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若さゆえの選択

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万華鏡職人を志す主人公、詩乃の成長物語。周囲の反対や対立にも心折らず、自分の信じる道を歩む決意をした主人公。主人公だけでなく、主人公の周りの視点からも、各々の人物の考えや内面を深…
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#小説

若さゆえの選択⑫ (玲奈) ~終わりなき道を歩く~

 静かな夜だった。  まるで、何か事が起こる前触れのような静けさで、胸の奥のざわめきが離…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑪ (遼平) ~気付いた時には好きだった~

 月曜の朝8時50分、いつも通りの時間に工房に入ったときだった。 「おはようございますっ!」…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑩ (玲奈) ~自分で選んだ道、だから後悔なんてない~

 ガチャッ、とドアを開けられた音に、過剰なほど心が反応した。  鼓動が、早鐘を打つ。  誰…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑨ (母) ~瞳が語る覚悟~

 親にたて突くような反抗的な態度に、私は我慢なりませんでした。  いつから詩乃は、こんな…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑧ (父) ~幸せのかたち~

 目の前に座る詩乃が、ぶすっといら立ちを募らせるように無言で私たちを睨んでいた。不機嫌そ…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑦ (詩乃) ~私は、私の人生を生きる~

「――詩乃、あんた聞いてる?」  ヒステリックに言う母の声に、ふと詩乃は我に返って顔を上…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択⑥ (詩乃) ~近くて遠い、その隔たり~

「ここじゃ、迷惑になるから」  そう言って、詩乃は両親をシャアハウスから連れ出した。  ここに居座られて、これ以上、玲奈さんをはじめ皆に嫌な思いをさせるのは絶対に嫌だった。 「早く立って!」と声を荒げ、詩乃は両親をソファから立ち上がらせた。 「ひとりで……大丈夫?」  玄関を出る間際、玲奈さんに呼び止められた。心配そうな目が、詩乃を見つめる。 「玲奈さん。ご迷惑をおかけして、本当にすみませんっ。私にも何の連絡なしに、いきなり訪ねて来て」  玲奈に謝りながら、詩乃はとにかく頭

若さゆえの選択⑤ (詩乃) ~対面、そして決意~

 上京してから、初めての冬。  街行く中で目に入るネオンやイルミネーションは、地元と段違…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択④ (玲奈) ~あの日、救われたこと~

 玲奈は、詩乃より2年早く、そのシャアハウスに住み始めた。  憧れだった声優になるため、バ…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択③ (遼平) ~詩乃が工房に来た日~

 あいつが事務所に初めて来たときのこと? もちろん、今でも覚えてるよ。 「す、すいません…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択② (母) ~身勝手なうちの娘と、無責任な夫~

「万華鏡職人になるために、上京したい」   娘の詩乃がそんなことを言ってきたので、すぐに…

草方良月
4年前
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若さゆえの選択① (詩乃) ~この世に正解なんて無い~

 子供の頃から、詩乃は万華鏡が大好きだった。  色とりどりの鮮やかな模様が、小さな世界で…

草方良月
4年前
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