小説 花の意志 第4話 a. 狂愛
廃都市の果て。
此れより先は大量の灰色の砂が一面を覆い、建物も極端に少なくなっている。
昔はそれなりに建物が建っていたのだろうけれど、風化し、砂と化したのだ。
そんな光景を見ながら師匠とふたり、崩れた壁を背にして座っていた。恐らく元は家の壁だったのだろうけれど、もはや座高ぐらいの高さにまで崩壊し、うっすらと間取りを浮かび上がらせる程度だった。
彼女の顔色は悪く、少年と対峙していた時の余裕や威厳は消え去っていた。
暫くの沈黙の後、彼女は深い溜め息をつき、呟いた。
「あの子…