
わたしの本棚72夜~「博士の愛した数式」
本棚にある本をとって、眺めているといろんな思い出がよみがえり、それで書くのは楽しいです。ただ、際限なく書くのもどうかと考えて、やはり、12月末でいったん、このシリーズは終わりにしようと思っています。
小川洋子さんの作品は、芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」や「薬指の標本」「冷めた紅茶」など、どこか病的(失礼な言い方になりすみません)な感じが全体にする作品がある一方、「博士の愛した数式」のように優しさがあふれているものがあると思います。彼女の作品の中で、一番好きで、第一回本屋大賞、納得の作品でした。
☆「博士の愛した数式」小川洋子著 新潮社 1500円+税
80分しか記憶がもたない博士と家政婦のわたし。その息子のルートくんの淡い交流。3人でサンドイッチを持って、紅茶をポットにいれて野球観戦に行ったり。小川氏自身、大の阪神ファンと公言されているように、野球にも詳しく、ルートくんは数学の先生になるので、結構、数学の知識が出てきたり。読み終わったあと、優しさに包まれしまう、少し切なくもある小説でした。