NO,27 大事な書類とサチコと私
これは前に7年程勤めていた会社の同僚の話だ
まだ私が入社して3-4年目の話で
サチコという名のスタッフがいた
私は5-6人しかいない部署に行く事になった
私に拒否権はなかった
何故なら生活がかかっていたからだ
毎朝上司に会いその日の仕事を貰う
800-1200枚ぐらいの書類だ
紙は数枚だと軽さは感じないが
流石に1200枚もあると重い
1枚づつ書類を見て仕分けをし
その日の仕事をこなしていく
サチコに仕分けを任せると
いつも間違えていたり
大事な書類なのにすぐ無くしたりした
個人情報が特盛の
命の次に大事だと言われている書類だ
無くした時はパニックになりながら
スタッフ全員で泣きながら探した
業務でパソコンを使う時もあるのだが
サチコは何回も教えても全然覚えられなかった
みんなで頑張って教えたが
シャットダウンやダブルクリックの
仕方すら覚えなかった
それどころか書類の枚数すら
ちゃんと数えられず
いつもみんなに迷惑をかけていた
サチコは全然何1つ仕事を覚えない
サチコに仕事を任せると
書類はすぐ無くす
数はほぼ数えられない
備品はすぐに壊してしまう
踏んだり蹴ったりだ
みんなサチコに振り回され
毎日ぐったりと疲れ切っていた
でもいつもサチコは
私は出来ます!やります!と
言うのだった
嘘なのか?
それとも自分は出来ていると思っているのか?
その答えは今だに分からない
ある日私は上司に呼び出された
失敗した記憶はないので
何故呼び出されたのか分からなかった
突然急に部署変えを言われた
私は踊りだしたくなるぐらい嬉しかったが
顔には出さず平然な顔をしているつもりでいた
私は1人だけサチコから逃れられる事が出来た
もうサチコに振り回されないと思いうと
自然と笑みがこぼれた
その後もサチコは部署に残った
結局何も覚えられず
足を引っ張るだけのサチコなので
仕事の時間の問題もあり
新人を2人程入れる事になった
次々に仕事を覚える新人
しかし何も覚えられないサチコ
みんながサチコに愛想が尽き
自然と距離を置くようになった
サチコはついにストレスからか
内臓を悪くし病院に行くようになった
お昼ごはんも食べれなくなったらしい
そしてある日
みんなが私を無視するの!
といい会社を辞めてしまった
その後のサチコだが
私の知り合いのいる会社にきたらしい
そこでも全然仕事を覚えられず
みんなの足を引っ張っていると聞いた
嘘をつくのは簡単だ
出来ますというのも簡単だ
でも実際には出来ていないと
みんなに迷惑をかけてしまう
お客様にも迷惑をかけてしまう
たった1人が嘘をつき仕事が出来ないと
みんなでフォローしないといけない
効率も悪いし時間ばかりかかり全然進まない
私は分からないなら分からないと
出来ないなら出来ないと
正直に教えて下さいと言う事が
大事で大切な事なんだと
サチコに教えられた
今はもうサチコが
どこで何をしているかは分からない
サチコが好きだったセブンイレブンの珈琲を
ブラックで飲みながら
サチコが幸せに暮らしているといいなと思いつつ
そういえばサチコも
メンソールの煙草だったよなと思いながら
煙草に火を付けた