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今回の芥川賞は「強炭酸」と「モルトウイスキー」
この季節が来ました。
今回は芥川賞候補について。
あらすじを眺め、まず読みたくなったのは↓。
安堂ホセさんの「DTOPIA(デートピア)」です。出版社は河出書房新社。単行本は11月に発売されています。
安堂さんが候補になるのは3作連続。「ジャクソンひとり」(河出書房新社)が若年層によく売れた記憶が残っています。
今回の舞台は恋愛リアリティーショー。「ひとりの女を巡る、世界各国十人の男たちの争奪戦」とのこと。諸々の紹介文を見ても、なんというか危険な香りしかしません。四方八方へ鋭利な先端を伸ばし、なおかつ現在進行形のオーソリティーに対し単身バトルを仕掛けるような。
でも、このいい意味での不穏さと斬新さ、そしてそれらを生み出す挑発的な精神こそ芥川龍之介及び彼の名を冠した文学賞の持ち味。私みたいなアナログ中年がついていけないと慄くぐらいでちょうどいい。怖いもの見たさで覗いてみます。
↓も気になりました。
乗代雄介さんの「二十四五」です。出版社は講談社。単行本は1月16日に発売されます。
乗代さんが候補になるのは5回目。「皆のあらばしり」(新潮社)は初めて触れるジャンルと世界観でした。「それは誠」(文藝春秋)は現代性と懐かしさのキメラ。いずれも若い主人公の抱えるモヤモヤに「実は俺も」という親しみを覚えました。今回もきっと世代の違いを超越した面倒臭い真摯を斜めに掘り下げてくれるはず。
あと興味深いのはタイトル。デビュー作「十七八より」(講談社)と繋がりがあると見ていいのでしょうか? 乗代文学の第二幕を告げる狼煙が、すでに人知れず上げられたのかもしれない。
「DTOPIA」の強炭酸めいたダイレクトな刺激に惹かれつつ、何年もかけて熟成してきたモルトウイスキーを思わせる「二十四五」からも目が離せない。そんな心境です。
選考会は1月15日。午後7時ぐらいに結果が出るはず。楽しみにしています。
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