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【読書記録】ラーニングダイバーシティの夜明け―多様な学びを選択できる教育のために
今回は、2024年8月に出版された村中直人著『ラーニングダイバーシティの夜明け―多様な学びを選択できる教育のために』(日本評論社)の読書記録です。
本書は日本評論社が発行する「そだちの科学」33号(2019年10月)〜42号(2024年4月)に掲載された連載「ラーニングダイバーシティの夜明け」を加筆修正された後にまとめられ、出版されたものです。
臨床心理士であり公認心理師の著者はこれまで、臨床の現場で発達障害圏の子どもたちと接してきた一方、一般社団法人子ども・青少年育成支援協会代表理事や当協会の運営する発達障害サポーター'sスクールの講師として支援者育成に取り組んで来られました。
また、2021年以降はNeurodiversity at Work株式会社の代表取締役を務め、ビジネスシーンにおける日本型ニューロダイバーシティの提唱と促進、そのための企業コンサルティングやエグゼクティブコーチング、研修・講演等といった活動までその取り組みを広げられています。
臨床の現場で発達障害圏の子どもたちの支援に取り組んでいた著者が出会った子どもたちの学びの諸問題の背景には、現代社会と既存の教育システムの間に存在する齟齬が影響していると著者は指摘します。
すなわち、人や情報が日々目まぐるしく国内外を行き交い、新しい技術が生まれ続け、世界中の国々が密接に影響し合うようになりつつある変化の激しい現代社会と、画一的な多数の「正常な学び手」を想定し、標準化された方法に基づいて実施される既存の教育システムとの間に存在する齟齬です。
「そだちの科学」連載中も著者はラーニングダイバーシティをテーマにパネルディスカッションにも参加されており、こちらでもラーニングダイバーシティとは何かについて簡潔に紹介されています。
また、2024年11月には教育学者・哲学者である苫野一徳さんと出版刊行記念対談を実施されていました。
こちらの対談については現在、主催された日本評論社のYouTubeにてアーカイブ動画が公開されています。
以下、本書を読んでの印象的な気づき・学びと、本書を読んだことから想起された私自身の見聞きしてきたラーニングダイバーシティに関連する事例・トピックについてもまとめてみたいと思います。
ラーニングダイバーシティとは?
ラーニングダイバーシティ(learning-diversity)とは、learning(学び)とdiversity(多様性)を組み合わせた著者による造語であり、「学びの多様英尊重」を企図する概念です。
著者によると、ラーニングダイバーシティの概念には「いつ」「どこで」「誰と」「何を」「どのように」学ぶのかという5つの要素があり、これら5つの要素は学びの「機会」と「方法」の2つの多様性をいかに実現するか?という問いに集約されると言います。
さらには、そもそも学ぶことの意思決定を誰が行うのかという主体の問題や、一人ひとりの「学びの多様性」が尊重される社会や教育システムへいかに修正、構築していくか?という問いかけをも含む概念であると、著者は書籍内で紹介しています。
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私たちはこれまで、一ヶ所に同年齢集団を集め、同一の基準や方法による画一的で標準化された一斉授業を通じて行われる教育のあり方に慣れ親しんできました。
一方で、教育におけるさまざまな課題について耳にすることも増えてきました。この点について、著者は以下のように述べています。
近年、教育に関連する様々な出来事が良くも悪くもダイナミックに起こっています。ざっと列挙するだけでも「不登校児童・生徒の増加と学校外教育システム構築の課題」「知的発達に遅れのない発達障害児童・生徒を含む特別支援教育の拡充と整備の問題」「科学技術×教育のEd Tech領域の技術発展と活用の問題」「今までと異なる観点からの公立学校改革イエナプランの導入など」「教員の過重労働や人数不足の問題」「大学入試システムの大規模改定」などなど、言い出すと切りがありません。
また、子どもたちの状況を見てみても、学びの諸問題が子どもたち一人ひとりの属人的問題ではなく、学ぶという行為にまつわる仕組みやシステム自体が時代に合わなくなってきていると考えられます。
本書中では特に、不登校と10代の自殺について言及されています。
日本財団は2018年末に「不登校傾向にある子どもの実態調査」を行い、全中学生の10.2%にあたる33万人が学校に馴染んでいないと見られる結果を明らかにしました。
これに加えて、2024年10月には、NHKが不登校の小中学生が過去最多の34万人余に及んだと報じています。
著者はまた、2019年度版の自殺対策白書を引きつつ、10代の自殺の動機・原因のトップに「学校問題」、その中で最も多かった理由に「学業不振」があったと紹介しています。
今年2024年に発表された自殺対策白書においても、子どもの自殺が500人を超える高止まり状態であり、中高生以上になると「学校問題」が大きな動機・原因であることが述べられています。
これらのことから、既存の教育システムに馴染むことができず、時に命に関わるほどの強い不全感や心理的苦痛を抱える子どもたちが増加傾向にあることが見て取れます。
先述した教育に関して取り組むべきさまざまな課題や、既存の教育システムにおける子どもたちの葛藤も、「学びの多様性尊重」という新しい「学び」「教育」の哲学や思想に基づいた構造転換を必要としていることや、ラーニングダイバーシティがその中核的なテーマの1つとなり得ることを示唆しています。
本書中では学校改革、特別支援、発達障害、学習障害、ホームスクーリング、不登校、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)、コロナ禍における学び等、多様な観点から上記のテーマについて言及されています。
以下、ラーニングダイバーシティについてより深く探求するために、コロナ禍における学びとニューロダイバーシティ(脳の多様性)について特に取り上げていきたいと思います。
コロナ禍における学びとニューロダイバーシティ
コロナ禍における学び
2020年1月。国内で初めての感染者が出たことをきっかけに、教育現場においても大きな転換が求められ、ラーニングダイバーシティに向き合わざるを得ない状況が生み出されました。
2020年2月27日には、当時の安倍首相が全国の小学校、中学校、高校に休校要請を行い、長いところでは5月末まで休校措置が取られるという極めて異例の、影響の大きい事態となりました。
この間、日本社会における「学校」の機能や役割、意義に加え、問題点も一気に白日のもとに晒すこととなりました。
子どもたちの「居場所と福祉」そして、「学び」をいかに保証していくか?が社会全体で共有され、子どもたちは自宅学習(ホームスクーリング)を進めることになり、親は子どもたちの自宅学習を働くことといかに両立させるかという事態に向き合う必要に迫られました。
これに伴い、デジタル機器を駆使した教育環境におけるICT技術の活用、9月入学の検討、一律一斉授業からの脱却、年齢と学習コンテンツの切り離しなど、さまざまな視点から既存の教育システムについて検討する機会となりましたが、現在はどうなったのでしょうか。
コロナ禍を経た2024年11月現在、上記のようなさまざまな議論がどのように進み、着地したのかを私はそのすべてを追うことはできていません。
そう考えた場合、本書第3稿の『ラーニングダイバーシティとコロナ禍』は、今だからこそ読み返すべき章かもしれません。
なお、著者もまた息子さんを持つ親としてコロナ禍を体験した当事者であり、この時の葛藤や息子さんへの関わり、学びの工夫についても最終稿にて紹介されています。興味深い記述で、こちらもぜひご覧いただきたいです。
ニューロダイバーシティ(脳の多様性)
ニューロダイバーシティ(neurodiversity)とは、neuro(神経、脳)とdiversity(多様性)を組み合わせた造語で、1990年代後半に生まれたまだまだ新しい用語であり、概念です。
ジェーン・メイヤーディング氏(Jane Meyerding)は、1998年に『Thoughts on Finding Myself Differently Brained』というエッセイを発表し、その中でニューロダイバーシティ(Neuro-diversity)とそれに対比する言葉としてニューロユニバーサリティ(脳普遍性、神経普遍性:Neuro-universality)という概念について考えを述べています。
『ラーニングダイバーシティの夜明け』の著者である村中直人さんは2020年に『ニューロダイバーシティの教科書』を出版しており、ニューロダイバーシティについて以下のように述べています。
neuro(脳・神経)とdiversity(多様性)。この2つの言葉から生まれたニューロダイバーシティは、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で生かしていこう」という考え方です。
発達障害と呼ばれる現象を、能力の欠如や優劣とは異なる視点、意味で捉えなおす言葉であり、さらには「すべての人の脳や神経のあり方」がその対象となる裾野の広さを持った言葉でもあります。
ニューロダイバーシティな人間観に立った時、そもそも「障害」とは何か?という問いに突き当たります。
また、私たちが生きる現代社会では、働き方、家族などにおける様々な仕組み、制度が社会の多数派、より具体的には成人男性の存在を基準として設計されていたり、教育においては脳神経学的に多くの人は同じような存在であると考えるニューロユニバーサリティ(脳普遍性、神経普遍性:Neuro-universality)な人間観に基づいてカリキュラムが設計されていることも見えてきます。
ニューロダイバーシティな人間観に立った時、子どもたちの学びにおける「学習障害」もまた、これまでとは違った見え方がしてくることがわかるでしょう。
『ラーニングダイバーシティの夜明け』において著者は、規格に沿って均一化された存在として子どもたちを捉えて教育し、社会の一員としていく「レンガモデル」から、すべての子どもたちを脳や神経レベルで多様な存在としてとらえ、子どもたち自身が自分に合った学び方を選択できる「石垣モデル」の教育システムへの移行についても触れられていました。
私の見聞きしてきたラーニングダイバーシティ
上記のような学びの多様性の尊重、石垣モデルの教育とは具体的にどのように実施していくことが可能なのでしょうか?
この点について著者は『ラーニングダイバーシティの夜明け』第8稿にて、名古屋市立山吹小学校の事例を紹介しています。
詳しくは本書をご覧いただきたく思いますが、第8稿を読み込む中で私自身もまた、ラーニングダイバーシティや学びの多様性尊重に関わる知見に触れてきたことが思い出されました。
以下、私自身も見聞きしてきた4点……総合的な学習(探究)の時間、石川県加賀市教育委員会の事例、ドイツ・ベルリンの中高一貫校ESBM/ESBZの事例、放課後等デイサービスそらいろチルドレンでの経験についても簡単に紹介できればと思います。
総合的な学習(探究)の時間
まず、ラーニングダイバーシティの時代の前提となっている変化の激しい社会における教育の取り組みとしては、いわゆる探究学習というものがメディア等で取り上げられてきました。
この探究学習について意識的に深めてみるきっかけとなったのは、安斎勇樹さん(株式会社MIMIGURI代表取締役 Co-CEO)と塩瀬隆之さん(京都大学総合博物館 准教授)が執筆された『問いのデザイン-創造的対話のファシリテーション』の出版記念企画です。
本企画中では「探究」、特に教育現場や学校における「探究」が大きなテーマとして扱われていました。
文部科学省による「総合的な学習(探究)の時間」は以下のような説明がなされています。
総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。
また、「探究的な学習における児童・生徒の学習の姿」として、文部科学省は以下の図のような一連の学習過程を示しており、課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現の4つのプロセスが含まれるものとしています。
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学校教育の場面における「探究」は、「総合的な学習の時間」の中に位置づけられた「探究的な活動」といった表現などに遡ることができます。
2008年(平成20年)1月17日の中央教育審議会答申『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について』では、以下のように表現されています。
総合的な学習の時間については、その課題*2 を踏まえ、基礎的・基本的な知識・技能 の定着やこれらを活用する学習活動は、教科で行うことを前提に、体験的な学習に配慮 しつつ、教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探究的な活動となるよう充実を図 る。このような学習活動は、子どもたちの思考力・判断力・表現力等をはぐくむととも に、各教科における基礎的・基本的な知識・技能の習得にも資するなど教科と一体となって子どもたちの力を伸ばすものである。
総合的な学習の時間のねらいについては、小・中・高等学校共通なものとし、子どもたちにとっての学ぶ意義や目的意識を明確にするため、日常生活における課題を発見し 解決しようとするなど、実社会や実生活とのかかわりを重視する。また、総合的な学習 の時間においては、教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習、探究的な活動を行うことをより明確にする。
その後、学習指導要領の改訂により、2020年から小学校で、2021年から中学校で、2022年から高校での新しい学習指導要領が実施されました。
これにより、特に高校における「総合的な学習の時間」は「総合的な探究の時間」へと置き換わり、新たに6つ「探究」と名のつく科目が新設されました。新設された6つの科目とは、「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究」「理数探究基礎」です。
このように、『ラーニングダイバーシティの夜明け』とはまた別の角度から、これからの社会に求められる教育のあり方について文部科学省は施策を講じてきていることが見て取れます。
石川県加賀市教育委員会の事例
『ラーニングダイバーシティの夜明け』第8稿および、上記の総合的な学習(探究)の時間に関連して思い出されたのは、石川県の加賀市教育委員会の取り組みです。
本件に関して、私は2024年1月に実施された『KAGA Education Player's Day(文部科学省委託 教員研修の高度化に資するモデル開発事業の事業報告会)』への参加をきっかけに携わることとなりました。
加賀市教育委員会は2023年4月、“Be the Player”をスローガンとして掲げた学校教育ビジョンを発表し、「自分で考え 動く 生み出す そして社会を変える」子どもたちの育成に向けて新体制を始動しました。
そして、事業報告会の場では、石川県加賀市教育委員会教育長の島谷千春氏より2023〜2025年の加賀市学校教育ビジョン、その中で大切にしている「学びとは、子どものもの。子どもの中に答えがある」「子どもに委ねる学び」という考え方、教育ビジョンの具体的な進め方などについてお話を伺いました。
また、この教育ビジョン推進においては、教員の人事異動に左右されないよう市内全校で実施すること、かつ、マニュアル化せず各校で独自の取り組み方を模索していくことなど印象的なお話も伺うことができました。
さらに、当日の会場にはマイプラン学習(複数教科・自由進度学習)という授業を推進している庄小学校の5年生4名が参加し、前年度までの一斉授業と新しく始まったマイプラン学習とで感じた違いなどについて紹介してくれました。
この事業報告会は国内における複数教科・自由進度学習、ICT活用について、教育委員会や教員、子どもたちからも直接話を伺える貴重な機会となりました。
また、上記のような報告は、ラーニングダイバーシティ推進の貴重な事例であると感じられるものでした。
ドイツ・ベルリンの中高一貫校ESBM/ESBZの事例
次にご紹介したいのは、ドイツ・ベルリンのプロテスタント系の私立中高一貫校ESBM(Evangelische Schule Berlin Mitte)およびESBZ(Evangelische Schule Berlin Zentrum)です。
2007年、マーグレット・ラスフェルト氏(Margret Rasfeld)が初代校長となって創設された本校は、経営の領域でベストセラーとなったフレデリック・ラルー著『ティール組織』という書籍で紹介されたことによって一躍注目を集めるようになりました。
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『ティール組織』の中では、ESBZについて以下のような記述が紹介されています。
先生が教壇から一方的に教える一斉授業は廃止され、国語や算数、理科などの各基礎教科は小さなテーマごとに区分けされ、理論、演習、テストをひとつの単位として、段階的な学習ができる。
生徒たちはそれぞれのペースで学習を進め、つまづいた教科については理解できるまで丁寧に学習し、興味を持った生徒はより発展的な内容のプログラムに取り組むこともできる。
生徒は一人で学習を進めてもよいし、本人が望めば少人数でまとまって学んでもよく、質問があるときには、まず生徒間で尋ね合い、解決できなければ先生に質問する(先生の時間はそのような個別指導のために空けてある)。
上記のような学習支援のあり方の他、「責任(Verantwortung/Responsibility)」と呼ばれる7年生と8年生が参加する校外活動カリキュラムや、「挑戦(Herausforderung/Challenge)」と呼ばれる8年生から10年生までの生徒が取り組む3週間の自主企画・校外学習プログラムなどが『ティール組織』の中で紹介されています。
私自身、この『ティール組織』をはじめとする新しいパラダイムにおける組織づくり、経営についての探求と知見の紹介に取り組んできましたが、その中で本校の視察報告会をオーガナイズする機会に恵まれたことで、より深くその実態について知ることができました。
このESBZの事例は、学びの多様性尊重の潮流は世界的に起こりつつあるということ、そして、学びの多様性尊重に基づいた人材育成は、DE&I(Diversity, Equity, and Inclusion)の推進が進むビジネス・経営に取り組む大人にとっても重要な意味を持つことを伝えてくれるように思います。
放課後等デイサービスそらいろチルドレンでの経験
最後にご紹介したいのは、京都市北区の放課後等デイサービスそらいろチルドレンでの私自身の経験です。
そもそも、『ラーニングダイバーシティの夜明け』を読むきっかけとなったのは、著者である村中直人さんが2020年に出版されていた『ニューロダイバーシティの教科書』の読書記録をまとめたことがきっかけでした。
そして、このニューロダイバーシティに関心を持つきっかけとなったのは、放課後等デイサービスそらいろチルドレンのスタッフとして子どもたちに関わっていたこと、また、その放課後等デイサービスの運営法人の理事を務めていたことでした。
放課後等デイサービスにやってくる子どもたちと遊ぶ中で、私自身もさまざまな気づきや学びがありました。
大人の中にある支援者・教育者としての偏ったレンズを通して子どもたちを見るのではなく、子どもたちの置かれた環境や視点から物事を見ることの大切さや、一人ひとり異なる特性を持つ中でいかに仲間として尊重しあえる場づくりを行うか?を学べたことは、私にとって本当に大きな経験となりました。
また、保護者の方や学校の担任の先生とお話しする中で、複数の関係者といかに大切にしたい支援観や教育観を共有し、地道なつながりを紡ぎ続けていくか?についても日々考え、向き合うこともできました。
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そして、『ラーニングダイバーシティの夜明け』について読み進める中で、そらいろチルドレンにおいてもまさに『ラーニングダイバーシティ』の実践に取り組んでいたのだと思い返されました。
放課後時間を自分の好きな活動にあてることを尊重し、学校と家以外のサードプレイスとして安心して過ごせる空間づくりが意識されていたそらいろチルドレンでしたが、そこでも学校の宿題を子どもたちと一緒に取り組む場面もありました。
運動機能、集中力、学習の進捗度は子どもたち一人ひとりさまざまでしたが、私自身何より大切にしたいと感じたのは、子どもたちにとって「学ぶことは楽しいことだ」と感じてもらえるような関わりや、子どもたちが宿題をやり終えた時の「できた!」という達成感や喜びでした。
その後、私は一人ひとりの可能性やポテンシャルを発揮するための組織づくり、社会づくりの知見や国内外の事例を紹介していく生業を営むようになりましたが、この頃に学び、大切にしたいと感じた人間観は今も私の中に息づいています。
終わりに
以上、『ラーニングダイバーシティの夜明け』を読み終えての気づきや学びについて印象的だった事柄に加え、私自身が関わってきたラーニングダイバーシティに関連する事例・トピックも含めてまとめてみました。
今回、『ニューロダイバーシティの教科書』について触れた後に『ラーニングダイバーシティの夜明け』を手に取ったことで、見えてくる景色がより一層、解像度を増して捉えられるようになったように思います。
一人ひとりの違いを尊重する組織づくり、社会づくりのためには、複数の関係者・関係機関を明確にし、その上での情報共有や連携・協働、さらに、複数の視点を柔軟に行き来しながら、関係者が共有できるビジョンに向けて行動していくことの大切さがより理解できたように感じました。
今回の読書記録は、単に本を読んでそれの感想を述べるというより、私自身もこれまで関わってきた活動、関連するトピックも交えてまとめてきましたので、著者本人だけではなく私自身の視点も本記事には反映されています。
本記事をきっかけに『ラーニングダイバーシティの夜明け』を手に取られた方や、もうすでに読んだことがあるという方、また、本記事を読んだことで何か気づきや感想が芽生えたという方がいらっしゃれば、ぜひコメントやメッセージなどいただけると嬉しいです。
ラーニングダイバーシティという新たな概念とその実践について対話したり、どのような方法が考えられるかなど、ご一緒しながら深めていけると幸いです。
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さらなる探求のための参考リンク
ニューロダイバーシティからみる世界(前編)/ゲスト:村中直人(臨床心理士、公認心理師)|NPO法人DxP
村中直人の雑記帳
探究学習とは? 新しい学びのスタイルを教育専門メディアが解説|教育新聞
苫野一徳✕村中直人 『ラーニングダイバーシティの夜明け』を語る夜|日本評論社YouTubeチャンネル
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