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詩・小説

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長い話はあまりないので、ぜひさかのぼって読んでみてくださいね。
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記事一覧

【 #詩 】真っ白な部屋

【 #詩 】真っ白な部屋

パパは真っ白な部屋の壁に
ただひとつだけ風景画を飾った
そうして僕に向き合うと
お前が大人になったら
ここを好きにしていいと言った

大人になった僕は
風景画を取りはらい
それを飾っていた壁に
額縁のような四角い穴を開けた
そして真っ白な部屋一面に
見たこともない風景を描いた

【 #詩 #エッセイ 】言葉は幻影に形を与える

【 #詩 #エッセイ 】言葉は幻影に形を与える

[詩]
あなたの手のなかにあるものを落としてみよ
掌には何が残った?
虚空を両の手ですくってみよ
そこには何がある?
その手が描くわずかな曲線のなかで
新たな形が産声を上げる

私は言葉を記す
ファントムはこうして姿を現した

[エッセイ]

 これはかの高名な芸術家、ジョルジュ・ブラックの言葉である。私はこの一文を見たとき、「いままで何に形を与えられただろうか」と思わずにはいられなかった。
 詩

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言の葉を 剣に変えて 投げたのに/刃はこちらへ 向けられていた【 #短歌 #tanka 】

言の葉を 剣(つるぎ)に変えて 投げたのに
刃はこちらへ 向けられていた

当てもなく振りまいた鋭い言葉が自分に刺さることもある。

列島に 台風来たる 葉月暮れ/雨も暑さも まだ続くのか【 #短歌 #tanka 】

列島に 台風来たる 葉月暮れ
雨も暑さも まだ続くのか

まだ続くんですか。

作業しよう パソコン開く 雨が降る/ピカゴロドシャーン やめたやめやめ! 【 #短歌 #tanka 】

作業しよう パソコン開く 雨が降る
ピカゴロドシャーン やめたやめやめ!

パソコンで作業したいなーと思ったときに限って雷が発生するの、やめてもらってもよろしいでしょうか。

近代の 芸術家の顔 調べると/整っていて ちょっと腹立つ 【 #短歌 #tanka 】

近代の 芸術家の顔 調べると
整っていて ちょっと腹立つ

20世紀前半のフランス。キュビスム、ダダ、シュルレアリスム等に関わった男性芸術家たちはだいたいイケメン。その顔で暴れていたのか? うらやましいぞ。

台風よ こっちへ来ても いいけれど/もうちょい圧力 かけといてくれ 【 #短歌 #tanka 】

台風よ こっちへ来ても いいけれど
もうちょい圧力 かけといてくれ

「圧力」をかけられたら怖いですが、低気圧と高気圧だったら話は別。

覆水は 盆のうちへと 返らずも/墓石に撒く水 土へと還る 【 #短歌 #tanka 】

覆水は 盆のうちへと 返らずも
墓石に撒く水 土へと還る

昨年に祖父が亡くなっていたため今年は新盆でした。
過去のことはどうしようもないけど、せめて送り迎えと水や供物くらいはね。

【 #詩 】マリオネット

【 #詩 】マリオネット

言葉ひとつで
支配をされる
マリオネットの
ような僕

言葉は糸だ
この首に
この手に脚に
心臓に
結わえつけられ
離れない

舞台で躍ろう
私とともに
手綱は握って
いてあげる

【 #詩 】年上の本

【 #詩 】年上の本

知らぬ時代の空気を纏う
年上の本が大好きだ

幾星霜もの時を超え
カビやホコリにまみれても
大切にされてきたそれは
わたしよりずっと物知りで
褪せぬことばを紡ぎだす

手に馴染む優しい肌の一頁
めくると彼の日の世界が広がる

【 #詩 #散文詩 】軽く薄く鋭い言葉

【 #詩 #散文詩 】軽く薄く鋭い言葉

薄っぺらいコピー用紙で怪我をするように
軽薄な言葉もひとを鋭く抉ることがある
──なんでそんな話を信じたの
──きっと当たり所が悪かった

こころの隙間に入り込んでくる
それはそれは軽く薄く鋭い言葉
──いつの間にか蝕まれているんだ
──あまりにも軽くて気づかなかった

傷口から生命が吸い取られてゆく
──はやく取り除いてお仕舞いなさい

──もうこれは私の一部
──痛みを感じるあいだだけ
──少

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