ナアジマ ヒカル

演芸好き。身内が落語家。創作好き。果物好き。アラフィフ会社員。

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マガジン

  • 秋ピリカグランプリ

    • 188本

    2024年・秋ピリカグランプリ、記事収納マガジンです。

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    2024年・秋ピリカグランプリ応募作品マガジンです。

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    2024年・秋ピリカグランプリ入賞作品マガジンです。個人賞(受付順)、すまスパ賞(受付順)。読者賞は決まり次第追加いたします。

  • 拙著「おーい!落語の神様ッ」に寄せられた感想と応援

    創作大賞に応募した拙著「おーい!落語の神様ッ」に寄せられた宝物のような感想と応援マガジン。

  • 創作大賞感想

    烏滸がましくも感想文を書かせて頂きました。

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おーい!落語の神様ッ 第一話

 紋付羽織袴姿の男が深夜の浅草を千鳥足で歩いている。この界隈の人達は気にもとめない。「どうせまたどっかのバカが飲み過ぎたんだろう」と見て見ぬふりをしてくれる。  どっかのバカの正体は、この秋二ツ目から真打に昇進が決まっている落語家の紅葉家咲太、三十四歳。落語の世界ではまだまだ産声を上げたばかりのひよっこだ。  この日、咲太は昇進が決まった同期との「昇進祝いの落語会」をすっぽかしていた。紋付羽織袴に着替えたまでは良かったが、開演前の空き時間でパチンコ屋に入ったらもういけない。気

    • ショートショート「別れ」(再掲)

      わたしは猫である。 いつだったか散歩の途中でばったり出会った人間の雌に世話をさせている。初めの内は食事の用意をさせていただけだったが、離れる時になるといつも寂しそうな顔をするのでその人間のねぐらまで送ってあげた。そうすると喜ぶようなので、いっそのこと一緒に生活してみるかと、その人間のねぐらに居ついた。するとやはり人間の雌は大変喜んだ。 その人間の雌の名前はタカコだ。本人がそう名乗った。 キゾクのキと子供のコでタカコ。「完全に名前負けで、みんなにとって貴い存在どころか邪魔者

      •  秋ピリカグランプリのゲスト審査員、良い経験をさせて頂きました。運営陣と審査員の皆様に感謝申し上げます。 「好みで選ぶ」と公言する事は、とことん自分と向き合い、それまでの人生をかける事と同義です。今後もそれが出来る人が審査員になるはず。  同賞のさらなる発展をお祈り致します。

        • 身内の大切な会が無事終わりました。 noteでご縁を頂いた方、遠方にも関わらずお越し頂いた方、本当に有難うございました。チラシ設置などいっぱい応援頂きました。お陰様で満員御礼でした。まだまだ本人も課題山積。精進の日々です。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

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        おーい!落語の神様ッ 第一話

        • ショートショート「別れ」(再掲)

        •  秋ピリカグランプリのゲスト審査員、良い経験をさせて頂きました。運営陣と審査員の皆様に感謝申し上げます。 「好みで選ぶ」と公言する事は、とことん自分と向き合い、それまでの人生をかける事と同義です。今後もそれが出来る人が審査員になるはず。  同賞のさらなる発展をお祈り致します。

        • 身内の大切な会が無事終わりました。 noteでご縁を頂いた方、遠方にも関わらずお越し頂いた方、本当に有難うございました。チラシ設置などいっぱい応援頂きました。お陰様で満員御礼でした。まだまだ本人も課題山積。精進の日々です。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

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        記事

          わかってしまったのも数作ありますが、なんとかほぼ作者名不明のまま審査中。好きな文章に出会った時の嬉しさったらハンパないです😊 あっちのmini活動でスカウトしに行くかもしれませんので優しくしてください✨

          わかってしまったのも数作ありますが、なんとかほぼ作者名不明のまま審査中。好きな文章に出会った時の嬉しさったらハンパないです😊 あっちのmini活動でスカウトしに行くかもしれませんので優しくしてください✨

          秋ピリカグランプリ2024 審査心構え

           この度「秋ピリカグランプリ」のゲスト審査員を仰せつかりましたナアジマヒカルと申します。  身内に演芸関係者がいる、演芸好きな会社員(1975早生)です。  別アカウントで参加した第一回目となる「P-1グランプリ」と、同アカウントで参加した第四回目となる「春ピリカグランプリ2023」の二度の参加経験がございます。第二回と第三回の開催時は都合が悪く、残念ながら参加出来ていないのですが、ご参加された方々は錚々たる書き手ばかりで、傑作秀作揃いだと把握しております。  さて、この

          秋ピリカグランプリ2024 審査心構え

          隅田川の灯籠流し

          隅田川の灯籠流し

          創作大賞感想【骨皮筋衛門&ドシャえもん/はそやm】

          子供達がゲラゲラ笑い転げる様子が目に浮かぶ。 この場合の子供達というのが、令和の子供達を指すのかはわからないが、少なくとも私の子供時代なら夢中になって回し読みをしてみんなでゲラゲラ笑っているなと思った。 厳密に言えばそれさえも私に子供心が本当に残っているのかどうか怪しい今となっては確かめるすべもない。 しかし、著者であるはそやm(「はそやん」と発音すると認知している)さんは、ひょっとして赤塚不二夫的センス、才能の持ち主ではないかと疑っている。 それはなんと言っても特異

          創作大賞感想【骨皮筋衛門&ドシャえもん/はそやm】

          創作大賞感想【グラニュレーション/さくらゆき】

          まるでギャラリーの濃厚で贅沢な静けさに身をゆだねている感覚。 あの独特の空気感が漂う作品だと思った。 水彩画家の荷堂愛佳とギャラリーのスタッフ・真中龍史。どちらも「まなか」という共通点。運命のいたずら。 穏やかな筆致で紡がれるピュアなラブストーリーなのだが、読んでいて呼吸がうまく出来なくなるほど切ない描写もある。二人の抱える深刻な心の傷、闇、あるいはトラウマと言ってもいいだろう。それが大きな呪縛、壁となってしまうのだ。 その心の闇を象徴するものとして、 スペインの画家

          創作大賞感想【グラニュレーション/さくらゆき】

          創作大賞感想【ラプソディ・イン・ブルー/いぬいゆうた】

          「カメラを止めるな」  作中にこんなセリフは出てこない。出てこないのに、読み終えた後、無性にそんなセリフが云いたくなってしまった。  もちろん作中のセリフも然り。十秒のことを「とうびょう」と言いたくなったし「掛け合いチェックお願いします」や「CMいって」など一人報道番組(作中の架空の番組『なまら早起きワイド』通称『なまはや』)ごっこをしたくなってしまうのである。  なぜなら本作がニュース番組の舞台裏を臨場感たっぷりに魅せてくれるカッコイイお仕事小説だからだ。  専門用語が

          創作大賞感想【ラプソディ・イン・ブルー/いぬいゆうた】

          創作大賞感想【北風のリュート/deko】

          「空を見上げている」  視線をスマホやPCに向けていながらいつも空を見上げる自分を思い描いている。そんな物語だった。  見知らぬ土地の見知らぬ空の小さな異変を皮切りに、まるで夏空の入道雲のように、町から県、県から国、国から世界へと恐怖と問題が巨大化していく。  問題を解決するのは主に、身なりに無頓着で天才肌の気象研究官・流斗、実直な好青年の戦闘機パイロット・迅、そして特別な力を持った内気な女子高生・レイ。  脇を固める登場人物達も十分に魅力的。陸自のお偉方や市長や国の官

          創作大賞感想【北風のリュート/deko】

          創作大賞感想【花畑お悩み相談所/穂音】

          「あ、位相がズレた」  そう思った時からもうこの物語から逃れられない予感がした。 「そこのスイッチ押してきやがったか」というぞくぞくする感覚。   第一話、誰もが知っているであろう童話が少し内容を変えられて提示される。実はもうここから位相のズレが始まっている。  その童話たち(改作童話は複数ある)が主人公のもとへメールとして届くのだ。送り主は意識不明の孫。  昏睡状態にある孫からの、届くはずのない不思議なメールをめぐる冒険の始まりである。  そして主人公(祖母)の前に

          創作大賞感想【花畑お悩み相談所/穂音】

          あとがきにかえて

           5月初旬に書き始めてようやく本日、仕事の休憩時間などを利用しつつ最終話まで漕ぎつけて公開しました拙作『おーい!落語の神様ッ』、読んで頂けた方々に厚く御礼申し上げます。これからお読み頂ける方にも心より感謝申し上げます。  身内の仕事である「落語」を少しでも多くの人に知って貰いたい。その魅力を知って貰いたいという思いからお仕事小説のジャンルに応募しました。  ただ、正直申し上げますと、お仕事小説という言葉を知ったのが最近なら、それがどんなものか知らないままの初挑戦。頭にうっす

          あとがきにかえて

          おーい!落語の神様ッ 最終話

           目を覚ますと咲太はベッドの上にいた。病院だとわかる。窓から堂々と入り込んでいる陽射しを見て日付が変わった事を知る。 「そうか。俺は倒れたんだった」  咲太は目を瞑って千秋楽の事を順番に思い出していった。    まず、朝からおそ咲から電話があった。 「兄さん、大変です!」 「お前らの電話はのべつ大変じゃねえか」 「がんも兄の代演にみかん姉が入ってるんです」 「どうして?」 「わからないっす。あと、さん太師匠の代演にとんび師匠が入ってるんです」 「どうして?」 「わからないっす

          おーい!落語の神様ッ 最終話

          おーい!落語の神様ッ 第十五話

           八日目、咲太が楽屋入りすると、いつもと違って賑やかだった。どうしたのかと思って顔を出すと、出番が終わった師匠方が師匠の柳咲を囲んで歓談していた。 「師匠っ!」  咲太が思わず声を出す。 「そんなツチノコを見つけたみたいな声を出す奴があるかい」 「どうしたんすか」 「どうしたもこうしたも、陣中見舞いに決まってるだろうが」  山盛りになっている楽屋見舞いはきっと柳咲が持参したものだろう。 「師匠、もう八日目なのに、まだ満員にはなってなくて……」  咲太が項垂れる。 「あと二日も

          おーい!落語の神様ッ 第十五話

          おーい!落語の神様ッ 第十四話

          【神々の寄合 シーン77】  自らを半福神と称する青白い顔をした手の平サイズの爺さん達が永遠に続く蚊取り線香さながらの布陣で座っている。身なりは一様に小汚く、その百体以上いるそれぞれが百一匹ワンちゃんのように酷似している。 「落語は面白いですなァ」 「そうですなァ」 「頭に桜の木が生えてくるやつなんかが好きですな」 「いいですなあ。われは人間が最後に蕎麦になる噺も好きですな」 「それもいいですなァ」 「落語の面白さって何でしょうな」  腕を組んだ半福神が皆に問う。 「何でしょ

          おーい!落語の神様ッ 第十四話