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【連載】RYUKYU SOUL, HUMAN SOUL #21 民家Iさん①
こんにちは。今週も連載をお読みいただきありがとうございます。前回の投稿では沖縄県糸満の大度海岸に伝わるジョン万次郎という人物、そして彼の生涯から見えてくる悲惨な戦争を繰り返さないための外交や国際交流の在り方について私の考えたことを書きました。
一人旅2日目の糸満市での滞在についての投稿も残り少なくなりました。今回からは2回に分けて、宿泊させて頂いた糸満の民家さんとの関わりの中で考えたことを書こうと思います。
<民家Iさん①>
沖縄の体験型民泊、私がホテルでなく民泊を選んだ理由等については連載の#15に詳しく書きましたが、民家Iさんには糸満市での滞在中、車内やご自宅で沖縄のお話を聞かせていただきました。
民家Iさんは奥さんと旦那さんの二人暮らしで、県外からの観光客が喜びそうなご自宅の飾りつけや壁画、沖縄南部ならではのお話のネタと、民泊に関してはベテランの方々です。お二人は観光で来ていた沖縄が好きで県外から移住して来られたそうですが、様々なお話を聞いていて、特にこの土地の自然のことに関して、沖縄や糸満の出身の方々と変わらない知識と深い愛をお持ちだと思いました。
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貝殻の置物など他にも沢山ありました。
ひめゆりの塔や平和祈念公園、海岸へ行くのに車で送迎をしてくださったのは主に奥さんで、運転をしながら窓の外に映る景色が持つ意味をひとつひとつ教えてくださりました。糸満市は開発があえてされておらず、静かで特に緑の多い場所です。戦跡のほかにマリンレジャーや自然体験、静けさを求めてくる観光客が特に多く、民家さんもその静けさと海が好きで糸満を選ばれたそうです。実際、ご自宅からビーチまでは歩いて行ける距離です。
車で道路を走りながら、同年の8月に上陸した台風では糸満も道路が浸水したり木が折れたりしたことや、でも沖縄の人たちは台風に慣れてもいて雲の動きで天気を読めることを教えてくださりました。
さとうきび(ウージ)畑が見えた時は、沖縄では米よりもさとうきびが育つためさとうきび農家が本州の米農家並みに農協の支援を受けていることや、さとうきびから出来る黒糖は白糖よりもミネラルがあるから熱中症対策で塩と一緒に持ち運ばれていることを教えてくださりました。
アカバナが見えたときは、ハイビスカスはアカバナが品種改良された花であって、アカバナは沖縄にしか咲いていないことを教えてくださりました。
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ハイビスカスよりも小さいです。
民家さんや近所のご家庭が庭で育てているさまざまな木についても教えてくださり、食事にはそれらの果物や野菜を使った沖縄家庭料理を振る舞ってくださりました。もずくの天ぷら、四角豆、豚の耳であるミミガー、紅白2種類のドラゴンフルーツ、タコライス、他にも独特な食文化が沖縄にはありますが、どれも沖縄の人々が古くから大事にしている自然と伝統を物語っていると思うと更に美味しく思えます。
地層の断面が見えたときは、沖縄南部の地質はサンゴが原料である石灰岩で出来ていることを教えてくださりました。
民家さんの近くの大度海岸に行くタイミングは潮の満ち引きが分かるカレンダーを見て見計らってくださり、私が沢山拾ってきた貝殻やシーグラスでリースを作らせてくださりました。朝はビーチで熱帯魚が見られるということで、旦那さんに翌朝また連れて行っていただきました。ビーチでは地元の年配の方々が集まってくつろいでおり、民家Iさんの知り合いだったのでその方々ともお話をしました。それとここのビーチにはゴミがほとんど落ちていませんでした。お二人は毎日のように海岸を見ているけど、景色が同じ日は無いようです。
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水で洗って乾かしてくださりました。
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優しく水を叩くと集まってきました。
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夜は旦那さんが三線(琉球三味線)の弾き方を1時間ほど丁寧に教えてくださりました。曲は『涙そうそう』や『海の声』と頭にメロディーが染み付いている曲だったものの、楽譜がコードや五線譜ではなく独特な決まりのある漢字で出来ていること、ギターやウクレレと違ってフレットが無いため押さえる場所を読めないことにかなり苦戦しました。ここに来るまで既に2回生演奏を聴いていたけど自分の手に三線を持つのは初めてで、特に蛇の皮で出来た太鼓の部分から伝統の独特さと重みを感じました。飲み込みが早く無い私に根気強く教えてくださったおかげで三線のことが分かり、また演奏を聴くだけでなく再チャレンジしたいと思いました。
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これは#13で取り上げた首里の沖縄そば屋さんにあったもの
また私が沖縄に来る少し前が糸満のエイサーの道じゅねーの期間だったので、地元の青年会が練習をしたり近所を踊り歩いたりする歌声で溢れかえっていたことも教えてくださりました。
私はお二人と関わって、自分の住んでいる場所の美しさを知っていることはとても意味のあることだと気づきました。3日目の朝にお二人と別れて乗ったバスの中ではBEGINの『島人ぬ宝』を聴いて涙が止まらず、民家のお二人をはじめとする沖縄の方々の地元の自然や伝統を大切に思う気持ちにこの2日間で心が動かされたのを感じました。
首里でも、ひめゆりの塔でも、平和祈念公園でも、沖縄の自然環境や伝統文化は古くからその土地の人々の生活に恩恵を与えるもので人と人とを繋ぐものでもあったにも関わらず、地上戦によってそのほとんどが破壊されてしまったことを知りました。そして失ったからこそその大切さに気付き、二度と失わないように懸命に立て直し、語り継ぎ、歌い継ぐ方々がどの場所にも必ず居ました。
沖縄に限らず、どの場所にも人間が地域の特性を生かして共に暮らすために大切に築いてきた伝統文化があり、その一つ一つに重要な意味があると思います。この二日間を通して私が感じたのは、それは武力によって一瞬で破壊できるくらい脆い存在でもあることです。しかし裏を返せば、そういったものを大事にすることが武力を用いた戦争への抵抗にもなりうるということにも気づきました。そう考えると伝統や自然を大切にすることは大変意味のあることであり、そういった意識を用いれば、武力戦争を避けることはある意味単純なことだとも思います。
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