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認知症グループホームのはなし

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認知症の方への支援の記事をまとめています。
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#認知症ケア

認知症当事者の声から学ぶ

認知症当事者の声から学ぶ

認知症ケア学会 北陸・甲信越ブロック大会に参加しました。
参加と言っても、今どきはWEB配信なので参加費を払って視聴しただけです。北陸・甲信越ブロック大会に参加できるのですから、良い時代になったと思います。
そのブロック大会はと言うと、すべて良い講演でした。
その中でも、タイトルに書いたように、「当事者の声」が聴ける講演は本当に考えさせられましたので、簡単な紹介と私の感想を書こうと思います。

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老人の衣を着た少女

老人の衣を着た少女

職員さんとの会話。

「さがらさん卯年なんですか?」

「はい。人生ほんとあっという間ですよねー。
もうすぐ48才ですけど、
考えている事は本当に20代位から変わってないんですよねー」

「私だってそうよー。
子供の時、大人の人はすごい立派だなぁって思ってたけど、実際大人になってみると、私なんか全然立派じゃないし。昔の人は立派だったわよねー」

そこで、ふと思いました。
確かに、現在高齢の方は、戦

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与えてるの?・与えられてるの?

与えてるの?・与えられてるの?

認知症の方は
記憶の障害等で
気持ちの表現の仕方が
わかりづらかったりします。

私たちから見て
認知症の方の表現をわかりづらいと感じるのは
言語での表現ではなかったり
一般的な社会の規範や常識から
かけ離れている表現だからです。

逆にいうと、
私たちの方が
一般的な社会の規範や常識に囚われていて
「人」の感情を見ていない事もあるのかも知れません。

認知症の方の行動を
例えどんな行動であっても

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「日本版BPSDケアプログラム」の概要をお伝えする

「日本版BPSDケアプログラム」の概要をお伝えする

毎月、日本版BPSDケアプログラムのアドミニストレーターに向けた勉強会が開かれているのですが、
2月にその勉強会でわたしのホームでの事例を提供する事になって、
現在、事例を作成中です。

そこで、今回は「日本版BPSDケアプログラム」を説明する事にしようと思います。
さっさと、事例づくりやれっていう話なんですが…。

日本版BPSDケアプログラムとは日本版BPSDケアプログラムは、介護保険事業所に

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家族との共感の話し ピアサポートからの考察

家族との共感の話し ピアサポートからの考察

グループホームにおける認知症ケアにおいても、ピアサポートはとても大切だと思っています。

介護者と利用者はどうしても「支援する側」と「支援される側」になりがちで、「専門性」は時に人を傷つける事があると思っています。
介護者がどれだけ意識しても、利用者本人が息苦しく感じてしまう事もあるんじゃないかとも思います。
それなので、グループホームにおいても、認知症の方同士の関係性を大切にして、仲間同士が支え

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認知症の方が外に出て行く理由

認知症の方が外に出て行く理由

私が管理者をしているホームは鍵をしていません。
なぜならば家だからです。
防犯の為にはしても良いと思います。
しかし、中にいる人を「出れなくする」為の鍵はしてはいけないと考えています。それは根本の解決にならないからです。
それでは、外に出て行く方に対してどの様に支援すれば良いのでしょうか。
出て行く理由から考えていきたいと思います。

認知症の方が出て行く根本的な理由とは認知症の方が外に出て行こう

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パーソンセンタードケアを超簡単に説明する

パーソンセンタードケアを超簡単に説明する

パーソンセンタードケアを

現場の目線でかみ砕いて

超簡単に説明します。

パーソンセンタードケア(現場Ver)
簡単に言うとパーソンセンタードケアは

認知症の症状や行動に焦点をあててケアをするのではなく

認知症の方その「人」に焦点をあてて、その人に合わせていこう

というアプローチです。

認知症の方の「生活歴」・「職歴」・「性格」・「趣味嗜好」などから本人が何をしたいかを探り、本人らしさ

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新入職員教育

新入職員教育

9月1日から新しく中途で職員を採用した。
人事異動による欠員で、約2年ぶりの職員採用。
久しぶりの新入職員教育。

入職してくれた方は、去る2ヵ月前の7月にホームを職場体験して、ホームのケアに共感してうちに決めてくれた。

初日はオリエンテーションを行い、ホームの認知症ケアの考え方等をお話しし、2日目からはOJTを行っている。

私が現場で新しい職員を教育するにあたり、業務については優先順位が低い

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家族と写真を共有

家族と写真を共有

LINEのアルバム機能を使って、日常の利用者の様子を家族が見れるようにしています。
やっている事は単純で、

利用者の日常の様子をホームのスマホで撮り、LINEのアルバムにアップロードします。

家族とはLINEのお友達になり、「写真」というグループを作って入ってもらいます。

そのグループでアルバムを作り、家族がいつでも観たり写真をダウンロードできるようにしています。

※入居時に個人情報の利用

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大分弁を学ぶ!と決めた話し

大分弁を学ぶ!と決めた話し

新しい利用者さんが近いうちに入ります。
その方は大分の方です。

生まれも育ちもずっと大分で
今まで独りで暮らしていました。

結婚して、2人の息子を育て
現在、2人の息子は東京と大阪で家庭を持って生活しています。

ホームに入る経緯介護認定は要介護度1という事で
一旦サービスを入れましたが、
ホームヘルパーさんも
ケアマネジャーさんも
断ってしまい
現在、何のサービスも使っていません。
医師も本

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別府に帰りたい…

別府に帰りたい…

大分からグループホームに入居された利用者さんが帰ろうとします。

先日、大分県別府市から飛行機とタクシーを乗り継いで利用者さんが入居しました。
ご家族は、絶対家を離れないというご本人をなだめたりすかしたりして連れてきました。
飛行機を1便乗り過ごしホームに到着したのは、予定より5時間遅れて17時30分。

夕飯はお寿司とお酒を用意して、
ご家族を交えおもてなしの宴会です。

ご本人は、楽しかったら

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帰宅願望の支援。

帰宅願望の支援。

強い帰宅願望への対応は難しい事が多いと思います。
最近、別府で独り暮らしをしていた方がホームに入居して、現在進行形で転居後の生活を作り直している最中です。
ホームに来る過程での会話のやり取りは忘れてしまうので、もちろん帰ろうとします。

新たな生活作りを始めて、まだ1週間ですが、ご本人が新しい環境に慣れる兆しが見えてきたので、今行っている対策をまとめたいと思います。

経過まずはここまでの経過を簡

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嘘はつかない方が良い。

嘘はつかない方が良い。

別府から入居した利用者さんが少しづつホームに溶け込んでいる様に感じます。
来てすぐの数日はホームを「大分」と偽ってホームに居てもらいましたが、先日、
「ここは東京」と告げた事で
ホームを信頼してくれた
本人が前向きになった
様子が見られているので、その経緯をお伝えしようと思います。

来た経緯認知症で介護度1

別府で一人暮らし

医療・介護サービスは拒否して、医者も薬を出せず

お金や物をあげた

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真実を告げる日

真実を告げる日

出て行って警察に保護された別府から入居した利用者さんが、朝方窓を乗り越えて外に出て行くという事がありました。
入居して12日目の事です。
6時頃に夜勤職員が気付いて警察に電話したところ、警察が保護してくれていて無事にホームに戻る事ができました。
ご本人が近くのファミリーマートに立ち寄ったところ、店員さんが裸足でいる事を不審に思い警察に連絡してくれたそうです。
ホームに戻った際には、
「(20年くら

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