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秋ピリカグランプリ2024 審査心構え

 この度「秋ピリカグランプリ」のゲスト審査員を仰せつかりましたナアジマヒカルと申します。
 身内に演芸関係者がいる、演芸好きな会社員(1975早生)です。

 別アカウントで参加した第一回目となる「P-1グランプリ」と、同アカウントで参加した第四回目となる「春ピリカグランプリ2023」の二度の参加経験がございます。第二回と第三回の開催時は都合が悪く、残念ながら参加出来ていないのですが、ご参加された方々は錚々たる書き手ばかりで、傑作秀作揃いだと把握しております。

 さて、このピリカグランプリはそもそも、主催者であるピリカさんが、ご自身の書かれた創作によって得た賞金がきっかけで誕生した私設賞だと伺っております。
 そして同賞は、noteの中で創作を楽しむ人々にとって、少しでも研鑽の場になればというお気持ちからの発足だと想像します。
 またその志に共鳴し「ピリカの名のもとに」集まった運営の皆様には頭が下がる思いです。

 とは言え、同賞の良さは、堅苦しさがなく、主催のピリカさんや運営の皆様が嬉々として楽しんでおられる町内会のお祭りのような趣がある所だと思います。
 私も町内会のちょっと偏屈なジジイの一人として、審査をさせて頂きますが、その前に、「ナアジマヒカル」はどんな人なのか、を審査に関係するかもしれない要素でご説明いたします。

 もう離れてだいぶ経ちますが、前職では商業出版界の末席におりました。ノンフィクション分野で累計40万部シリーズの単行本に携わったのが一番の功績です。反対に全く売れずに速攻で絶版になった本も多数排出しています。
「この人は才能がある」と関わった作家さんが大出世した人もいれば、いけないものに手を染めて行く方知れずになった人もおります。

 何が言いたいかと申しますと、私は「売れる」物を見極める絶対的な目を持っていないということです。お付き合いのあった大手版元や周囲にもそんな絶対的な目を持った人はいなかったです(1発ベストセラーを出せるだけでも凄い世界ですが)。ただ、商業ですから、外してばかりでは成り立ちませんので、(極端に言うと)赤字の本が多くてもたまにベストセラーが出れば会社は潰れません。

 ちょっと話が逸れてきました。私は「売れる物が必ずしも良いもの」、あるいは「良い物が必ずしも売れる」とは思ってません。世に出る出ないはただのタイミングだと思っています。

 話を元に戻します。今回、同賞に応募される方はおそらくほぼ全員がアマチュアだと思います。「売れる売れない」が関係のない人達の祭典です。その中にはプロを目指している人もいるかもしれません。ただの趣味の人もいるかもしれません。
 いずれにせよ、アマチュアの良さは、自由に書けるという事に尽きると思います。商業出版では何かしらの制約が出てきます。公序良俗に反するものや、特定の個人や企業などへの誹謗中傷などは同賞でもよろしくないですが、今回のテーマ「紙」に即して、「自由に書ける特権」を活かして貰いたいです。

 審査員も全員アマチュアです。自由に審査をするはずです。そしてお祭りを楽しみたいという精神のもと、他にはない懐の深さがあると思います。
 かくいう私の基準は単純です。ただの「好み」です。何の指標もありません。ここまで偉そうに書いてきてそれかよと思った方のご批判は甘んじて受け入れます。私がおよそ50年生きた人生の偏った知識と偏愛によって審査をします。それがアマチュアだからです。
 先ほども申し上げた通り、自由に書かれたものを読みたいという気持ちがありますので、文法間違いや少々の読み難さは審査の対象ではありません。
 私の心が動いた、残った、刺さった文章、かっこいいものよりかっこ悪いものに高評価を付けると思います。
 もっと言うと、私の中の「ある種の純粋さ」を思い出させてくれて追体験させてくれる作品が読みたいです。
 でも、繰り返しになりますが、自由に書いて欲しいです。
 
 審査員をざっと見渡せば、確かな読書量を誇り、面白い作品を書き、人生経験も知識も豊富な個性豊かな(癖が強めな)方々ばかりなので、個人賞を狙っての執筆など、応募から結果発表まで、楽しんでご参加頂けることは間違いないと思います。
 自分が書いた作品を確実に、真剣に読んで貰えて、入賞すれば、責任を伴って書かれた感想が貰える。これはプロを目指す人もそうでない人にとっても良い経験だと思います。
 こんな経験はなかなか得難いと思います。
 恵まれた環境のクリエイターさんに限っては、普段当たり前に行われているコミュニケーションの形かもしれません。でも皆が皆そうではないはずです。
 せっかく書いた作品を確実に、少なくとも10人の審査員には真摯に読んで貰えるこの「秋ピリカグランプリ」にぜひ応募してみてはいかがでしょうか。きっとアナタの人生を豊かなものにしてくれるはずです。

 
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