秋のプール【短編小説】
地面には、どんぐりが落ちていた。
彼は、シーズンが終わった、プールをフェンス越しに、眺めていた。
今年の夏は、夏らしかったな。
8月。高校2年の彼は、初めてできた彼女と、プールへ行った。
あの頃は、楽しかった。
あの頃といっても、ほんの数ヶ月前のことだが。
プールでは、定番の流れるプールに、ウォータースライダーとかを彼女と一緒に回った。
あとは、ポテトとかを一緒に食べた。
プールのポテトほど美味いものはない。
あの頃は、考えもしなかったな。
彼氏が俺以外にいるなんて。
悔しいが、もう1人の方が、俺なんかより、圧倒的に良かった。
彼は、地面に落ちていたどんぐりを、プールに向かって投げた。