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クズの猟犬

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青年誌に載ってるような近未来的ファンタジーを書いてみたくて、漫画のような展開で書いています。
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記事一覧

【短編】クズの猟犬⑩ 最終回

【短編】クズの猟犬⑩ 最終回

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心臓が動いている。俺の胸からはもう感じられない鼓動を感じる。ゆっくりと鼓動のスピードが落ちていく。右手に体温を感じる。
「高木。人間には、心臓と同じように体温がある。お前はもう、体温なんて忘れてるだろうけど、そのあったかさとか奪う権利なんか誰も持ってねーよな?」
高木の目からボロボロ涙がこぼれている。体は心臓を修復しようと動いている。
「…嫌だ。」
「うん?」
「負けるのが嫌

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【短編】クズの猟犬⑨

【短編】クズの猟犬⑨

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高木はどちらかといえば目立ちたがりだった。でも、人気者になりたいというわけではないようだった。学食の窓際の席で大盛りにしたカレーを食べながら、他の席にも聞こえるような声でバカな話をする。そんな奴だった。

永遠に再生できる体はエネルギーがいるんだろうか。そんなことなら大盛りを食べていたのも頷ける。
「ハム、この前死んだと思ったんだけどな。」
胸を撃ち抜いても腕を吹き飛ばして

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【短編】クズの猟犬⑧

【短編】クズの猟犬⑧

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脳からの命令を左肩、左腕、左手に伝わるようにするために、俺は一度、麻酔で眠らされて、8時間に及ぶメンテナンスを受けた。
目が覚めたのは実験室で、大学の学食で吹っ飛んでから初めて目が覚めた日と同じ部屋だった。
「気分はどう?」
あの時もこんな声がした。視界がはっきりしてきて澤田の顔が見えた。
「キミちゃーん。聞こえる?」
「…ん?」
「ちょっと、まだぼーっとするね?」
「……終

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【短編】クズの猟犬⑦

【短編】クズの猟犬⑦

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左腕は、新しく澤田たちが作っている。
撃たれた右腕は銃弾を抜いて骨を人工物と結合した。でも、すぐには治らない。手も動きづらくなっている。頭はMRIを撮ったが異常はなく、顔が腫れているくらいだ。歩けるけど手が使えないから不自由。治るまで出動できない。怠いから部屋で寝たり起きたりしてる。
「風呂入りてえー。しんど。」
高木は、俺の腕を撃った後、爆弾の遠隔スイッチを押した。爆破さ

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【短編】クズの猟犬⑥

【短編】クズの猟犬⑥

⑤は、こちらから



高木と初めて会ったのは、新歓コンパの時だった。どうせ行く気もないサークルに適当に入って、なんとなく合コン気分で行った飲み会。18歳で、まだ酒は飲めないから持ち帰れそうな女の子に声かけて口説いてLINE交換したその後、俺に馴れ馴れしく声かけて来たのが高木だった。
ココナッツの匂いのする香水はつけすぎていて、3メートル離れていてもよく分かった。
「ハム?」
「あ?」
一年生は

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【短編】クズの猟犬⑤

【短編】クズの猟犬⑤

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蹴り飛ばされて背中から床に落ちた。頭に衝撃がくる。
「甘い。もっと痛めつけろ。」
川嶋が、ギャラリー席から言ってくる。
「すぐ立てキミノリ。高木に負ける。」
わかってるけど、訓練の相手が強すぎる。もうやだ。疲れた。いや疲れてはいないけど、頭痛いし、もうやだ。動けないふりして少し休もう。
「君は、やる気が無いのか。すぐに立て。」
コイツは、実践訓練用のアンドロイドで殉職した警

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【短編】クズの猟犬④

【短編】クズの猟犬④

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ラボには新聞がある。一応毎日ニュースを読みにくる。飛翔体落下の詳細な記事は載ってない日の方が多い。
「今日のニュースは何がトップ項目?」
澤田はコーヒーを飲みながらそんなことを聞いてくる。
「ガソリン値上げ止まらず。」
「それは困るねえ。」
「…うん。」
コーヒーがいい匂いで必要以上に嗅いで吸い込む。澤田が羨ましい。
「コーヒー好き?」
澤田を睨みつけた。俺が水しか飲めないの

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【短編】クズの猟犬③

【短編】クズの猟犬③

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フロアに侵入。エレベーターホールにでた。匂いが強くてえずく。吐きそう。1番匂いが強い場所についた。

ガラス張りの自動ドア。蹴破られたあとだ。ラビット金融って書いてある。金貸しの会社か。
中では、犯人が人質に何か話している。脅しているのか。なるほどこれが立て篭もりか。
中にゆっくり入っていく。
「誰だよ!」
またもやラッキーだ。ナイフを持った男が俺を見ている。首の辺りに目線が

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【短編】クズの猟犬②

【短編】クズの猟犬②

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鼻を修理しろと言われて、ラボってところに来た。
「川嶋から聞いてたよ。」
俺の体をなんとかかんとか作ったのは澤田彰ってやつで。
「鼻の修理ってエグいの?」
コロナの抗原検査を思い出して、俺の背筋は凍りついていた。
「鼻を効くようにしろって話だよね。君の場合、生きていた頃の君の顔そのまま使ってるからね。元々の嗅覚のポテンシャルもあるし。」
鼻の穴をすごい見られてる。
俺以外の

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【短編】クズの猟犬①

【短編】クズの猟犬①

「もし、地球に隕石が迫ってきて、それが落ちるのが日本だったら、…どうする?しかも、日本と同じ大きさで」
高木はいつも意味のない質問をする。だから、なんだよ?って言ってやりたい。けど、周りは盛り上がる。大学の学食で安い定食を食べながら。
「お前、それ隕石のレベルじゃねーよ」
って、軽くツッコミを入れるのが岩橋。
「あたし、迎撃ミサイル撃ちに行く!!」
変な責任感というか、訳のわかんねえ正義感を放り込

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