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短編小説

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記事一覧

ダークヒーロー【短編小説】

男は、刃物を片手に持っていた。

生きる価値がないやつだから、殺した。
そんな、ニュースたまにあるだろ。

それで、俺は考えた。
本当に生きる価値のあるやつはいるのか?

結論はな

いないんだよ。

この世に人間がいても、何の意味があるか?
地球環境を破壊して、他の生物を絶滅させている。
それを防ぎましょうとか言って、表面上の対策だけとる。

これに何の存在意義があると言えるか?

俺は、そんな

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ざしきわらし【短編小説】

ざしきわらしが見える。
これは、どうみてもざしきわらしだ。誰がなんと言おうとざしきわらしだ。
一人暮らしの女性は驚きの感情で溢れていた。

居間のすみには、赤い着物を着た子供が立っていた。

すると、ざしきわらしと思われる女の子がこっちに近づいてきた。

そして、こう話しかけてきた。
『ねぇねぇ、遊ぼうよ。』

女性は言った。
『何をして遊ぶのよ。あなたは、ざしきわらしなの?』

するとざしきわら

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帰り道の小学生【エッセイ】

夕方4時ごろ、小学生たちが学校から帰っている。
話をしながら、楽しそうに帰っている。

そんな姿を見ながら、僕は思った。

僕は、小学校3年生の頃から、場面緘黙症という、特定の場所以外では、全く話すことができない症状が現れた。
それまでは、他の人と同じように話せていた。

なぜ突然話せなくなったのか?
僕にも分からない。
気がついたら、話せなくなっていたのだ。

そんな症状は、小学校を卒業して、中

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石柱【短編小説】

老人は、この地へと再び、足を踏み入れることができた。

外国語で書かれた石柱がある。
その近くに見覚えのある木があった。

間違いない。
かつて登ったあの木だ。

あの頃と同じように
老人は、その木を登り始めた。

廃墟となった、外国の建物が立ち並ぶ中、
1本の木は、彼をもう一度少年へと戻しているようだった。

何かの音【短編小説】

時刻は深夜2時。

大量の錠剤を手に持ち、彼はソファに座った。

さようなら、この世よ。

錠剤を口に含もうとした、その時、何かの音が聞こえた。

しかし、何か分からなかった。

再び、錠剤を口に含もうとしたら、また、何かの音がした。

なんの音なんだ。
男は、部屋の中をくまなく見て回った。

しかし、何も分からなかった。

仕方なく男は、錠剤を瓶の中に入れ、眠りについた。

次の日の朝、テーブル

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答え【短編小説】

答え【短編小説】

僕は、友達がいない。
なぜいないのか、理由はわかっている。
自分の感情を他人に出すことができないからだ。

高校生までは、人と話すことすらできなかった。
大学生となった今、人と話すことはできるようになったが、ただ話せるようになっただけだ。

人とは、表面上の付き合いはできるが、それ以上の関わりが、どうもできない。
大学に行ってもいつも1人。

僕は、友達が欲しかった。
今の自分は、孤独すぎる。大学

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狙い通り【短編小説】

狙い通り【短編小説】

ここは、お気に入りの公園。
暑くもなく、寒くもなく、
今日は、天気がいい。

人間たちのいう、お昼の時間という時が、俺たちが1番忙しい時間だ。

その時間になると、かなり頭を使う必要がある。

まずは、うまそうなエサ探しだ。
俺の好みは、薄茶色の柔らかくて内臓が甘いエサだ。
今日は、小さな子供が持っているぞ。

次にタイミングだ。
人間が、片手で持っていて、よそを向いている時がチャンスだ。
この時

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秋のプール【短編小説】

地面には、どんぐりが落ちていた。

彼は、シーズンが終わった、プールをフェンス越しに、眺めていた。

今年の夏は、夏らしかったな。

8月。高校2年の彼は、初めてできた彼女と、プールへ行った。
あの頃は、楽しかった。
あの頃といっても、ほんの数ヶ月前のことだが。

プールでは、定番の流れるプールに、ウォータースライダーとかを彼女と一緒に回った。
あとは、ポテトとかを一緒に食べた。
プールのポテトほ

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実に幸せ【短編小説】

清子、あんたは、明日から平谷の家に行くんだよ。

清子は、3日前に16の誕生日を、迎えたばかりだった。
清子は、大川家の10人兄弟の次女だ。姉と兄が1人と妹4人、弟3人だ。

次の日、荷物というものは持たずに家を後にした。
平谷の家は、大阪にある。
鉄道があったが、乗らずに歩いて向かった。
歩くにしては、かなりの距離がある。

夕方と夜の間頃、ようやく平谷の家に着いた。

それから、おばあちゃんは

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おじいちゃんと僕【短編小説】

おじいちゃんと僕【短編小説】

僕は、おじいちゃんに聞いてみた。
「木って生きているの?」

おじいちゃんは言った。
「ああ、もちろん生きているとも」

僕は言った
「でも木って動かないよ」

おじいちゃんは言った。
「そうだなぁ、たしかに木は動いてないように見える。でも木は動いているんだよ。」

僕は言った。
「どこが動いているの?」

おじいちゃんは言った。
「健斗はどこだと思うかい?」

僕は言った。
「葉っぱなら動くね。

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昼食【短編小説】

さてとお腹が空いたわ。
そろそろ昼食の時間だしどこかに食べに行こうかしら。

彼女は、昼食を食べに出かけることにした。
彼女は、その日の気分で食事の場所を決める。
よし、今日はここにしましょう。

どれにしようかしら
あれも美味しそうだけど、こっちの方が美味しそうね。これにしましょう。

彼女は、尖った口を出し赤い液体を吸い始める。
今日のは、味が濃ゆくて美味しかったわ。
さてとそろそろ帰りましょ

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約束【短編小説】

約束【短編小説】

彼は、大切な人を目の前で失った。

横断歩道を渡る彼女に、ながら運転のトラックが突っ込んでいった。
助ける余裕はなかった。

しかし、あの時自分が思い切って声をかけていたら。
もしかすると
後悔しても仕切れない。

しかし、時を戻すことはできない。

彼女はどんなに頑張っても帰ってこない。

あれから3年が経った。

坂の上から綺麗な夕焼けが見える。
悲しみはまだ消えていない。
いや、消すことはで

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電車の中で【短編小説】

電車の中で【短編小説】

俺は、健斗。今は高校2年生だ。
電車に乗ってるとだいたいの人はスマホを触ったりするだろうが、俺はぼんやりと考え事をよくしている。

今日は、進学先どうしよっかなと考えてた。
俺は、1年の終わりに悩みに悩んだ末、理系を選択した。

理系を選んだのはいいが、そこからどうするか全く決まっていない。
俺は、どこの大学にすればいいのか分からない。

なにせなりたいものが全く思いつかないからだ。

できれば大

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秋の恋【短編小説】

秋の恋【短編小説】

俺は、彼女に二股かけられてたことが分かって、彼女と別れた。
信頼していたのにまさかだった。
人とはわからないものだ。

俺は、最近人間不信に陥っている。
どうせ、友達だって陰では俺のことを悪くしか言ってないだろう。

失恋くらいでこんなにも人間不信になるのはおかしいかもしれないが、メンタルの弱い俺にはかなり響いている。

バイトも今日はサボった。
アパートで何もする気にならずひたすら外の景色を眺め

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