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【介護保険】「史上最悪の介護保険改定」を読んだ印象

たとえば、現在211万人ー220万人の介護職員は働いています。全国1700の市町村のなかには、人口1ー2万人の自治体がたくさんあります。そうゆう自治体において、そこそこボーナスをもらい、給料を得れるのは福祉職員と公務員だけです。しかし施設職員の給料は上がらない。ですから、介護保険に財源を投入するということは、働いている人たちの消費行動を促し、雇用の創出にもつながります。

史上最悪の介護保険改定?!/上野 千鶴子、樋口 恵子 (著)

こんにちは、けいごです。

以前「史上最悪の介護保険改定?!」という本を紹介しました。

この本では、2024年の改定検討案は最悪だという主張のもと、それぞれの制度改革に関しての懸念ポイントがまとめられています。
本記事では、本書の内容を読んで私が感じたことをまとめていきたいと思います。
※それぞれの主張を否定をしているわけでありません。


政策決定の難しさ

政府は改革案を出して伝えでいますが、議論の場を設けて見送りにするのか、進めるのかを決めています。
実際に今回2件は見送りにするという方向になっています。
「何かこうしないといけない」と理由があるから動いているのは、立案者も、反対する人も一緒ではないでしょうか。
政府の立場からしたら、「削りたい」、ではなくて将来を見越して削るべきかと考えてるのかもしれません。

しかしながらボトムアップ式でないことは、少し問題な気がしますが、この件については私もリーダー経験で、意思決定の難しさを実感しています。皆んなが納得する、賛同する意思決定は不可能です。

こちらについて私としては、全員への(確実な)意思確認と統一は不可能だからこそ、より小規模で、各自治体に合わせた福祉制度の運営をしていく必要があるかと考えます。

解決案を知りたい

私は、主張があるなら解決策を述べる必要があるという価値観を持っています。
しかし、今回読んだ内容において、ほとんど解決策は語られていません。
気になるのは特に以下です。

①国防費をあげるなら介護保険に回す
③介護保険は黒字

①国防費をあげるなら介護保険に回す

こちらは介護保険だけでなく、より広い視野で考える必要があります。
皆さんがご存じの通り、現在はロシアとウクライナで戦争しています。それに付随して、中国と台湾がにらみ合っています。

もし仮に台湾が中国にとられたら日本はどうなるのか、こちらについては本記事と脱線しますので、気になる方は以下の本を読んでみることをお勧めします。

もし仮に台湾がとられれば、ご高齢の方ももちろんですが、そもそも日本人全員の生活が苦しくなり、成り立たなくなる可能性があります。
この世界情勢で、福祉国家ですら軍事費を上げている状況です。

日本の特性を考慮し、他国がとられればどうなってしまうのか、それを含めた解決策を導き出して初めて、軍事費を削減するという決断が出来ます。

日本にとって、介護保険を含む社会保障給付費は大きな支出です。時代や状況に応じてそれぞれの費用とバランスをとる必要があります。

②介護保険は黒字

著者は介護保険は創設された当初から、改定を繰り返すも常に黒字であったと主張しています。
しかしこれは制度を改定していっているから、なんとか黒字になっているだけの可能性があります。
※ごめんなさい、こちらはよく調べてないので間違っているかもしれません。もし間違っていれば、コメント欄にてご遠慮なくご指摘ください。

今後も介護保険の費用は高齢者人口に比例して増えていくと考えられる中、それに応じて制度を合わせて変えていくことは、必然的な流れではないかと考えます。
それが今赤字になっていたら、将来的に増大する費用はどこから賄うのか。

本書からは読み取れませんが、赤字になれば足りない部分は税金で補うということなのか、それであれば増税していいのか、他の費用を削減するなら、ほかの費用のどの部分をとって、どのようなリスクをとるのか、ここら辺の考え方を更に知りたいです。

因みに増税に関しては、以下の本が参考になります。漫画で読みやすいです。この本を読んだ私ですが、消費税の増税は肯定派です。

介護職の収入アップをすると地方経済の活性化になる?

本記事で紹介した結城康博さんの考え方は個人的に好きなのですが、実際のところ福祉職員の収入アップにより、地域経済の活性化に繋がるのかは不明瞭です。

ベースアップをして、生活必需品の売り上げだけが上がるのであれば、この構図は成り立ちそうですが、実際には収入アップした分でAmazonなどの外資系が潤う可能性が高いと読んでいます。

どちらかというとインフラ産業だけではない、地域の強みを活かした旅行者も定住者も取り込めるような産業や制度を地方がどれだけ生み出せるか、自治体はそこにどれだけ投資出来るか、これが勝負だと考えます。

私の考え「ベーシックサービス」

国のお金の使い道についてあれこれ考えるのは、私にとっては複雑な問題過ぎて良い解決策を導き出すことが出来ません。

しかしながらどのような考え方を支持するか、理想に近い考え方を述べさせていただくと、以下の書籍の考え方が近いです。

こちらの本では、「消費税を20%まで増税し、ベーシックサービスという形で国民の生活に必要なもの(医療、介護、教育、障がい者福祉)を全て無料提供し、必要最低限の生活を送る基盤を作る」という提案がされています。

これが実現すれば、国民は税金と居住費、インフラ費、食費だけを稼ぐことで生活していくことが出来るようになります。
しかしながら、これを実現するにはゼロベースで全てのサービスを作り直す必要があります。
※介護保険がある現在ベースでの提案をしないことは、ずるいかもしれませんが、個人的にはもうゼロベースで考える他ないかと考えます。

もちろん、このやり方にも問題があり、医療費無料化による患者の殺到で、緊急以外の医療を受けるのが通常2か月後になるなど、そういう懸念点はあります。
これについては、0.5割の自己負担にするなど、調整は可能かと思います。
これ以外にも、私が気づいていない点もあるはずです。※こちらも合わせて、コメント欄にご指摘いただければと思います。

どんな物事にも裏表がある

以上のように、どんな物事にも常に裏表があります。
特に介護の現場では、そんなことが日常茶飯事です。

例えば、食事をとらずに居室に戻ってしまうご利用者に対して、食事を食べてもらうために車椅子とテーブルを固定すれば拘束になりますし、食べきるまでなんども起床してもらってもある意味拘束、そして自由に自分の意思で行動してもらえば、食事をとらず介護者の放置によるネグレクトになってしまいます。どちらをとっても好ましくない介護にも見えれば、反対から見れば適性な介護にも見えるものです。
介護の仕事というのは、そのくらい奥が深く、正解のない楽しい仕事なのです。

同じように一つの政策方針が悪く見えても、見ている位置を変えると良く見れたりします。

そして、今回の主張の多くは介護事業を経営している方の主張です。
経営者には、その施設を存続させるという、生き残りをかけた戦いをしています。
利用者さんの生活だけでなく、自分の生活もかかっているのが事実です。
そのような方々が、介護保険にお金を投入してほしい、と思うのは当然のことです。

介護保険を潤沢にするリスク

一時、コロナ下での事業者への補助金を100万円支給するという、国の政策がありました。これに対して、生活の足しにして食つなぐわけでもなく、パソコンを買うためにそれを申請して、それが突然下りなくなり怒っていた方がいました。これと同じように、介護保険が潤えばそれを上手いように活用してしまう方も現れるでしょう。

なので介護保険を安易に潤沢にさせる、という判断にもリスクが伴ってしまうことがあります。
実際に施設介護でも今起きていることは、要介護度4、5でなるべく介護負担がない方を入所してもらうようにすることで、本当に介護が必要な方に介護がいきわたらない構図です。

民主主義の限界

一度作った制度を時代に合わせて変えていく、というやり方には一定限界がある一方、まっさらにして一から作り直す、という方法には社会の混乱が伴います。
その狭間で、人それぞれの意見を取り入れ、実行していくこと、それは他の意見を切り捨てるということにもなります。もしかしたら介護保険を複雑にしているのは国ではなく、私たちなのかもしれません。

この多様な価値観のある時代で、民主主義で対応するには限界があるのです。
つまり介護保険という日本全体としての政策ではなく、より小規模で地域に合った政策をする必要があるのではないかと思います。
なので私は、市町村ごとに政策の方針が異なる、「総合事業」には肯定しています。

この本で紹介されている方々は、ご利用者様の最善を常に考え実践されている方々です。
私は、その誇りを持って経営されている方々を尊敬致します。

※因みに以上までの件については、書きたいことがまだまだ山ほどあります(笑)
文量が多くなってしまうので、本記事ではここまでとさせていただきます。

その上で私はどうしていくのか

ここまで長々と語らせていいただきましたが、私としては今までもこれからも、「与えられた枠組みの中で、よりよい社会のために自分の出来る行動・やりたいことをする」ということに尽きます。

私の役割は「今役割がないと感じている方に、役割を取得、発揮できるようなサポートをしてつながりを構築していくこと」だからです。

以下に、自分の行動・取り組みの軸を書いた記事を添付します。

今後とも宜しくお願い致します。

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