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残酷な一日

仕事のヘマをしたせいで
休みにお客さんまわり。

自腹でお詫びのお菓子を買い、謝りにいく。
気がついたらもう昼だ。
会社へ戻ると上司に再発防止措置を考えろ。と言われる。
とても嫌な休日。
こんな休日は休日と呼べるのか。

午後から家にいても嫌な気分は部屋に引きずり込まれ 窓を開けても出て行かない。
そもそも仕事とは、人と人とのやり取りだ。なぜ僕ひとりがヘマをした、と思われ一方的に謝っているのだろう?
立場が向こうが上だから、とか。
言葉では伝えてないがメールでは送ってある。とか。何が正当で誰が間違っていたのか。なんてはっきりした証拠も無い。
一歩譲って和解しようとも逆にその隙を突かれる。人間とは何かしらについて人のせいにして解決しようとする。自分の負を人のせいにして打ち消そうとする。汚い生き物だ。地球上の生きとし生ける者の中でこういった汚い手段を使うのは人間だけだろう。そしてこういった生き物はやはり自らの汚い手段で身を滅ぼす事になるのだ。

夜になり家にいると居たで嫁さんに大きな声を出されて嫌になる。一体僕が何をしたというのか。ただの会話でさえ毎日顔を合わせると、異性はウンザリするらしい。人間には刺激と新鮮さが必要らしい。毎日同じ顔を合わせ同じ会話をするとうんざりするらしい。食事もそう。人間は毎日同じ食事が出来ないようだ。なんて贅沢で欲深い生き物なんだろう。

日々生きていると
良い事より良く無い日の方が多いと感じるようになる。
生きている実感とは何か。それさえも分からなくなる。
生活の為に我慢して働き
何とか一日が終わる。
今日は笑顔はあったの?いや、今日も無かったよ。
いつからか笑顔を忘れたようだ。心から笑う事なんてもう何年も無い。
苦しくても涙は出ない。
僕は本当にここに生きているのだろうか。

アルコールを飲んでも
タバコを吸っても
気晴らしに身体を動かしても
生きている実感はどこかへ置いてきたようだ。
そんな感覚。
なぜ僕は今日一日中謝ってばかりいたのか?
人を傷つけたわけでも
犯罪を犯したわけでも
何か悪さをしたわけでも無い。

人に謝る?
そんな事をするのは本当に心から「申し訳ない」と確信した時だ。
それなのに今日の僕は何だ。
全く「申し訳ない」とは思わず、口だけ。何となくの行為だった。会社の為?自分の為では全くない。一体誰の為に頭を下げたのだろう。
こんな人間らしく無い行為をしてまた一段と生命力を失ってゆく。髪は白くなり左足の水虫は治らず虫歯の治療も億劫だ。お腹は一度出たら引っ込まない。
視力はどうだ?遠くに美女がいてもそれを美女と認識するには時間がかかる。

あと何年僕はこうして生きていくのだろう。
宝くじが当たるわけでもない。
急に生まれ持ったセンスが開花する訳でもない。
ただ柳の木のように風が吹けば揺られ風が無いとじっとしているだけ。自分では揺らす事も出来ない。僕の刻は忍耐なのだろう。

人が死ぬ刻 何をおもうのか
僕は 何も 思わないと想像する
昔は良かったなあ などという、思いも無いのだろうから。

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