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小小不言,其实美丽

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小小不言,其实美丽=とるにたらないことこそ美しい
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2019年12月の記事一覧

いつも見たいのは、その先にあるもの

いつも見たいのは、その先にあるもの

人が書いたものには、とっても大きな"奥行き"があります。

もっというならば、書かれていること(書くぐらい表に出てきたもの)というのはピラミッドの頂点のようにちょこっと顔を出すほんの一部ぐらいなものなのでしょう。その下に伸びる奥行きは末広がりに伸びているけれど、無意識の海に浸かっているので本人さえもその深さを知り得ません。表に出しているものだけが全てではありませんし、本体はその下の方なのです。

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いつかきっとサンタさんになりたい

いつかきっとサンタさんになりたい

今さっき、ふと気がつきました。

よもや30手前にして、恋人と一緒に過ごすクリスマスイブを経験したのです。

14の頃から恋はし続けてきたものの、遠距離恋愛のためにその日は友達と過ごしていたり、帰省してたが故に家族と過ごしたり、恋人に他に相手がいたりと、意識はしてなかったものの、その機会に巡り合わずに来ました。

その事実をすっかり忘れていましたし、誰かと結婚することがあるならいつかは経験するだろ

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夢しか載せてなかったあの本#noteでジャンプ

夢しか載せてなかったあの本#noteでジャンプ

どんな雑誌よりも大きく、でも表紙がペラペラに曲がりやすい感じ。中の紙はざらっとして、木が紙になった匂いがして。でもその1ページ1ページには夢が載っている。だからあんなに分厚いんだ。

手に取らなくなった今でも覚えている。

14歳で中国の上海に渡ったあの頃、週刊少年ジャンプの中に必死に日本を探し、日本語を貪るように読んでいたことを。

クラスの中では、貴重な日本の漫画はみんなの娯楽の中心だった。日

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生きるみなもと

生きるみなもと

「お花にお水を、1日一回で良いから。お願いね」

父親の海外出張に同伴した時など、何日も家を開ける時、母はいつもそのお願いを一つのこした。置き手紙みたいに。

お花とは、地上5階のベランダに作られた小さな小さな花園の植物たちのことだ。オリーブ、ラベンダー、紫陽花、日々草....名前も知らない植物が沢山ある。母が一つ一つ買い付けに行って連れ帰ってきたものだ。

この植物たちがまた、不思議なのである。

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期待の質

期待の質

30を少し手前にして、やっと意識できるようになったことの一つに「自足」がある。

自立とは似ているが少し違う。

自分で自分に最高の時間をあげれること。いっぱい騒いで、泣こうが、喚こうが、笑おうが、悩もうが、自分で初めて自分で終わらせること。自分を保てるぐらいに、人に期待しすぎないこと。自分だけの人生の快楽をたくさん知ること。そのうえで、分け合える人とは分け合うこと。

これがまず何より大切だとこ

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身体はすべてを分かってる

身体はすべてを分かってる

水を売りつけようとしている女に出会った。

都会の片隅のカフェは話題に事欠かない。喧騒からの隠れ家なんていう表現をよくみるけど、暗ければ暗いほど何かを隠せている。

出会ったというより、盗み見ていた。隣で2人の女性に対してハッキリ顔の美人が水の説明をしている。詳細はちょっとわからないけど、とにかく説明している。イタリアのどっかで取れた温泉水で、これさえあれば肌もピカピカ、掃除に使ってもピカピカ、つ

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花はいらない

花はいらない

「女性へのプレゼントには花がいいよなぁ。」

そんなことを大好きな人が言っていたとき、咄嗟に「私は花はいらないな」と言ってしまったことがある。一瞬、空気が嫌な止まり方をするかもと思ったが、そっかそっかと笑う彼の包容力に救われた。

いや、本当なら何だって嬉しいのだ。贈り物が嬉しいのは、その会っていない時間も自分のことを考えて何がいいかなぁーと選んでくれた気持ちが形となって現れるからだ。気持ちが形と

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ほんとうにダメなことはダメと言われていいのだ。弱者を守ろうとして、ハラスメントを怖がって、良い気遣いが壊され、ダメなことが巧妙に隠されてしまう。ダメなことをハッキリダメだといえることが、その言い方一つで全部ひっくり変えるのを皆恐れている。自分が信じる言葉をもたないのだろうか。

うそ

うそ

一つの嘘を
明らかに嘘だとわかるように
そっと優しく囁くようにつける人は

最高にセクシーだ。

嘘をつくことで、真実に、真理に近づくものなら尚更。

嘘をつくならそうやって

有無を言わさずついてくれよとそう思う。

くちびるから出るその嘘が余りにも美しさえすれば

何にも責めることなんてできないというのに。



津島美知子という人が居る。私は彼女が書いたとあるエッセイを、女性が書いたものの

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生きるわたし、傘のあなた

生きるわたし、傘のあなた

耳に差し込んだイヤフォンの音量をガンガン上げなければならないのは、自分の心の声がそれ以上に煩いからだ。どうしても食べたいのは痩せなければ美しくないと思い込んでいるからで、どうしても見てしまうのは、SNSの写真の世界の中が羨ましいからである。

何かの行動には、何かの欲求には、何かの考えには全て、無意識の裏がある。

本当は「痩せなくても、若返りなどしなくてもいいように生きたい」と誰もが思っているの

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在上海活下记录 1

在上海活下记录 1

芥川龍之介 「上海遊記」に寄せて

私の支那国上海での初日は冷めざめと降り頻る雨であった。

飛行機を降りる前、父が初めて私に教えた支那語は【不要(ブゥヤオ)】であった。ニィハオでもシェシェでもない、ブゥヤオ。意味は見ての通り必要ないという意である。何故と訝しがる私に父は一言「降りたら分かるさ。追いかけてくる男たちに言うんだよ」

機場の外に出たか否か、何十人もの車屋が私たちを包囲した。何かわぁわ

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在上海活下记录 2

在上海活下记录 2

芥川龍之介 「上海遊記」に寄せて

この記事は、前日の在上海活下记录1の続きになります。

悉くしつこい車屋の間を抜け切り、父の会社が用意した車までたどり着いた。そこの車はピカリと太阳を反射する白金色で塵ひとつついていない。ふっと後ろを振り返ると、数かずの車屋の其れは全て黒いがそこにはびっしりと黄砂が付いている..いま自分が立つ白金の車の近くは、突然にそことの空気が隔絶されたような気になった。不相

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語られない側の方に

語られない側の方に

私たちは、好きとか愛している以上に熱情を表現する言葉を持たない。

先祖のまた先祖は、その言葉を思いつかなかったのだろうか。

それとも、敢えて作り出さなかったのだろうか。

人間の心持や、気持ち、感情、状態を表す表現はあまりにも少ないと常々思う。

でも、その永久に語られない場所に真実の宝があって、

こうやって筆を走らせ続けながらそれを探しているような気がするのである。

独特の深みを持つひと

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