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エッセイヤマダ

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空をみる 風を感じる 仕事に行く 夕日をみる 雨が降る おこられる 悲しい出来事がある 花が咲く 美味しいものを食べる 人と出会う 人と別れる 旅立ちの日 旅にでる 夢をみる 汗…
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#エッセイ

蜘蛛の商売

蜘蛛の商売

「いらっしゃい。いらっしゃい」
今日はこんなん張り方でどうぞどうぞ

蜘蛛の網模様はいつも同じなのだろうか?
等間隔
幅何センチ?
定規で測ってみるが、また今度来た時に同じ場所で張っている蜘蛛商人は同一者とは見分けがつかない。

「いらっしゃい。いらっしゃい」

今朝は朝露で中央にドンと居座った蜘蛛商人は縮こまり迫力がない。
風もなく商売になるのだろうか

仕込みは万全
お尻から出した糸はまだ、売

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日は昇り顔を焦がす

日は昇り顔を焦がす

息子が背番号をもらってきた。
嬉しそうに。

練習から帰ってきたその顔は闘いを終えた戦士のようだ。
誇らしく言う。
「あのさぁ。背番号もらった‥」

小さい頃から自分を表現するのが下手だった。
いつも周りを気にして遠慮しながら野球をしていた。
気がつけば高校生。

いくつ何回送り迎えをしただろう。
いくつ試合に負けだだろう。
暑い寒い辛い痛い悔しい
そこにはハッピーな事なんていくつあっただろう。

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時にはお店が心の拠り所

時にはお店が心の拠り所

ようやくお目当てのお店に来れた。
”TSUNDOKU BOOKS”✌︎
SMSを徘徊していたら偶然にもここが5月から開店するという情報を得た。
これも偶然というよりAI機能が導いたものかも知れないが。とりあえずドキドキ。楽しみ。

青森県内にはセンスの良い本屋が最近何軒かあるのを知っていた。
八戸ブックセンターは勿論、八戸のand booksさん。弘前のまわりみち文庫さん。そしてここ十和田市のTS

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カリカリに水分を無くした人たち

カリカリに水分を無くした人たち

今日は平日の休日。
天気大雨。

息子が、高校生活第1日目のスタート日だというのに慣れないコンタクトレンズを目に入れ込むのに時間がかかり、結局息子の学校まで車で送迎する所から、休みの朝がはじまった。
4月の花粉は強く
息子の目は白目を覆うほど赤く腫れていたが、息子は「今日は写真撮影があるから」と言って、眼鏡で登校する事を頑なに拒否し、痛い目にコンタクトレンズをようやく入れ込んだようだ。

息子は助

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//記憶//

//記憶//

幼稚園のお絵描きの時間。。

僕は自分の顔を描いている
目の中を好きな〝青色″を塗ろうとした。
「ちょっと、何色塗ろうとしてんの?目の中は”青”じゃないでしょ、わからないの?」
と、隣にいた保育士さんが乱暴に僕の筆を取り、
”青色″を水バケツで洗って、きれいになった筆を僕に返した。
「私の目を見なさい。目は白と黒色でしょ!」と言う。

僕は心の中で、〝好きな青を使いたかったのになぁ″と呟く。。

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100%の実力

100%の実力

明日は息子の高校受験日。
前日ギリギリまで塾に行き明日に備える。
塾に車で迎えに行き 
帰り道の車内できいてみた。

父「どうだ?100%勉強やりきった?」
息子「うーん 70パーセントぐらいかなぁ」
父「人生初のお受験なのに、そんなものかよ」
息子「これでも上出来だぜ。世の中いろんな、誘惑が多すぎるんだから」
父「まぁ明日はがんばれ。70パーセントの力で。
どうせ100の力は出ないんだから。」

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残酷な一日

残酷な一日

仕事のヘマをしたせいで
休みにお客さんまわり。

自腹でお詫びのお菓子を買い、謝りにいく。
気がついたらもう昼だ。
会社へ戻ると上司に再発防止措置を考えろ。と言われる。
とても嫌な休日。
こんな休日は休日と呼べるのか。

午後から家にいても嫌な気分は部屋に引きずり込まれ 窓を開けても出て行かない。
そもそも仕事とは、人と人とのやり取りだ。なぜ僕ひとりがヘマをした、と思われ一方的に謝っているのだろう

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夏だし 妖怪の話②

夏だし 妖怪の話②

大学生も卒業間近。僕は当時福祉学科を専攻しており大学生最後の夏休みを利用して児童福祉施設に実習をした。これはその時の出来事だ。

妖怪の話はきまって暑い8月だ。
二回目。
そしてまた、8月。ということは妖怪はやはり8月の暑い日に現れる。

大学から「実習先は自分の実家に近い所を洗濯して下さい。夏休みだから何かあったら自分の家に帰れますからね。、」との指示であったから僕の夏休み中の実習先は自ずと決ま

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夏だし 妖怪の話①

夏だし 妖怪の話①

段々と今年も7月も終わり8月になる。
8月のお盆も近くなると妖怪の話を思い出す。
特に暑さが厳しい8月なら尚更だ。

僕は現在46歳。過去に妖怪に出会ったのは2回ほどある。
1回目は小学校3年生の夏。8月の暑い日の午後だった。今思うと時間帯から言って夏休みだと思う。
小学校3年というとまだ部活動に所属してなく、その頃の年代はいちばん放課後や夏休みに家に帰りランドセルを置くと何処かかしらへ遊びにフラ

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僕はコウモリ。

僕はコウモリ。

僕はコウモリ。
夜に活動する。
今晩はどこへいこうか。
今晩は羽根の羽ばたきが調子が悪い。
少しばかり寝過ぎたかな。
コウモリは人間の血を吸う、と馬鹿げた噂があると言う。
結論から言って、そんなことはない。
普通に虫を食べ
人間なんて襲う余裕なんてない。
日が差す日中はおとなしく休み
夜に行動するのは目が弱いから。
今時の若者と一緒。
夜、闇の中を羽ばたく。
その音は静かで誰も気づきやしない。

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ランナーズディスタンス

ランナーズディスタンス

この世に生まれ落ち
生きる過程は美味いご飯を食べ
暖かい布団で寝て
外の陽射しを浴び‥
あとは‥それだけ、だ。

日々の生活は忙しい日の連続だ。
同じ朝 会う人達 鳴り止まない電話 陰口を言い合ういつもの社員‥
こういった日々を楽しいと思うかどうかの余裕さえなく歳を重ねてきた。あっという間の40代だ。
僕の歳の取り方は人に合わせてきた生き方だったと思う。無理に協調性にピントを合わせ社長や上司の機嫌

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まな板が繋ぐ者達

まな板が繋ぐ者達

田舎町に住んでいても気付かない場所がある。
町外れの建具屋さん。
Lauraラウラ。
歴史を感じる木造の建物で50年以上は経過している。その建具屋をお洒落にリノベーションし建具屋兼雑貨屋、兼何でも屋にしたのはこの店主Mさんである。
根っから建具屋の親父さんの後を継いだことになる。
元サラリーマンだ。

誰でも人生一仕事って訳じゃない。
この店主もサラリーマン時代に忙し過ぎて健康を患った経歴を持つ。

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この街の空気
この時間の空気
なぜ懐かしく感じるのか
それは巡り巡ってきた空気

そう地球は丸あるい。
いつか帰ってくるのだ。
それを再会と言う?
久し振りと言う?
知らんぷりと言う?
でもしっかり覚えているよ。

あの頃の自分を思い出す。
だから”おかえり”と言おう。