見出し画像

読書バリアフリー法。2019年施行。どんな障害を抱えても、誰もが読書が出来る環境へ。

こんにちは、翼祈(たすき)です。
2019年6月に国は、「読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)」を施行しました。対象は「視覚による本の認識が難しい人」。視覚に障害を抱える人、発達障害で読字が困難な人、肢体不自由で書籍を読むのが難しい人たちです。

総務省の調査研究によれば、「視覚による本の認識が難しい人」は想定では計300万人以上いるとされます。

この「読書バリアフリー法」の施行で図書館においては、一般的な紙の書籍の他に、点字図書やLLブック、DAISY(デジタル録音図書)、大活字本、布の本などのバリアフリー図書を拡大し、色んな障害を抱える人が利用しやすいカタチで本の内容に気軽にアクセスを可能にすることが要求される様になりました。

今回はその「読者バリアフリー法」が施行された後に発売されたものを中心に、発信していきます。

「読書バリアフリー法」推進in佐賀県

障害があっても無くてもみんなが読書に親しめる環境整備を推し進めようと、佐賀県は2022年3月30日、「県読書バリアフリー推進計画」を制定しました。佐賀県立図書館や佐賀市町の図書館が手を組みハード・ソフト両面で改善を広げ、人生の各段階で主体的な学びが可能な環境を整備します。

色んな障害のために文字や絵の情報を見たり理解したりすることを諦めている人や、本を手に取りページをめくることが困難な人が対象となり、佐賀県の「県読書バリアフリー推進計画」期間は2022年度から2025年度までの5年間となります。2019年6月に国が施行した「読書バリアフリー法」で、各都道府県には計画策定の努力義務が求められて来ました。

佐賀県の「県読書バリアフリー推進計画」においては、佐賀県立点字図書館の建て替えによる2022年4月から運営をスタートした「県視覚障害者情報・交流センター」を拠点施設の1つとし、点字図書や録音図書以外にも、色んな障害に対応した蔵書を拡充しています。ボランティアの人からなる点字・録音図書の製作も活動を浸透させています。

佐賀県立図書館では2022年度から新しく専用ルームを整え、大活字本や点字付きの絵本などを集め、雑音のある環境が苦手な人に向けに、囲いがある1人用のスペースも設置しました。これまでは障害を抱える人向けのサービス利用が低い水準だったので、ニーズ調査や改善にも励みました。

障害を抱えていても図書館を利用しやすい書籍を揃えることを加速させ、佐賀県や佐賀市町の図書館で相互利用に努力し、応じる司書などの人材育成も促進しています。「読書バリアフリー法」の認知度を高めるべく、リーフレット(1万5千部)を作成し浸透させたい狙いです。

参考:佐賀県、読書のバリアフリー推進 計画策定、点字・録音図書など充実 佐賀新聞(2022年)

「読者バリアフリー法」施行以降に生まれた本

「みんなが読書を楽しめる環境整備を」。そんな願いを託して、2021年秋、視覚に障害を抱える人も読むことが出来る本が出版されました。

出版された書籍の題名は、上毛新聞社刊の「祈りのかたち」。著者で彫刻家の男性が、群馬県内の仏像の魅力を独自の視点を使い紹介している文章です。文章は横書きとなっていて、黒地に少し大きく白いゴシック文字で書かれていて、視覚に障害を抱え、一般的なの出版物を読むのが困難な人でも文字を認識出来る様にデザインしました。

著者で彫刻家の男性自身も30代で視野が欠ける病を罹患し、今は文字を読むのが困難な状態にあります。僅かに見える光で白黒は識別は可能だといいます。この度の出版に関して、「視覚に障害を抱える人にも読みやすい本の開発に進めていけたら」と話しました。

それから約1年後、アートのバリアフリー化を目標に掲げる一般社団法人メノキが群馬県前橋市に出版部門「メノキ書房」を設立し、設立後初の出版となった絵本「みえなくなった ちょうこくか」が完成しました。視力を失った彫刻家をベースに「見えること」を投げかける内容。「障害に関係なくみんなが紙の本に触って、ページをめくり、紙の温かい匂いを感じながら読書を楽しむ社会の発展を」と訴えています。

同「みえなくなった ちょうこくか」は木彫を長年仕事にして来た「あたし」が視覚障害を患い、彫刻刀を握れなくなった後も粘土造形で芸術表現を継続するストーリー。文は著者で彫刻家の男性と20年来の付き合いがあるライターの女性が担いました。「せかいにあふれる たましいを あたしの手で かたちにしたい」「みえなくても みえるんだよ こころで みているよ」などと綴られています。

「(絵本の内容が)ストレートな表現で男性が文章をどう感じるか不安だった」という、著者で彫刻家の男性と20年来の付き合いがあるライターの女性ですが、初稿を読んだ著者で彫刻家の男性は「私の精神状態がよく表現され、読後にパワーを貰えました」と感謝を口にしました。

「メノキ書房」は「視覚に障害を抱えたことで初めて見えて来たものを、アートを介して社会に還元出来るのではないか?」と考え、2021年秋に設立されました。これから、大きな文字や、黒い背景に白抜き文字での記述など、弱視の人向けの「ロービジョンブック」、視覚障害にポイントを合わせた書籍の製本などを計画を練っています。

参考:「見えること」問う絵本 前橋のメノキ書房 読書のバリアフリー化訴え出版 上毛新聞(2022年)

「みえなくなった ちょうこくか」は2022年8月中旬に県内書店にて販売中。A3変型判フルカラー。32ページ。1980円。同「みえなくなった ちょうこくか」の問い合わせはメノキのホームページ(http://menoki.org/へ。

学習障害や発達障害の子ども達へ、『楽よみ!しおり』

東京都荒川区にある株式会社オフィスサニーが子ども達の学習支援教材を提供している【できるびより】は、佐賀県佐賀市の小学生から協力を得て、子ども向けのリーディングトラッカー『楽よみ!しおり』を開発出来ました。

子ども達の学習でも、読書はとても大事なことです。子ども達が色んな本に触れられる図書館の担う役割もとても絶大で、多様な子ども達の特性に適用した本や支援の提供は、読書のバリアフリーに結び付く大事なものとなります。

読書や音読が難しい子ども達の中には、学習障害や発達障害によって、読み飛ばしをしてしまう、何度も同じ行を誤って読んでしまう子など、読みたいのに上手に本を読み進められない悩みを持つ子もいます。読むこと自体が不信感を募らせ、集中力も維持出来ず、学習意欲の低下にも直結してしまいます。

そんな子ども達が『楽よみ!しおり』を使用することで、読書や音読をした際に読みたい行が強調され、どこを今読んでいるのか一目で理解出来て、視覚的に文章を追うのが楽しくなります。価格は1枚550円(税込)となります。

『楽よみ!しおり』5つのポイント

①透明な部分が幅が広く、大きな文字であってもスラスラ読めます。

②サクッと次の行が目に入るので、見通しを持ちながら読めます。

③裏面のザラザラ加工となっていて、つるつるし過ぎず適度に手を動かせます。

④子どもの筆箱に入る長さで作られています。

⑤カバー部分のカラーには、メディアユニバーサルカラーを採用しています。

画像・動画引用・参考:読書バリアフリーを手軽に実現!紙の本を読みやすくするツール【楽よみ!しおり】の図書館での採用が進んでいます。 PR  TIMES(2022年)

最近は、

私は漫画しか読まなくなりました。小説も読んでみたいのもあるといえばありますが、漫画の様に時短で読めて、イラスト入りで視覚的にも情報が入って来るものに強く惹かれてしまいます。昔から本に触れて来たので、漫画も1冊15分位で読み終わる場合もありますし、1時間で4冊読んだこともあります。

『楽よみ!しおり』は凄く良いなと思いました。私は漫画を読む時に、時々漫画の中に入っている出版社からの他の本のお知らせの冊子とかをしおり代わりにしたりしていたので。これ位の細さなら読む時に、視覚的な邪魔な感じもないと思いますし。

今回の「読書バリアフリー法」に間しては、別のお仕事をしている時に偶然知りました。本はそうですね。授業の朗読とかで読むことに困ることはなかったのですが、順番が来た時、「みんなが私のを聞いてる」と思ったら、緊張して噛んだり、声が上ずったりしていました。

読書も没入感や本の世界に入り込めるところが好きで、手軽な値段で、誰でも違う世界へと誘われる、一種の魔法みたいな効果もある様な気もします。

視覚に障害を抱えている人の読書に関しては、私が以前書いた音訳ボランティアや、点訳ボランティアの方が多くの役割を担っているということですね。本はどんな媒体にしろ、面白いのは間違いないです。障害を抱えていると、障害の状態が強く出た時、本も読めなくなってしまいます。本は読めない、でも本が多くの疾患を緩和してくれる役割も持っていると、私は信じています。


いいなと思ったら応援しよう!