ぬるま湯

見つけてくれてありがとう。

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最近の記事

まだ探してない場所なら希望があると思った。

スマホで見ることを前提とした表現があります 初めて、交通系ICカードを手に入れたとき。 初めて、数百円で違う県に行けたとき。 僕たちはどこまででも行けるんだねって思った。 見知らぬ駅で降りた。 往復500円以内で見えた高層ビルは余りに高くて首が痛くなった。 変なオブジェ、やけに古臭い橋、全てが初対面だったのに気さくな街だった。 安全に配慮され、多くの花に囲まれた公園でキャイキャイと遊ぶ子どもたち。 大人になるということは、罪を重ねること。 きっともうこの楽園の住民にはなれ

    • 今でも拾い上げて眺める愛情

      その日も私は学校に行けなかった。日が落ちるにつれ、仕事から帰ってくる母親がしてくる 「今日は行けたの?」という答えの決まりきった問いに答えなければならないことが憂鬱だった。(母親も行けなかったと毎日聞くのは心苦しかっただろうに!もしかしたら行けたかもしれないという藁にも縋るような思いだったのかな。ごめん。) もう質問される前に死んでやろう、と自室の窓から少し身体を出した。片足が宙ぶらりんになる。いつもは顔しか出していなかったから一気に死のイメージが鮮明に脳に写し出された。怖い

      • 深夜:戯言のゴミ箱

        わからないわかりえないわかりあない ありきたりな人工のエモだか郷愁だか哀愁だか ありふれている陳腐な言葉を脳が囃し立てる せめて自分らしくあったらいいのに 個性的な文章を書くと思ってた 昔の話 嘘だ 人からのお世辞をもらえたのが文章だけだったからそれにすがっているのだ 悲しい 苦しい また心臓にナイフが刺さる 穴を開けてより多くの言葉が出るようにナイフをエグリ流れた赤い言葉はきっと全人類共通のものだ いいな あなたの血はさぞ美しい桃色をしているのでしょう締めきれなかった水道が

        • 祖母の死

          2年前の1月。祖母は死んだ。私は祖母の死について誰にも話さなかった。話したくなかった。話してしまうことによって他者から祖母が死んだと認識されることが嫌だった。そうしたらもう一度祖母が死んでしまう。そんな気がしていた。 私は未だ祖母の死を引き摺っている。2年が経ったのに。何故ならそこには強い懺悔があるから。 その年の秋。私は通っていた高校に行けなくなった。そこから1ヶ月以上経った頃、気づいたら外にも出られなくなり始めた。それを見かねた母と祖父母から年末は忙しいから暇ならと祖父

        まだ探してない場所なら希望があると思った。

          いつか、まで

          首を絞めてやろうと思った。そうしたら深夜3時、この部屋をこんなにも汚い世界から切り離せる気がした。穏やかな顔で寝息を立てる彼を今ここで永遠にしてあげなければいけないのだ。僕のエゴだ。でもそれが、僕が、世界が望んでいる答えな気がした。どうしようもなかったんだ。僕ら。ここにいたって、ここで生きていたって、誰からも許されない。赦されない。君の首に手をかける。ぐ、ぐ、力を込める。あ、あぁ、あ、嫌だ、死んでほしくないよ、僕らどうしてこうなっちゃったのかな、いつか幸せになれるかな。ゆるり

          いつか、まで

          ピザ屋の彼女になってみたい。

          好きな子がLINEのステータスメッセージに書いていた。俺の将来の夢は決まった。ピザ屋になるためだけのルートを選んだ。それが有名な歌の歌詞だと知ったとき、その子が男との写真をインスタグラムに上げたとき。何年いても馴染まなかったナポリの風と聞き取りにくい異国語が俺を通り過ぎていった。

          ピザ屋の彼女になってみたい。

          朝4時の海、溺れた

          朝4時の海 春、4時と18時の違いもわからない 空が明るくて恐ろしかった 私は永遠の冬を歩いている 深雪を踏み汚す愚かな大人になって 夜を愛し、憎む 長い夢 いつまでも逃げている 太陽から、あなたから 泳げない体 嘘、どこにもいけない 溺れた

          朝4時の海、溺れた

          自由律の短歌や俳句

          室外機の上の靴が乾く時間から求める雲の変遷 厚紙をはさみで切るときの柔らかさで包んでほしい カーテンを開けた先に猫の交尾 見下ろす孤独な人間の自慰 私の花言葉多分愛でいい 空見上げ見ゆる世界の広さゆえ 今日も狭き己の内へと 手を開き拾う小さなほこりこそ 諦めという星の数々 羊の声これって羊?いやおじさん 空から落ちたラプラスの悪魔 それは予測した結果ですか? 泥が降り青空を汚してしまえばいいのに 幸せはピンク色をした停滞の証 片手に残る呪いは銀色に輝く

          自由律の短歌や俳句