ぬるま湯

見つけてくれてありがとう。

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まだ探してない場所なら希望があると思った。

スマホで見ることを前提とした表現があります 初めて、交通系ICカードを手に入れたとき。 初めて、数百円で違う県に行けたとき。 僕たちはどこまででも行けるんだねって思…

ぬるま湯
1か月前
1

今でも拾い上げて眺める愛情

その日も私は学校に行けなかった。日が落ちるにつれ、仕事から帰ってくる母親がしてくる 「今日は行けたの?」という答えの決まりきった問いに答えなければならないことが…

ぬるま湯
1か月前
1

深夜:戯言のゴミ箱

わからないわかりえないわかりあない ありきたりな人工のエモだか郷愁だか哀愁だか ありふれている陳腐な言葉を脳が囃し立てる せめて自分らしくあったらいいのに 個性的な…

ぬるま湯
1か月前

祖母の死

2年前の1月。祖母は死んだ。私は祖母の死について誰にも話さなかった。話したくなかった。話してしまうことによって他者から祖母が死んだと認識されることが嫌だった。そう…

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3か月前
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いつか、まで

首を絞めてやろうと思った。そうしたら深夜3時、この部屋をこんなにも汚い世界から切り離せる気がした。穏やかな顔で寝息を立てる彼を今ここで永遠にしてあげなければいけ…

ぬるま湯
4か月前

ピザ屋の彼女になってみたい。

好きな子がLINEのステータスメッセージに書いていた。俺の将来の夢は決まった。ピザ屋になるためだけのルートを選んだ。それが有名な歌の歌詞だと知ったとき、その子が男と…

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1年前

朝4時の海、溺れた

朝4時の海 春、4時と18時の違いもわからない 空が明るくて恐ろしかった 私は永遠の冬を歩いている 深雪を踏み汚す愚かな大人になって 夜を愛し、憎む 長い夢 いつまでも逃…

ぬるま湯
1年前
1

自由律の短歌や俳句

室外機の上の靴が乾く時間から求める雲の変遷 厚紙をはさみで切るときの柔らかさで包んでほしい カーテンを開けた先に猫の交尾 見下ろす孤独な人間の自慰 私の花言葉多…

ぬるま湯
2年前
2
まだ探してない場所なら希望があると思った。

まだ探してない場所なら希望があると思った。

スマホで見ることを前提とした表現があります

初めて、交通系ICカードを手に入れたとき。
初めて、数百円で違う県に行けたとき。
僕たちはどこまででも行けるんだねって思った。

見知らぬ駅で降りた。
往復500円以内で見えた高層ビルは余りに高くて首が痛くなった。
変なオブジェ、やけに古臭い橋、全てが初対面だったのに気さくな街だった。
安全に配慮され、多くの花に囲まれた公園でキャイキャイと遊ぶ子どもた

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今でも拾い上げて眺める愛情

今でも拾い上げて眺める愛情

その日も私は学校に行けなかった。日が落ちるにつれ、仕事から帰ってくる母親がしてくる
「今日は行けたの?」という答えの決まりきった問いに答えなければならないことが憂鬱だった。(母親も行けなかったと毎日聞くのは心苦しかっただろうに!もしかしたら行けたかもしれないという藁にも縋るような思いだったのかな。ごめん。)
もう質問される前に死んでやろう、と自室の窓から少し身体を出した。片足が宙ぶらりんになる。い

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深夜:戯言のゴミ箱

深夜:戯言のゴミ箱

わからないわかりえないわかりあない
ありきたりな人工のエモだか郷愁だか哀愁だか
ありふれている陳腐な言葉を脳が囃し立てる
せめて自分らしくあったらいいのに
個性的な文章を書くと思ってた
昔の話
嘘だ
人からのお世辞をもらえたのが文章だけだったからそれにすがっているのだ
悲しい
苦しい
また心臓にナイフが刺さる
穴を開けてより多くの言葉が出るようにナイフをエグリ流れた赤い言葉はきっと全人類共通のもの

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祖母の死

祖母の死

2年前の1月。祖母は死んだ。私は祖母の死について誰にも話さなかった。話したくなかった。話してしまうことによって他者から祖母が死んだと認識されることが嫌だった。そうしたらもう一度祖母が死んでしまう。そんな気がしていた。
私は未だ祖母の死を引き摺っている。2年が経ったのに。何故ならそこには強い懺悔があるから。

その年の秋。私は通っていた高校に行けなくなった。そこから1ヶ月以上経った頃、気づいたら外に

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いつか、まで

首を絞めてやろうと思った。そうしたら深夜3時、この部屋をこんなにも汚い世界から切り離せる気がした。穏やかな顔で寝息を立てる彼を今ここで永遠にしてあげなければいけないのだ。僕のエゴだ。でもそれが、僕が、世界が望んでいる答えな気がした。どうしようもなかったんだ。僕ら。ここにいたって、ここで生きていたって、誰からも許されない。赦されない。君の首に手をかける。ぐ、ぐ、力を込める。あ、あぁ、あ、嫌だ、死んで

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ピザ屋の彼女になってみたい。

好きな子がLINEのステータスメッセージに書いていた。俺の将来の夢は決まった。ピザ屋になるためだけのルートを選んだ。それが有名な歌の歌詞だと知ったとき、その子が男との写真をインスタグラムに上げたとき。何年いても馴染まなかったナポリの風と聞き取りにくい異国語が俺を通り過ぎていった。

朝4時の海、溺れた

朝4時の海
春、4時と18時の違いもわからない
空が明るくて恐ろしかった
私は永遠の冬を歩いている
深雪を踏み汚す愚かな大人になって
夜を愛し、憎む

長い夢
いつまでも逃げている
太陽から、あなたから
泳げない体
嘘、どこにもいけない
溺れた

自由律の短歌や俳句

室外機の上の靴が乾く時間から求める雲の変遷

厚紙をはさみで切るときの柔らかさで包んでほしい

カーテンを開けた先に猫の交尾
見下ろす孤独な人間の自慰

私の花言葉多分愛でいい

空見上げ見ゆる世界の広さゆえ
今日も狭き己の内へと

手を開き拾う小さなほこりこそ
諦めという星の数々

羊の声これって羊?いやおじさん

空から落ちたラプラスの悪魔
それは予測した結果ですか?

泥が降り青空を汚してし

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