いつか、まで

首を絞めてやろうと思った。そうしたら深夜3時、この部屋をこんなにも汚い世界から切り離せる気がした。穏やかな顔で寝息を立てる彼を今ここで永遠にしてあげなければいけないのだ。僕のエゴだ。でもそれが、僕が、世界が望んでいる答えな気がした。どうしようもなかったんだ。僕ら。ここにいたって、ここで生きていたって、誰からも許されない。赦されない。君の首に手をかける。ぐ、ぐ、力を込める。あ、あぁ、あ、嫌だ、死んでほしくないよ、僕らどうしてこうなっちゃったのかな、いつか幸せになれるかな。ゆるりと君の長い睫毛が揺れ、真っ黒な瞳が僕を貫く。
「ふふ、」
君は息で笑う。ああああああぁぁぁぁあああぁあぁぁあああ!!!!!!!ごめん!ごめん、ごめんごめんなさいごめんなさいごめんなさい
とっさに自分の首を締める。
「ばかだね。」
君に手を取られる。温かい手。僕の体温を奪っていく。このまま君に吸収されてしまえばいいと思った。彼は僕じゃないけれど、僕は君だった。その事実だけで生きていけたし、苦しめられた。どうして僕ら永遠になれないの?
「早く寝な。寝不足は健康に良くないよ。」 
わかった口ぶりをきいてほしくなかった。僕はいつまでも子供だ。答えを人に出されるのも、決められるのも嫌いだった。そんなに偉いなら僕の問いに対して答えを出してほしい。
「偉い人がいつか出してくれるよ。だから大丈夫。」
大丈夫なのか。そうか。君の発する、どうでもよさそうで根拠のない大丈夫は僕の脳を急停止させる。君が大丈夫ならそれでいいか

夢。


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