小説 舞闘の音 第一幕(五)
頭の中に静かに音楽が流れ始める。これは作戦開始2分前である事を意味していた。
まるで砂漏のような静かな音楽。しかしその背後には何処となく不穏な空気を纏った旋律が潜み、凶兆を想起させる。
私は暗闇の中、息を潜め、対象の集落を観察していた。走ればもう十歩ほどで集落に入れる。殆ど潜入していると言ってもいい位置に居た。集落の人間は寝静まっているようだ。
音楽は徐々に盛り上がりを見せ、身体に染み入ろうとするのがわかる。それは例えるなら、腕の太さほどもある蛇が尾骶骨からゆっくりと腰を腹を