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「おもしろい」と感じられる仕事を続けていく

10月9日に↓が発売されました。

谷津矢車「蔦屋」(文春文庫)です。

学研プラスから出ていた単行本は長らく絶版状態。来年のNHK大河ドラマ「べらぼう」に合わせて復刊してくれることを願っていました。

蔦屋重三郎が主人公の小説はいくつか存在します。すべてを読んだわけではありませんが、私は今作の蔦重がいちばんカッコいいと確信しています。理由は作中で彼の発したひと言。

「そっちの方がおもしろいからに決まっているでしょう?」

どちらへ進むか迷った際は「おもしろいと思えるかどうか」を判断基準に据える。一度決めたら迷わず、立ち止まることはあっても後ろを振り向くことはしない。そんな人生に憧れていました。

もちろん理想はあくまでも理想です。目の前の現実と折り合いを付けていくのが大前提。しかし頭の片隅に置いておけば意外なところへ顔を覗かせ、人生に彩りを添えてくれる。

書店員の仕事でたとえてみます。

「この本を売りたい」「もっと多くの人へ届けたい」という熱は大事。でもそれだけが先走り、商売であることを忘れれば足元が崩れてしまう。だからこそ客層や売り上げデータに目を向け、フィルターを通過できたものだけを注文する。

妥協? そうは思いません。どちらかといえば止揚に近い。

自分が担当じゃなければ、お店の誰も仕入れない。そんな一冊を棚へ置き、なおかつ結果に繋げたい。「売れなくてもいい」ではただの独り善がりだし「売れれば何でもいい」はお客さんに見透かされる。

「好き」と「商売」を両立させてこそプロ。少なくとも私はそういう書店員でありたい。なぜなら「そっちの方がおもしろいから」です。

というわけで、最近仕入れた本を紹介させてください。

いずれも「いまが読む時」だと考え、選びました。お近くの書店で見掛けたらぜひ。

おもしろいと感じられる仕事を続けていきます。

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