//記憶//
幼稚園のお絵描きの時間。。
僕は自分の顔を描いている
目の中を好きな〝青色″を塗ろうとした。
「ちょっと、何色塗ろうとしてんの?目の中は”青”じゃないでしょ、わからないの?」
と、隣にいた保育士さんが乱暴に僕の筆を取り、
”青色″を水バケツで洗って、きれいになった筆を僕に返した。
「私の目を見なさい。目は白と黒色でしょ!」と言う。
僕は心の中で、〝好きな青を使いたかったのになぁ″と呟く。。
今思えば、その時″青”を塗っとけば良かったと思う。
芸術?
アート?
感性?
今思えば、あの時、あの一瞬で、僕の感性は閉ざされた気がする。
空は“青”
海は”青”
そう、僕に教えた保育士さんを僕は恨む。
気持ち次第では空は黄金色に見えるときがあるし、
落ち込んだ時に見る海はどんより真っ黒い。
一概に色は〝青″とは限らない。
ここには”青”を塗りなさい。と言われたら、
今なら僕はその保育士さんの顔にべったり”青”を塗りつける。
僕が大好きな”青”で、
その人のカラーを”青”で染め上げ、
お気に入りの仲間にさせるのだ。
”青”一族。
大人になった今でも”青”が好きなのは変わらない。
青色のピックアップトラック。
青色の野球ユニホーム。
青色の勝負下着。。
歯ブラシだって、、
買い替え時にドラッグストアに行くと、
真っ先に選ぶ色は⇨”青”。。
そして、大好きなはずの”青”色を見る時、
同時に幼い自分を思い出す。
「目の色は青じゃないでしょ!」と。。
なんだかんだ言って、、
今でも僕は目の色を青で塗れなくなってしまっているのだ。