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何度でも読み返したいnote4

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。 こちらの4も記事が100本集まったので、5を作りました。
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2022年10月の記事一覧

結婚前夜と麻婆豆腐。 #KUKUMU

気だるさの正体は空腹だと薄々わかっていながら、気づかぬふりをしていた。2021年、緊急事態宣言下の夏の夜。飲食店はどこも20時で閉まる。 今から外に出たところで、どの店に入ろうとラストオーダーの時間すれすれだ。 間に合ったとしても、20時のタイムリミットに追われて急いで食べねばならないだろうし、何より、うだるような暑さの夜の街にくり出す元気が湧かない。まったく湧かない(そう、あの夏は本当に暑かった)。 元気を出すには食べねばならぬ。食べるには、えいやと身を起こさねばならぬ

切 取る 世界

小学校一年生のことだったと思う。 父と、二つ下の弟と、春の田んぼに来ていた。 田植え前の春の田んぼ。つなぎ姿の父。 私と弟は、いつもと同じように小さな用水路で虫やカエルを探してまわる。やがて父に呼ばれ軽トラックの助手席に二人でよじ登った。弟を足元に押し込み、私は助手席に座る。おまわりさんに見つからないように。私たちは笑う。 たのしいな、と思った。 田んぼにくるなんてなんでもないことだけど、ふんわりと、たのしい。 そのとき私は、たしかにそう思った。 でもふと、こうも

珈琲のアップデートが朝を制する

誰に需要があるのか、いささか疑問ではありますけども、マイページ上部の「FES!」ってバナーをクリックしたところ、#朝のルーティーンなるお題を発見した。 たまには、お題に沿って、物事のアレソレコレソレを書くのも悪くない。フリーカンバセーションだと、亀か、愚痴か、亀しかネタがない。もしくは、最近、歯の詰め物が取れた件について。 それよりも、飼い主がハマっているものの話をしよう。 コーヒーって知ってる?飼い主は朝起きたらすぐに、部屋のカーテンと、愛亀水槽用のカーテンを開ける。

宝くじと同僚Nさんに見る心理的安全性の話。

突然だけれど、このCMが好きだ。 CMでは、神木君の洋服がどれだけ汚されても「大丈夫」と言い、服の下で密かに、防水のカードケースに入った宝くじの券を身に着けていることを思い出して「だって宝くじあるもん」と結ぶ。 私は、宝くじは買わないが、このCMにあるように、心のなかに「何があっても絶対的な安心」のようなものを持っておくことは、素敵なことだなと思う。 以前、「心理的安全性」について記事にしたが、これに近いものだ。 仕事をするうえで、心理的安全性があると、とても働きやす

幸せでいてほしいんだ。

 「男女の友情って成立すると思う?」  なんて、あまりにも使い古された言葉、令和の世じゃ愚問だろう。友情が成立する人と、そうじゃない人と。同性と、異性と、どちらでもない人と、誰とでも、どんな形でも。友情には種類があるけど、細分化された先に決まった呼び方がない。だから、なのかは知らないけれど、”友達”の一言は便利なのにやたらと取り扱いが難しい。  愛の在り方も人の数だけあって、さらに言えば他人の愛が容易に可視化できる世の中で、気付いたら自分の愛情が一番見えてないように感じる。ど

新解釈「残業組」と「定時組」

残業組になるか、定時組になるか。 その差は案外、偶発的なものではないでしょうか。   残業しない歴 16年になる私ですが、なんなら定時より前に帰る、あるいは “定時” という概念を壊してきた私なのですが、ある日やることが立て込んで 19時までオフィスで仕事してしまった、としましょうか。 次の日も、偶々急ぎの仕事が入って、19時過ぎまで仕事したとします。 そしてその次の日もまた・・・   これ、3日続いたらヤバイと思いますね。 1日目は、「あーあ残業しちまったよ。俺らしくもない

松のやでトンカツ定食を食べて相席の兄さんと盛りあがった朝カツ

松のやをご存知だろうか? 牛丼の松屋を運営する松屋フーズのトンカツ専門店である。 「ここのトンカツ美味しいんだよね」1か月ほど前、仕事仲間に教えてもらったのがきっかけだった。 サクサクの衣とジューシーで肉厚なロースカツ。 その辺の定食屋で食べるトンカツより断然美味しくて満足度が高い。 なによりそのコスパに衝撃を受けた。 先日、出張中に朝昼兼用で何か食べようと店を探していたら、近くに松のやがあったので、朝10時30分から店に駆け込んだ。 ランチもまだ始まってないから

小さなことでくよくよしたい

くよくよしている。  本当に小さなことで、くよくよしている。 詳しい事情は割愛するけれど、小学三年生の息子が、悔し泣きしながら下校してきた。 話を聞くと、同級生から紙製の棒で頭をペシペシと叩かれることが頻繁にあり、やめて、と言ってもやめてもらえず、もういやだ、という気持ちが爆発したようだった。 かといって、相手の子のことが大嫌いかといえば、そういうわけでもないらしく、ペシペシ叩かれないときは、いっしょに話していて楽しくもあるんだという。 その話を聞いて考える。 わたしは、ど

親子の乾杯の話。

先日、妻の両親と一緒に旅行に行ってきた。 妻の実家は東京にあって、私の住む埼玉の町からはさほど離れていない。1時間程度もあればすぐに行ける。なので、ひと月か、ふた月に一回くらいのペースで遊びに行かせてもらっている。お父さんもお母さんも健在で、私の子供である孫たちをとても可愛がってくれて、大変ありがたい。 さて、旅行は、お父さんお母さんのみならず、タイミングが合ったので、離れて暮らしている妻のお兄さん夫婦も一緒に行けることになった。このお兄さんと奥さんも、とても子供好きなの

優しさにまみれて

最終出勤日まで残り10日となった。 引き継ぎもあるし繁忙期なのもあってバタバタと仕事のために手を動かしていると、上司が突然、 「あのさ、手を動かしたままでいいから耳だけ傾けて聞いてくれない?俺の独り言みたいなものだと思って欲しいんだけどさ」 と不思議な前置きをして話し始めた。 言われた通りに私は、手を止めずに耳だけ傾ける。 「次の会社に決めたのは良いことだと思うし、頑張らなきゃいけないと思うんだけどね。 でももしさ、すごい辛かったり、仕事が思ってたのと違くて嫌だな

なつかしい町がくれた勇気

今日の大阪は、朝からお天気がよかった。空は高く澄んでいて、さわやかさの塊みたいだった。 夫が娘たちの面倒を半日見ていてくれるというので、電車に乗って出かけてきた。ある町まで。 いつも買い物をするときはなんばか梅田。そのふたつの街を通り過ぎ、もうちょっと北上したところに目的地はある。 大阪メトロ御堂筋線は、大阪市内を南北に貫く地下鉄だ。途中から北大阪急行という路線が乗り入れていて、南から行くと、中津を過ぎたあたりでズババーッと地上に出る。窓の外を流れる景色がぐーんと広がる

優しさを渡せる人と受け取る人

カナダのウィニペグは、一番寒い時で気温がマイナス30℃になる。その気候とは裏腹に人が温かい。心はいつもポカポカするから私はこの街が好き。 カナダで優しい人たちと接するようになってから、優しさを「渡せる人」と「受け取る人」についてよく考える。 : 毎年10月の第2月曜日、カナダはサンクスギビング。私たち夫婦は、友人の両親の家に招待された。友人夫婦とその子供たち、友人の両親と私たちで食卓を囲む。 友人パパがじっくり焼いたビーフのブリスケットは、柔らかくてジューシーだった。

【短編小説】わたしの間の悪い夫

わたしの間の悪い夫が死んだ。 夫の間の悪さったらなかった。 40年勤めた会社を定年退職する日、夫は街で事故を目撃した。 ミニバンの左折に巻き込まれたスクーター。轢き逃げだった。乗っていた学生さんはスクーターから投げ出されて、おむすびみたいに道の上をころころ転がった。夫は学生さんを介抱し、やってきた警察に顛末を伝え、さらには病院にまで付き添った。 定年祝いに花束を用意して待っていた会社の同僚たちは、結局その日、夫を労うことはできなかった。 十数年前にも似たようなことがあっ

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