第9話 無くしたパズルのピースが見つかった
2008年2月
下旬
誰にも相談することなく日本を飛び出した僕が知らない土地で何かを始めようとする、それがどれだけ両親に心配をかけていたのかはその時の僕にはわかるはずもなかったけれど、きっと断腸の思いがあったはずだと、自分の子が思春期にさしかかってようやく気がつくこともある。こちらからは近況報告など一切しなかった僕の唐突な依頼に母は驚きと憤りを隠せなかったけれど、何も言わず僕の調理師免許と戸籍謄本を外務省に持っていき交付されたアポスティーユの貼られた書類を国際郵便で送付し