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「人間」を見つめ直す「万物は流転する」

<文学(37歩目)>
最高峰の才能から、「人間」を見つめ直す。

万物は流転する【新装版】
ワシーリー・グロスマン (著), 亀山郁夫 (その他), 齋藤紘一 (翻訳)
みすず書房

「37歩目」は私の最高峰の一人、ワシーリー・グロスマンさんの作品です。

グロスマンさんは、モスクワでもモスクワ大学の学生たちからすすめられました。しかし、とにもかくにも「厚い」のでひるんでしまった。(ロシア語の問題ではなく、「厚い本」にはひるみます!)

その為に、集中できる環境を作って一気に読むことが必要です。

最初に「人生と運命1」「人生と運命2」「人生と運命3」を読んでぶん殴られたくらいの衝撃でした。でも、非常に厚い本3冊セットです。。。

そこで、グロスマンさんの中では比較的に薄いこの本をおススメいたします。

ワシーリー・グロスマンさんは、旧ソヴィエトに生まれた作家で、1964年に亡くなっていますので、ソヴィエト連邦がバリバリの時代の作家です。そして、死して60年近く。でも、今でも彼の著作はすごい影響力あり。
(これってスゴイです。モスクワ大学のキレイなお姉さんも、ハンサムなお兄さんも読んでいる。もはや古典ですが、読み継がれるって率直に言ってスゴイことです)

読み継がれる最大の要因は人間があぶりだされること。そして「愛(love)」と「自由」が沢山描かれているからです。

この作品は「1953年、スターリンが死んだ。神のような指導者の突然の死が、国土を震撼させる。ラーゲリ(強制労働収容所)からは何百万もの人びとがぞくぞく出所してきた。」から始まります。体制の中で、些細な罪(現代の日本人からすると罪とは言えない)により、大切な人生をすりつぶされた人たち。

この呻吟する言葉から、旧ソヴィエト、そしてロシアが栄光の歴史の中でただ一つ掴めなかった「自由」が語られていきます。

この「自由」と言うものが何であるのか?「自由」というものの危険性は何であるのか?グロスマンさんは多くの登場人物に語らせています。(危険性もあることを「留意しないといけない」と学ばされた)

現代ロシアの大学生が読みふける本の中に、与えられた「自由」を享受している我々日本人が学ばないといけないと思いました。

究極のおススメ作品です。

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