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星と鳥と風たち

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#短編小説

星と鳥と風~21 旅は道連れ

【旅は道連れ】

親愛なる旅のアテンドマンKが
この言葉を呪文のように唱えて
男3人の旅先は無事に確保されていった

元々Kの家は私の旅の帰り道でもあって、今回の音楽イベントの帰りに寄るつもりではあったが、(ここであったが3年目)急遽【旅は道連れツアー】が、前のめりで始まった。朝、イベントで出会った皆んなやパートナーと再会の約束を果たし、別れた後、我々はまず
とある高山にある神社にお参りをしに行っ

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星と鳥と風~20 旅人-2

つい昨日まで私は友のアテンドの元、旅の【流れ】に乗っかって、漂うるだけ漂いながら一緒に旅を楽しんでいた。

音楽イベントでも一緒で、アテンドもしてくれた、私の大事なbrotherである(K)は友達の(I君)と一緒に来ていた。会場目の前の海で、私は銛を持って素潜りをしていたのだが、気がつくと私のすぐ横で2人も海で泳いでいた。

(おーい!星!)
手を振るKと、ペコリと挨拶をしてくれたI君に、私もペコ

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星と鳥と風18~星のパラレル

【そして私は江戸時代にいた】

目の前には身長180cm程のすらっとしていて男前な男が立っていた。
髷と紺色の着物、腰に刺している日本刀。
裾からのびた筋肉質な二の腕は、過去に鋭利な刃物で切られたような傷が無数に見える。 

そして

その男には嫁がいた。
だが、男はその嫁を殴ったり
蹴飛ばしたり
悪態をついては憂さ晴らしに
外に快楽を求めて出掛けるような男だった。

酒を飲み
女を抱き
博打を打

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星と鳥と風17~星とビンギ


もう少し
あともう少しだけ時間を下さい
あの人に、まだ伝えたい事がある


プルルル【iPhoneの着信音】
「もしもし、どうした?」

「今大丈夫?」

「今、休憩中だよ。どうしたの?」

「そっか..あのね」
「今、ビンギが召されたわ」

「...」

「穏やかな最後だった」

「…」

「でもやっとビンギが苦しまなくて済む」
「今日のこの日まで待っててくれたのかな...」
(この日は彼

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星と鳥と風16~鳥とビンギ

信じるという事は生きるということか
目に見えない事実に時が重なり
紡ぎ出す光なのか
どちらにせよ
私は
【ビンギ】
という存在を信じ
今この瞬間
灯火を灯している
真っ暗闇の海の上で
大事な人が
道に迷わないように
そのまたとない
命を燃やして
道を示す
不器用な男の
不器用なりの愛と
小さくとも大きなその夢に
風が応えて
時空を超える

2003年、5月頃、彼女は友人達と、
【とあるお祭り】

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 星と鳥と風15~星と鳥2

誰が仕組んだ人生なのか?
 これが自分が望んだ未来なのか?
カルマか?
ドラマか?
どっちだっていい
神様がいるのなら
少しばかりの間
応えて欲しい
そして僕らの
生きる様を
ほんのもう少し
見守っていてほしい

私の住んでいる九州は、先日、梅雨入りをした。
これを書いている間も、外では、滝のような雨と、怒り狂った雷が、けたたましく鳴っている。こんな日は、私は、彼女と出会ったあの日を思い出す。

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星と鳥と風11~鳥と私 1

【そういえば、これは私の愛の物語でもあった】

あの日は記録的な大雨で
おまけに雷がけたたましく山に響いていた。
(絶対近くに2、3発、雷が落ちてたと思う)
当時住んでいた家は山間部で
家の裏はすぐ山で
雷が鳴るたびに
うっそうとした森がハッキリと映し出された。
そんな日に、彼女

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星と鳥と風9~ナイトナース

前回
小学校卒業までのざっくりすぎる流れを書いたのだけれど、【おまけ】でもう少し
小学校時代を回想しようと思う。

あれは激しく暑い夏の日だった。
僕は朝から隼人と一緒に僕の実家にいて
庭でサッカーをして遊んでいた。

家には休みの親父が【トド】のように寝そべって、TVを見ていたのだが
急に親父のポケベルが、けたたましく鳴り響いた。
それと同時に飛び起きた親父は
僕らに

「おい!クソガキ共!海に

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