【エッセイ】鉄鍋蒸し焼き〜三度豆(別名;さやいんげん)〜[家庭料理](1148文字)
三度豆(さんどまめ=さやいんげんの関西名)を鉄鍋蒸し焼きにしました。
三度豆は、マメ亜科一年草で、メキシコ等中央アメリカ・南米アンデス原産、日本には、江戸時代初めに隠元禅師によって中国から伝わりました。
種蒔きから開花までの期間が短く、年に3回ほど栽培できることから三度豆と呼ばれています。
実が大きくて皮が柔らかいため調理しやすく、美しい緑色は料理の彩りにもなります。
蒸したり、茹でたり、煮物・汁物・炒め物・揚げ物・和え物にしたりして、美味しく食べられます。
さて、調理です。
鉄鍋の内側にオリーブオイルをたっぷり垂らして、へたを取った長めの三度豆28本を並べ、塩を振り、鉄鍋の蓋をしました。
鉄鍋を強火で熱してパチパチ音がしてきたら、弱火にして28分間、火にかけました。
以前、三度豆を鉄鍋蒸し焼きにした時には、弱火で30分間焼いて、焼き過ぎで、三度豆の鞘が皺々になり、歯応えが無くなってしまったので、2分短くしてみました。
三度豆の焼ける何とも良い香りが漂ってきました。
火を止めて、5分間蒸らして、できあがり。
三度豆の色が明るく、鞘に皺が寄らず、ピンとして、豆の部分がふっくらしている状態に仕上がりました。
とても美味しそうです。
というわけで、盛り付け。
お味は。
とても美味しかったです!
鞘の旨味とコクの素晴らしいこと。
鞘はシャクシャクと歯応えがあり、噛んで小さくなるに従って、三度豆の品の良いまろやかな香りとともに、オリーブオイルの味と塩味と甘味と旨味とコクの合わさった、複雑だけど輪郭のはっきりした味が、口の中に広がりました。
豆は小さくて、あまり主張しない味と歯触りですが、鞘が本当に美味しくて、私は、三度豆の鉄鍋蒸し焼きを、それほど好きではなかったのですが、今回のものは、同じ生産者さんの三度豆を鉄鍋蒸し焼きにして食べた前回同様、とても気に入りました。
ところが。
「前々回の三度豆のほうが豆が美味しかったな」
と豆好きの夫。
「え?今日のほうが、さやいんげんとして美味しくない?名前がさやいんげんですよ。鞘を食べるものなのですよ。鞘は今日のほうが美味しいよ」
と豆に対する思いは普通の私。
「そうねぇ」
と夫は暫し思案してから、
「確かに、鞘は今日のほうが美味しいね」
と同意してくれました。
「私は豆好きだから、豆が気になるけれど」
豆が成熟しないうちに、さやいんげんとして収穫しているのですから、豆の印象が鞘よりも薄いのは当然です。
この三度豆、私には本当に美味しいよ。
何しろ、前回、この生産者さんの三度豆を食べて、これまで感じたことがないくらい美味しかったので、今日は、私の大好物の茄子より優先させて、鉄鍋蒸し焼きにしたのですから。
三度豆の鉄鍋蒸し焼き、とても美味しかったです。
ありがとう、ごちそうさまでした!
天野マユミ