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わたしの本棚

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2020年12月の記事一覧

わたしの本棚82夜~「新編 山頭火全集」・第一巻

わたしの本棚82夜~「新編 山頭火全集」・第一巻

 毎年、自分へのご褒美として12月に記念の本を買うことにしています。今年は、「新編 山頭火全集・第一巻」にしました。今年は、種田山頭火没後80年になるそうです。これまで種田山頭火に関しては、「山頭火百句」(坪内稔典・東英幸編著・創風社出版 800円+税)で、楽しく学んできましたが、全集となるとスケールが大きいです。第一巻は、自選句集「草木塔」と雑誌「層雲」発表句であり、解説を坪内稔典氏、月報を菅啓

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わたしの本棚81夜~「日本人のしきたり」

わたしの本棚81夜~「日本人のしきたり」

 一時期ブームになり、ベストセラーになった本です。日本古来の伝統行事、習わし、地域の行事などを簡潔に記してくれています。俳句の歳時記より実用的ですが、読み物としても面白いです。2007年第24刷の値段です。

☆「日本人のしきたり」飯倉晴武著(編) 青春出版社 667円+税

 日本の年中行事、しきたりを紹介するとともに、その歴史的な由来をも探っています。著者がはじめにで書かれているように、いまや

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わたしの本棚80夜~「わすれられないおくりもの」

わたしの本棚80夜~「わすれられないおくりもの」

 絵本も好きです。絵本は3回読む機会があるといいます。幼少時、両親に読んでもらい、子育て時に子どもに読み聞かせ、そして、大人になって好きな本を好きな時に読みます。この本と「百万回生きた猫」(佐野洋子著)は、奥が深く、胸にくるものがあり、何度も読みました。値段は1991年13刷の値段です。

☆「わすれられないおくりもの」スーザン・バーレイ作・絵 小川仁央訳 評論社 920円(税込み)

 まわりの

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わたしの本棚79夜~「高円寺純情商店街」

わたしの本棚79夜~「高円寺純情商店街」

 2015年に船団東京句会の主催で、高円寺商店街を吟行をしました。さすがに小説の世界からはずいぶんとモダンになりましたが、初めて訪れた高円寺商店街は、和菓子店など、風情あふれる街並みでした。直木賞受賞作であるこの作品、商店街に暮らす人々のあり様を丹念に描き、昭和の香りあふれる人情豊かな物語になっています。2011年の3刷の値段です。解説は秋山駿氏です。

 ☆「高円寺純情商店街」ねじめ正一著 新潮

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わたしの本棚78夜~「ジョゼと虎と魚たち」

わたしの本棚78夜~「ジョゼと虎と魚たち」

 田辺聖子さんの作品で、一番感動したのは、「花衣ぬぐやまつわるーわが愛の杉田久女」(集英社文庫)です。俳句を初めてすぐのころに読んで、号泣しました。田辺聖子さんの小説の中では、この短編小説も好きです。今、タムラコータロー監督でアニメ化されて映画公開中です。2003年に犬童一心監督、(主演妻夫木聡、池脇千鶴)で実写化もされ、そちらの方は、劇場で観ました。映画を先に観て感動し、数年たってから小説(原作

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わたしの本棚77夜~「寺山修司」

わたしの本棚77夜~「寺山修司」

 好きな本、本棚にある本を日記風に毎日紹介していこうとNOTEにはじめて、もうすぐ80日になります。そこで一回、毎日は休憩しようと思います。ちょこちょこは書きます。来年は、「わたしの薬箱」、「わたしの画帳」なども書いていけたら楽しいかもと思っています。とりあえず、80日まで、残り少なくなりましたが、毎日更新できますように。「読書の秋2020」の企画も書くことへの後押しになり、感謝しています。200

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わたしの本棚76夜~「和解する脳」

わたしの本棚76夜~「和解する脳」

 

 脳科学者として、池谷裕二氏の解説もわかりやすいです。この本は、弁護士の鈴木仁志氏が池谷裕二氏に尋ねるような対談として成り立っています。弁護士として裁判という場で、長年、紛争を扱ってきた鈴木氏が、人間の行動原理を探るべく、池谷氏に切り込んでいます。2010年の第1刷の値段です。

☆「和解する脳」 池谷裕二×鈴木仁志著 講談社 1400円+税

 鈴木氏が進化生物学で最も感銘を受けているのは

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わたしの本棚75夜~「空気を読む脳」

わたしの本棚75夜~「空気を読む脳」

 中野信子さんの本は、難しいことを簡単に解説してくれていて、脳科学と敷居が高そうな論考を、恋愛、いじめなどの感情を絡めたことに持っていくので、読みやすいです。この本も、日本人の同調圧力は遺伝子に組み込まれたものであり、戦中の「特攻隊」の発想は、神経伝達物資セロトニンの分泌によるものだといいます。コロナ禍において、同調圧力は高まっていますが、それも日本人特有の義理と人情、恩と返礼を大切にする日本人の

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わたしの本棚74夜~「マチネの終わりに」

わたしの本棚74夜~「マチネの終わりに」

 西谷弘監督、福山雅治主演で映画にもなりましたが、小説の方が余韻があって好きです。映画は、東京、長崎、スペイン、フランス、ニューヨークなどの美しい画像が加味され、それはそれで素敵でした。世界的なギタリストとジャーナリストの恋愛であり、6年のうちに3度しか会わなかった人との恋の話でもあり、ちょっとわたしたち庶民からすると現実からかけ離れてしまいそうですが、普遍的なセリフが心地よく、美しい時間に浸って

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わたしの本棚73夜~「白い航路」

わたしの本棚73夜~「白い航路」

 寒くなりました。換気が必要とのことでですが、なかなか暖房を消すのが難しくなってきました。空は澄んで綺麗です。冬晴れです。

 この本を読むと、明治の文豪森鴎外の違った顔がみえます。薩摩藩の軍医として戊辰戦争に従軍し、後に脚気予防に取り組み、東京慈恵医大の創始者でもある髙木兼寛氏の自伝です。今、公開中の田中光敏監督「天外者」も同じ時代の薩摩出身の五代友厚の人生で(主演三浦春馬)、明治維新前後、この

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わたしの本棚72夜~「博士の愛した数式」

わたしの本棚72夜~「博士の愛した数式」

 本棚にある本をとって、眺めているといろんな思い出がよみがえり、それで書くのは楽しいです。ただ、際限なく書くのもどうかと考えて、やはり、12月末でいったん、このシリーズは終わりにしようと思っています。

 小川洋子さんの作品は、芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」や「薬指の標本」「冷めた紅茶」など、どこか病的(失礼な言い方になりすみません)な感じが全体にする作品がある一方、「博士の愛した数式」のように優

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わたしの本棚71夜~「春のお辞儀」

わたしの本棚71夜~「春のお辞儀」

 2014年、心斎橋の「リズール」に長嶋有氏がゲストとして来られ、講演がありました。それに合わせて、心斎橋商店街のアセンスという本屋さんが、長嶋有フェアを催してくれて、そこでサイン本を購入しました。残念ながら、今、アセンスは閉じてしまいましたが、その時、小さな栞やブルボン小林著書一覧など手作りのおまけも頂き、今も本にはさんでいます。

☆「春のお辞儀」長嶋有著 ふらんす堂 2000円+税

 デビ

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わたしの本棚70夜~「センセイの鞄」

わたしの本棚70夜~「センセイの鞄」

 70日になりました。もう少しがんばれそうなので、今年いっぱいは、続けてみようと思います。読んで頂いたり、スキを頂いたり、フォローしてくれたり、ありがとうございます。川上弘美氏の作品は、芥川賞受賞作「蛇を踏む」のような寓話的なものも好きですが、一番好きなのは、「センセイの鞄」です。恋人未満といったセンセイとツキコさんの関係。淡くて疲れなく、大人の男女の関係として、いいなあ、と思いました。

☆「セ

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わたしの本棚69夜~「言語化力」

わたしの本棚69夜~「言語化力」

 11歳のころ、父親の事業失敗で、世田谷の一軒家から板橋区のはずれの団地へと夜逃げをする・・・といった生い立ちが書かれて、まず、びっくり。通っていた暁星小学校で、友人たちにどう説明しようかと頭をめぐらせたことなどが書かれており、クリエイテイブな仕事をする人の創造力、想像力の原点、相手を楽しませること、不快に思わせないことなどの気遣いの原点をみた思いでした。わたしは頭の回転が速くなく、瞬時に思いつか

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