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若さゆえの選択② (母) ~身勝手なうちの娘と、無責任な夫~

「万華鏡職人になるために、上京したい」 
 娘の詩乃がそんなことを言ってきたので、すぐに私は夫に告げました。夫は、
「そんな夢みたいなこと言うんじゃない。普通の職につくか、勉強して大学に行きなさい」
 と、娘を叱ります。しかし、詩乃は言うことを聞きません。普段なら夫や私の言うことに従順な詩乃が、今回ばかりはやけに頑なでした。

 無謀な挑戦をしようとする娘と、一家の主にも関わらず、それを止められない夫。
 私は呆れ、二人が口論する横で、ただぼんやり二人の会話を聞いていました。

「そうなんですよ、本当にうちの娘は勝手で。夫も不甲斐ないから、詩乃のことを全然止められないんです」
 後日、担任の先生から詩乃の進路のことを尋ねられ、私はそう答えました。
「本当にうちの娘は頭が悪くて、世間知らずで……。先生からも言ってやって下さい」

 誰も娘を止めないから、とうとう詩乃は上京してしまいました。

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