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教養・ノンフィクション

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『生きる哲学』 若松英輔

『生きる哲学』 若松英輔

その言葉は、必ずしも言語の姿をしているとは限らない、と著者は書く。
例えば朝日や雨や川の流れを私たちが見たり聞いたりすることで美しさ、充実、畏敬の念などを感じる時、それは万物が語る言葉である。
また絵画や彫刻や音楽など、人間が表現するものの中にも言葉がある。
そのような、言語の姿にとらわれない「言葉」を、著者は本書の中でコトバと書く。

コトバがあり、そしてまた哲学がある。
重要なのは、狭義の学問

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『カーストとは何か インド「不可触民」の実像』 鈴木真弥

『カーストとは何か インド「不可触民」の実像』 鈴木真弥

最先端のデジタル分野やグローバルなビジネス界での、インド勢のパワーがすごい。
ハリウッド映画を観ていても、会社の経営者やキャラ立ちしたIT小僧などをインド系の俳優が演じているのが目立つ。(これら、一時期は日本人が占めていたポストだったものだが。。。)

インドのイメージは今や、エキゾチックなスパイスワールドから急進最前線のエリート輩出国へと変わってきた。そんなインドだが、現代にあってなおエキゾチッ

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『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』 風野春樹

『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』 風野春樹

表紙は一人の青年の写真。神経質な感じはあるが、頭の良さそうなしっかりした顔である。
この青年がなぜにして「誰にも愛されなかった」とまで言い切られているのか。気になって読んでみた。

私と同様、その名前を見てもピンとこない方がほとんどではないだろうか。
島田清次郎は、大正8年(1919年)に発表した小説『地上』で一躍文学界のカリスマになるも、その傲岸不遜な言動から文壇で疎まれ、数々のスキャンダルを起

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『規則より思いやりが大事な場所で』 カルロ・ロヴェッリ

『規則より思いやりが大事な場所で』 カルロ・ロヴェッリ

本書は、『時間は存在しない』や『世界は「関係」でできている』などの著者である物理学者のカルロ・ロヴェッリが、2010年から2020年にかけてイタリア、イギリス、スイスのメディアに発表したエッセイを一冊にまとめたものである。
著者による「はじめに」と題される一文に、本書の内容及び本書が伝えんとする事が分かりやすく述べられているので、ほぼ丸写しとなるがここに引用したい。

科学、文学、宗教、詩といった

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『家を失う人々』 マシュー・デスモンド

『家を失う人々』 マシュー・デスモンド

本書は、社会学教授マシュー・デスモンドが、米ウィスコンシン州最大の都市ミルウォーキーの、貧困層の住むトレーラーパークと黒人住人の多く住むスラムに、合わせて一年余り住んで行ったフィールドワークを記録したものである。
登場するのは全て実際に著者が現場に住みながら知り合った人々であり、書かれている出来事や会話は、実際に著者が目の前で見て、聞いたことだという。
膨大な取材をまとめ上げた本書が見せる現代アメ

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『サンダカン八番娼館』 山崎朋子

『サンダカン八番娼館』 山崎朋子

1972年初版の本書は、70代80代の老女となった元からゆきさん達の生の声を取材したドキュメンタリー作品である。

貧困ゆえに苦しく耐えがたい人生を送った女性達の声なき声を聞くことが、女性史研究者としての仕事であるという著者の強い想いが、プロローグで語られる。
貧困地から南洋に送られて行った彼女達に、階級と性という二重の虐げが集中して表されている、つまり、日本における女性の苦しみの原点がある、と著

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『ロシア語だけの青春』 黒田龍之助

『ロシア語だけの青春』 黒田龍之助

代々木駅東口。駅を出て道を渡った先には、雑居ビルが立ち並ぶ。その店舗と店舗の間に、狭くて古い階段が。

道案内で始まるプロローグを読みながら、自然とその歩幅に呼吸が合っていく。
狭い階段を上って行き着くのは、小さな語学専門学校。著者が高校時代から通い、後に講師も務めていたミール・ロシア語研究所だ。
本書はこのロシア語学校の物語、そして著者の「ロシア語のことしか考えていなかった青春の日々」が、瑞々し

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『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』 坂井豊貴

『多数決を疑う 社会的選択理論とは何か』 坂井豊貴

構成員一人一人の意見が共同体の意思決定に反映される民主制。多数決は、その意思決定の代表的であり最も有名なプロセスだ。
その多数決を「疑う」という本書、内容が気になって読んでみたら、とても面白く勉強になった。

★多数決の弱点

著者はまず、多数決による決定において生じうるいくつかのパラドックスを、選挙という例を使って説明する。

(例1)
1人の有権者が1名の候補者だけに投票する単記式の多数決によ

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『海事史の舞台』 別枝達夫

『海事史の舞台』 別枝達夫

激安古本で出回っているが、お値段以上の価値がある、この一冊を紹介したい。

著者、故別枝達夫氏(1911-1978)は、イギリスの海事史を主な研究分野とした歴史学者。
本書は、海事史研究に関する氏の貴重な著作を長いものから短いものまで集めた一冊である。

*****

骸骨旗の帆船に凄みのあるいでたち。カリブ海で暗躍したような、いわゆる海賊たちの起源は、16世紀、エリザベス朝のイギリスにあるという

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『統合失調症の一族』 ロバート・コルカー

『統合失調症の一族』 ロバート・コルカー

この本をはじめて見たのはどこかの洋書サイトでだったか。目が引き寄せられたのはその表紙、豪華な螺旋階段にずらりと並ぶ正装した大家族の写真である。
題名は"HIDDEN VALLEY ROAD Inside the Mind of an American Family”。
なにやらアメリカの個性的な家族の話らしいこの本には、素通りできないものを感じた。
ただ値が張るのでちょっと検討、とアマゾンのカート

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『宇宙からの帰還』 立花隆

『宇宙からの帰還』 立花隆

「地球は青かった」というガガーリンの言葉は、人類で初めて宇宙から地球を見た宇宙飛行士の言葉という文脈を背にして、壮大で深淵に響く。
しかしその言葉だけ冷静に見れば、実は詩情もなにもない実際的な響きだ。
なるほど、マーキュリー、アポロ、ソユーズなど、1960年代から始まった宇宙飛行の計画では、宇宙飛行士に抜擢される大部分は軍人だったという。軍人かつ技術系インテリである宇宙飛行士は、人文系の文化とは縁

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『牧師、閉鎖病棟に入る。』 沼田和也

『牧師、閉鎖病棟に入る。』 沼田和也

本書は、牧師の沼田和也氏が、3ヶ月の精神病棟への入院を通して見知ったこと、学んだことを綴ったエッセイ/ノンフィクションである。

幼稚園の理事長兼園長としての仕事に忙殺されストレスが爆発してしまった氏は、妻のすすめに従って精神科の病院に入院する。

自分自身が入院患者となったことで、今までの自分が牧師としての役割とはいえ、その溝を自覚せずに「わたしたちは一つになって祈っている」と思い込んでいたこと

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『時間の終わりまで』 ブライアン・グリーン

『時間の終わりまで』 ブライアン・グリーン

「我思う、故に我在り」とは言うが、そんな我とは何ぞや?
太陽の周りを周る地球の上に存在する人間という生命体、分子の集合体である有機物が、思う、その思いとは何から作れどこに存在するのか。
そんな、考えてみたら不思議なことについて、改めてじっくり考えるための、こっくりと濃密な手引き書がここにある。

壮大なテーマを扱う本書は、次のような筋立てで書かれている。

・エントロピーの法則
・宇宙の誕生と生命

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『ウクライナの夜 革命と侵攻の現代史』 マーシ・ショア

『ウクライナの夜 革命と侵攻の現代史』 マーシ・ショア

ロシアやオーストリアという大国の間に位置していたという地理的理由、また、土壌が肥沃で農作物がよく育つという土地としての魅力から、歴史上常に各国間での取り合いの対象とされてきたウクライナ。
そんな国の近代から現在までの歴史、とりわけ2014年のマイダン革命からウクライナ東部での紛争とロシアの介入に至るまでを、渦中に身を置き、目で見て肌で感じてきた個人たちの心の動きを通して伝える。

学者や学生、ビジ

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