ショートショート「別れ」(再掲)
わたしは猫である。
いつだったか散歩の途中でばったり出会った人間の雌に世話をさせている。初めの内は食事の用意をさせていただけだったが、離れる時になるといつも寂しそうな顔をするのでその人間のねぐらまで送ってあげた。そうすると喜ぶようなので、いっそのこと一緒に生活してみるかと、その人間のねぐらに居ついた。するとやはり人間の雌は大変喜んだ。
その人間の雌の名前はタカコだ。本人がそう名乗った。
キゾクのキと子供のコでタカコ。「完全に名前負けで、みんなにとって貴い存在どころか邪魔者