ドッペルゲンガーにまつわる短い話で、一人ぼっちゲンガーという話があるんです。孤独ゲンガーとでも言いましょうか。 ──────────────────── Tくんの祖父の話になります。その人は若い頃からドッペルゲンガーをしょっちゅう目撃されていたそうです。 「きみ、昨日ぶらぶらと町を歩いていただろう。一人でサボタージュかね」 「まさか。その時は会社におりましたよ」 こんなやり取りしょっちゅう。どうやら、お爺さんのドッペルゲンガーが町中をよくぶらついていたらしい。
わたしたちは目で世界を見ているのではない、脳で見ているのだ──とはよく言及されることですね。視界とはつまり、網膜を通過した信号が大脳で処理された結果にすぎないと。錯視を利用した図を見せられて狐につままれたような感覚に陥ったことがある方もいらっしゃるでしょう。 のっぺらぼうを見た、いや、見てしまったという、とある男性が小学生の頃に体験した話です。 ──────────────────── Kくんが放課後、夕暮れ時の通学路を一人で帰っていると、道の脇に見慣れない車が停
日記って本来自分のためにつけるものだと思うんです。自分のためにつけるものだから、他人の目を気にして書くことはないし読ませることもない。でもたまに、誰かが読んでもいいように立派なことを書いてみたりするのも日記あるあるだとは思うんですが。 気味が悪い日記のような記録をつけた、とある男性の話になります。 ──────────────────── 「仙人」と呼ばれている人がいたんです。山嶺で霞食べてるありがたい人ではなくて、大学にもう何年もいる人。全然ありがたくない。
安物買いの銭失いなんてよく言いますけれどね。少額のお金を失うだけで済むならマシですよ。場合によっては健康を損ない、最悪の場合、命を失うまでに至りますから。いえ、この話の体験者は今も元気にしていらっしゃいますのでご安心ください。 ──────────────────── とある男性から聞いた話です。ドライブ先で寄ったコンビニの横にリサイクルショップがあったので、何の気なしに覗いてみたんですって。そのリサイクルショップは全国展開しているようなお店ではなくて、そこでしかやっ
「あれ、何だったのだろう……?」となる幼い頃の記憶、ありませんか? 全然付き合いのない親族の家に一度だけ泊まったとか、親に手を引かれて街を彷徨ったとか……大抵の場合は、関係者から話を聞いたり成長することで得た知識や経験則で腑に落ちる、ということになるものですが。 でもたまに、よくわからない、未解決のまま大人になってしまうこともあります。魚の小骨が喉につっかえているような、そんな不安感を残して。 ──────────────────── Hくんが小学生の頃の話です。
だるまさんが転んだはよくないんじゃないかなあって話があるんですよ。いやいや子供の遊びじゃん、と舐めてはいけません。廃墟や心霊スポットでやるのはもちろんのこと、真夜中の公園でだるまさんが転んだをやるのもよくないかもしれない。 それも酔っ払い同士で。 ──────────────────── とある会社の人たちが集まって飲み会をやったんですって。翌日は休日。それはもう、飲んで、飲んで、飲みまくって、酔っ払って。お店から出ると帰り道はベロンベロンの千鳥足。 「部長のバ
小中学生の頃の宿泊学習ってワクワクしませんでした? 少年自然の家に一泊二日くらいで泊まるやつ。普段とはまったく違う環境で、同級生の意外な一面が見れたりして。 ただ、その施設が曰く付きだったりすると、よくない。 とある部屋にはおばけが出る、という噂が絶えない少年自然の家が昔あったんですよ。今はもう、なくなっちゃってるんですけどね。その施設にまつわる話をば二つ。 ──────────────────── 当時女子中学生だったAさんは学校の行事で問題の部屋に泊まるこ
鍵ってありますでしょ。普通、鍵って、外側から内側へ侵入できないようにするための物ですよね。玄関、窓、車、ロッカー。とある学校の倉庫もがっちりと鍵が掛けられていまして。それにまつわる話があるんですよ。 鍵をしてても内から外へはあっさり出られるよねって話が。 ──────────────────── 女性の友だちから聞いた話です。彼女が中学生の時のこと。 テスト前、放課後一人で教室に残って勉強をしていたんですって。時が経つのも忘れて集中して、机に広げたノートに向か
今現在、成人年齢は18歳ですが以前は20歳でした。変わるものですね。もっと前は「成人の日」といえば1月の第二月曜日ではなく1月15日に固定でしたから。まだ違和感を抱えてらっしゃる方も中にはいらっしゃったり。 成人年齢を20歳から18歳に引き下げるだけでも喧々諤々の議論が積み重ねられてきたわけですが、古くは元服の儀式があったように、長い年月で見れば「成人」というのは多少なり幅があってしかるべきなんでしょうね。その時の社会の仕組みに左右されるというか。 ただ、現代におい
おばけというのは時に突拍子もないことを言ったりやったりして、我々をぎょっとさせます。逆に言えば、我々をぎょっとさせる目的のおばけというのはその実大したことはない、と言えるのかもしれませんね。驚かすことが目的ですから。それ以上の害にはならない、かもしれない。 ただやっぱり心臓にはよくありません。 ──────────────────── 体験者の彼。親戚の方が亡くなって、葬儀場に泊まらないといけなくなったんですって。いわゆる寝ずの番というのは故人に近しい人がやってい
痛みというのは他者と共有するのが大変難しいものですね。肉体的なものにしろ精神的なものにしろ。共感はできるかもしれないけれど、実際の痛みというものは味わっている当人にしかわからない。 恐ろしい体験というのもそうだと思うんです。特に金縛りなんてものは。 ──────────────────── Nくんが中学生の頃の話です。彼、地方にある親戚の家へ両親と泊まりに行った晩、生まれて初めて金縛りにあったらしいんですよ。 大広間に集まってお酒で賑わっている大人たちの一方、
特定の地域だけにあるような、他所ではあまり見ないルールや取り決めごとってありますよね。その地域内に住んでいると当たり前すぎて疑問にも思わないけれど、圏外の人からするとつい首を傾げたくなるようなことが。 そんなことを仲間内で話していると、とある一人の男性が同調してくれましてね。 「あった、あった。俺、それで怖い目にあったんだよ」 と、一つ、不思議な話をしてくれたんです。 ──────────────────── その方は小学校三年生の時に問題の地区に引っ越して
おばけというのは気まぐれなものでして時も場所も関係ありません。曰く付きの場所だろうが謂れの無い場所だろうが、ひょっこりと顔を見せます。毎日のように出て人を怖がらせるものもいれば、数年越しで人が忘れた頃に出てくるものもいます。きっと、この世に生きている我々の感覚で考えてはいけない存在なんでしょう。 ──────────────────── 今はもう三十代の女性が昔体験した話です。当時彼女は高校生。両親と共に一軒家に住んでいました。 さてその家。トイレが一階と二階、両
言わずもがな、という感じですが。家賃が他と比べて異様に安い物件には注意してください。 そんな物件に住む場合だけではなくて、招かれる場合でも。「おいでよ」なんて言われても気軽に行かない方がいい。そんな話があるんです。 ──────────────────── 当時大学一年生のAさん。試しに入ってみたサークルで、生まれて初めて彼氏ができたそうなんです。 Aさんはいわゆる箱入り娘で。初めての一人暮らしも、セキュリティのガッチリとした学生用の立派なマンション。何もかも
二十四時間いつでも開いているお店っていいですよね。いつ行っても営業しているというのは、利用者としてありがたいものです。 ただね。深夜帯にファミレスへ行くのはちょっと考えた方がいいかもしれないんじゃないかなって話があるんですよ。 廃墟帰りの一行と夜を共に過ごすことになるかもしれませんからね。 ──────────────────── この話を教えてくれたEくん。当時彼はファミレスでバイトをしていて、シフトを深夜帯に入れていたんです。夕暮れに入って翌朝社員が出てき
以前、こっくりさんが禁止されている学校の怪談をしたじゃないですか。忘れ物を取りに学校へ戻った女子高校生が怖い思いをするやつ。 (『踊り場こっくりさん』 13:50頃から) あの怪談って結局、なぜあの学校でこっくりさんが禁止になったのか、という核心の部分が不明のままだったでしょう。 話を聞いた時そこがどうしても気になりまして。体験を語ってくれた女性に聞いてみたんです。その方、真面目で律儀な方なんですよね。「わかりませんけど、わたしの方で改めて調べてみます」なんて言っ