爺さんが現れました。頻度で言うと、災害の時に現れる牛女くらい出現しているようです。牛女は化け物ですが、チャップリンのコスプレお爺さんは、現実の人です。チャップリンの姿をして、パントマイムをしています。何かの災害が起きると、必ずこのお爺さんが現れます。しかし、最近は見なくなりました。引退したのか、残念です。
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