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「書評」の目的は「売る」だけじゃない

冷静に考えました。

本屋大賞に関しては私も納得できない点があります。「売りたい本」ではなく「売れる本」「売れそうな本」を推していると。個人的には「知名度の低い名著」や「売れてないけど深く考えさせられる一冊」を紹介できる存在でいたい。それが書店員の矜持ですから。

一方で受賞作が高い評価を受けているのも事実。今年は4位の伊坂幸太郎「逆ソクラテス」と6位の伊与原新「八月の銀の雪」しか読んでいませんが、いずれも「いまの時代に必要な一冊」「多くの人に読んで欲しい」と感じました。ゆえに賞の意義を全否定はしません。多くのファンもついているし、ひとつの正解だろうと受け止めています。

TikTokはよく知りません。しかしながら職場の文庫コーナーに「TikTokで紹介された本」のスペースが設けられ、一定の成果を挙げています。素直に感心しました。私がnoteや読書メーターで本を絶賛しても、どこかの書店が「Y2K☮の推薦本」コーナーを作ることはないですから。

ただここで大切なのは「書評は本を売ることだけが目的ではない」という点。もちろん売れるに越したことはありません。でも読んだ人が知的好奇心を刺激され、本やジャンルへ関心を抱き、何かを深く考えるキッカケにしてくれたらそれがいちばん嬉しいのです。

池袋にある新栄堂書店のホームページには「本を通じて地域の知的生活向上に貢献し、人の歴史と未来の足取りに寄与します」という一文が見えます。理念は不可欠。忘れたら商売ではなくただのカネ儲けです。

TikTokerの方々にはどんどん好きな本を紹介していただきたい。私は「本の紹介を通じて何に寄与するか?」を訴えていきます。もし「理念で本が売れる?」と笑われても気にしない。「売れるのだけが正義?」って話。口は悪いですけど、豊崎さんが言わんとしているのもこういうことかもしれません。

互いの長所を認め合う関係でいて欲しいです。どちらも本が好きなんだから。

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Y2K☮
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