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また読み返したいnoteを集めた私のブックマーク的マガジン
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#エッセイ

潮騒の缶ビール

潮騒の缶ビール

ぼんやり海を眺める土曜の昼下がり。茅ヶ崎の海岸で一人、ぽつりぽつりと言葉を置いた。

あてもなく乗り込んだ電車に揺られること小一時間。駅の発車ベルがサザンオールスターズの『希望の轍』なのは、訪れるたびにいいなと思う。

降り立った湘南のど真ん中に、秋の気配はない。電車の進行方向からして向かうべきは南口。すれ違う人々から、喧騒とまではいかない活気を感じながらロータリーに出た。これまでも何度か足を運ん

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勇気の出しどころ、覚悟の決めどころについて考える晩夏

勇気の出しどころ、覚悟の決めどころについて考える晩夏

突然ですが、質問です。

ここ最近、あなたが一番勇気を出したことはなんですか?

お店で一番高いメニューを頼む。
気になる人のSNSをフォローする。
海外旅行に行く。
プロポーズする。

人によって
勇気の出しどころ
覚悟の決めどころはさまざま
その度合いや熱量も多種多様です。

ちなみに、私の最近の勇気100倍エピソードは大嫌いなセミの死骸をベランダから外へポイっとおいやったこと。

この勇気と

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出来る状態にある、という不幸

出来る状態にある、という不幸

先日、出産しました。二度目の無痛分娩が痛くなさすぎて最高だったことや、産後、高血圧になって腹や頭の痛さでパニックになって死ぬ思いをしたことなど、書きたいことはあるけどそれはまたにします。

今日はちょっとしたお話。
産後二日目にして、母乳育児を諦めたときのこと。

一人目の母乳育児で、かくかくしかじか、散々な目にあっていた私。
今回は、よほど奇跡が起きて母乳がぴゃーぴゃー出るような事態にならなけれ

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卵の授業について先生と10年ぶりにお話ししました

卵の授業について先生と10年ぶりにお話ししました

先生とは卒業してから10年ぶりに連絡を取る。
沢山いる生徒の中で私のことなんか覚えていないだろうと、諦め半分でメッセージを送ってみたが返事はすぐに来た。

「お久しぶり、もちろんおぼえていますよ」

思わず声が漏れるほど嬉しかった。状況が状況なだけに文章で説明するととんでもない時間と長さになりそうだった為、電話でお話しできないかと尋ねるとすぐに先生から着信があった。
震える手でスマホを握る。

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「お誘い」のお誘い

「お誘い」のお誘い

TwitterのSpacesで、自分がホストとなって対話型のインタビューをしている。

「対話パーティ」「ことばの採集」「ポカテーリング・ナイト」いろいろ。対話の場をコーディネートするのは楽しい。たまに誰かがひらいたSpacesに入り、突然スピーカーに招かれることもある。これもまた楽しい。自分が“なんとかする”必要はなく、いい意味で無責任でいられる。自分がしつらえる対話の場では、ゲストはみな無責任

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恋や愛とは違う気持ちがあることを

恋や愛とは違う気持ちがあることを

タイトルは、平松愛里さんの「Dear My Baby」という曲のワンフレーズから引用したもの。子どもが生まれた喜びを歌にした、ぼくが大好きな曲だ。

なんで20年以上も前の曲を急に思い出したかというと、このエッセイを読んだから。

娘さんが学校行事で二泊三日のキャンプに出掛け、初めて経験するお子さんがいない夜に感じた気持ちを書いた、カエデさんのエッセイ。

この一文を読んだとき、「さみしい」以外の

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懲りない人

懲りない人

創作大賞、落ちました。わはは。
なんでだろう、すごく愉快。清々しくさえある。ピッカピカの新しいスタートラインに立った気分。

受賞してたらnoteからの連絡メールが発表の2週間ぐらい前には届くと、これまでいくつかのコンテストやお題で受賞した経験からわかっていたので、4/20までに音沙汰なしの時点で落ちたことはわかってました。

中間発表に残ったことも意外でめっちゃびっくりしたのに、いざ審査対象にな

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言葉はどこまで届くのだろう

言葉はどこまで届くのだろう

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「手当て」の力を信じますか?と聞かれたら、あなたの頭の中にどんな答えが思い浮かぶだろう?

─ 信じるとは、どういう意味ですか?
─ 分からないです
─ 信じます

答えは人それぞれで。というか、答えなんてそもそもないんだけど。ここで少し脇道にそれて、語源の話をしたい。

-

ぼくは語源マニアで。ふとしたときに、その言葉の成り立ちが知りたい衝動を抑えられなくなる。例えば「わびさび」。「侘し

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失ったものを数えもせずに

失ったものを数えもせずに

新年度2日目は出社だった。在宅勤務が中心の生活もまる2年が経ち、予定が無ければ家族以外と話さない日は当たり前になった。それでも、出社をするといつも気持ちが前を向く。

時計の針が20時半を回った頃、ある後輩が別のメンバーに「〇〇さん、ハンバーガー食いたくないですか」と声を掛けた。二つ返事で飛んでくる「いいね」のひと言。「行くしかないな」と続くもう一人の声。最後にぼくも「薫さんもどうですか」と声を掛

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刻々と

刻々と

妻の実家の家系図に、時の流れの音を聴いた。昭和の終わりに義理の曾祖父が書き記したもので、黄ばんだ細長い紙の一番上には「七右エ門 寛政七年(一七九五年)没」と残されていた。二百年以上も前の時代を生きた人物が今確かにここに繋がっているのを感じ、思わず息を呑んだ。

妻は、福島県会津地方の緑ゆたかな農村に生まれた。曾祖父よりずっと前から代々守られてきた風光明媚な土地とともに、その家系図はあった。

寛政

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変わりながら、守っていく

変わりながら、守っていく

別れに弱い。めっぽう弱い。書き初めなのになんの話をする気なのだろう。でも本当に弱い。

思い返すと、最後に涙を流したのは3年前。令和を目前に祖母が亡くなり、出棺前の別れ花を添えているときだった。

祖母は晩年アルツハイマーになり、息子である父の顔も忘れてしまっていた。家族の存在を確かめられないのは辛かったはずだが、そんなのは思い違いだと思わせるほどに、皆に見送られる祖母の表情は安らかだった。

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I just want to mess around with everybody. #呑みながら書きました

I just want to mess around with everybody. #呑みながら書きました

三ヵ月に一回やってくる、今日は呑み書き本祭り。しかも10回目、すごい!

さて、なに書こうかなぁ。呑み書きの告知があってから、あれやこれやと考えてたんですよ。最近、ジンソーダにはまってるから、オススメGINベスト5~!もいいな、とか。真面目な(?)吞み書きって書いたことないから、大好きなフェルメールかロートレックか、美術に世界のことを熱くかたっちゃおっかなとか。

いろいろ考えてたのだけど、頭の片

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言葉が世界をノックする

タイトルはラジオで耳に入ってきた言葉。
小説家の朝吹真理子さんが吃音症のひとに向けたことば。

吃音(きつおん)とは、言葉が円滑に話せないスムーズに言葉が出てこないこと。「発語時に言葉が連続して発せられる(連発)」、「瞬間あるいは一時的に無音状態が続く(難発)」「語頭を伸ばして発音してしまう(延発)」などの症状を示す   - wikipediaより

極度の緊張をすれば誰でも言葉につまるのだけど、

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十旭日と太陽のトルティージャ #お酒のひととき

十旭日と太陽のトルティージャ #お酒のひととき

お日さまの料理を、お日さまのお酒で楽しむ。そんなマリアージュもあっていい。

最近、Twitterやnoteが黄色く眩しかった。そこらじゅうでトルティージャが焼かれていたのだ。HARCOさんのこちらの企画だった。

トルティージャって聞いたことはあるけどよく知らなかった。どうやらスペイン風オムレツのことらしい。うん、それならなんか食べた記憶あるぞ。じゃがいもや玉ねぎといったお好みの具材を入れて焼く

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