マガジンのカバー画像

アルバムレビュー

373
漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
運営しているクリエイター

#音楽

Dream Theater / Parasomnia (と最高のライブ盤)

Dream Theater / Parasomnia (と最高のライブ盤)

USプログメタルシーンを代表するバンド、Dream Theaterの16作目。創設メンバーで脱退まではリーダー的存在でもあったドラマーのマイク・ポートノイが2010年の脱退後、2024年に復帰してから初のアルバム。

ポートノイの復帰は驚きました。というのも、前作A View From the Top of the World(2021)は近作の中では最も出来の良い作品だと感じたし、2022年のグ

もっとみる
C Duncan / It’s Only Love Song(2025)

C Duncan / It’s Only Love Song(2025)

UK グラスゴーのシンガーソングライター、C Duncanの2025年作。アルバムとしては5作目。Allmusicの新譜レビューで星4.5がついていたので発見。POP/ROCK系の新譜で星4.5ってなかなかつかないんですよ。

聞いてみたら「エバーグリーンなポップスとはこういうものだ」という音像。橋本徹(SUBURBIA)さんが選んでいたフリーソウルコンピが好きだった人なら直撃すると思います。しか

もっとみる
USハードロックの王道、tremonti / The End Will Show Us How

USハードロックの王道、tremonti / The End Will Show Us How

マーク・トレモンティのソロプロジェクト、tremontiの新譜が出ました。tremontiのバイオはこちら。

CreedはUSで大人気だったバンドで、彼らのセカンドアルバム「Human Cry(1999)」はUSだけで1100万枚を売り上げる大ヒット。ポストグランジ世代のロックバンドを代表する存在です。作曲はトレモンティが主体ですが、トレモンティはCreedではギタリスト。ボーカリストはスコット

もっとみる
折坂悠太 / 呪文

折坂悠太 / 呪文

日本のシンガーソングライター、折坂悠太の4作目。前作で知ったアーティストです。

前作は日本人離れした感覚、グローバルポップの感覚を感じて耳が惹かれたのですが本作はどうか。

1.2曲目は前作に比べると大分日本的、純邦楽というよりJ-POPの語法に近づいた感覚。悪い意味ではなく、聴きやすく、口ずさみやすくなっています。かなりメロディが推敲されている。耳障り良いけれど陳腐さがない。

三曲目はやや民

もっとみる
ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

日本のラッパー、ACE COOL。あまりヒップホップには詳しくないのでバイオを聞いてみました。

いろんな人の年間ベストを観ている中でヒップホップ系のものを見つけ、ざっと聴いた中で耳に残って聴いた作品。バックグラウンドや本人のストーリーは知らず、音だけで惹かれた出会いです。

大和田俊之さんと長谷川町蔵さんによる「文化系のためのヒップホップ入門」という本がありまして。

この中でなるほどと思ったの

もっとみる
Judas Priest / Invincible Shield(2024)

Judas Priest / Invincible Shield(2024)

UKメタルの祖とも言えるジューダスプリースト(鋼鉄神)、プリーストの結成は1969年とブラックサバスとそれほど変わらないが、デビューは1974年、そして本格的な商業的成功を収めるのは1980年のブリティッシュスティールからとやや遅咲きのバンド。ただ、それ故か「British Heavy Metal」に拘り「ヘヴィメタルとは何か」という音像を追及してきたバンド。以前書いたようにヘヴィメタルの誕生は1

もっとみる
Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

★★★ 感動した/ウルッと来た
★★ ワクワクした/耳を惹かれた
★ 平常

全体評価:★★★19年ぶり、アイアンメイデンのボーカリスト、ブルース・ディッキンソンのソロ作。前作同様ロイ・Zとタッグを組み、コンセプトアルバムとしての作品。

まず、メタル色は薄い。というか、最近改めて思うが00年代以降「メタル」というとグロウルボイス(いわゆるデス声)の印象が強くなっている気がする。そもそもブルースは

もっとみる
人間椅子 / 色即是空

人間椅子 / 色即是空

日本の誇るストーナー/ドゥームメタルバンド、人間椅子の2年ぶり、23枚目のアルバム。1989年のデビュー以来、ほぼ1年か2年おきにアルバムをリリースし続けるという偉業を成し遂げています。継続は力なり。ドラムがナカジマノブ氏に変わった2004年以降、現体制としては12枚目のアルバム。現体制でのアルバムが全カタログの過半数を超えました。不遇の90年代後半~00年代を経てOzzfest Japanへの参

もっとみる
Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

USメタルの巨人、A7X(Avenged Sevenfold)の新譜がリリースされました。8枚目のアルバムで、前作「The Stage(2016)」から7年ぶりのリリース。2018年からアルバムの制作はスタートし、2020年末にはほとんど完成していたそうですがコロナ禍によりツアーが延期され、アルバムのリリースも今のタイミングにずれこんだ、とのこと。

A7Xは1999年結成、2001年デビュー。最

もっとみる
Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

いよいよMetallicaの新譜が公開されました。あまり前情報を入れず、初聴した感覚を書き残しておこうと思います。

1."72 Seasons" 7:39 ★★★★☆先行発表されていたタイトル曲、リフがなだれ込んでくる。これはすべてダウンピッキングだろうか。今の基準だとそこまで高速というわけでもないが体感として早く感じるリフワーク。そのまま疾走感のあるドラムが入ってくる。アップテンポなナンバー。

もっとみる
Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

2010年代を代表するメタルアクト、Babymetalの5年ぶりのニューアルバム「The Other One」がリリースされました。アルバムレビューを書きつつ、このアルバムを現代メタルシーンの中に位置づけていきたいと思います。

Babymetalのメタル史における位置づけについて考察したことがあります(→関連記事)。結論としては「2010年代を代表するメタルアクト」でした。2010年代に出てきた

もっとみる
2022 ベストメタル/ハードコア(一部プログレ)系アルバム 4月-5月

2022 ベストメタル/ハードコア(一部プログレ)系アルバム 4月-5月

よーし、メタルについて書くぞー!

年末にまとめてベストアルバムを選ぶより聴いた時点で書き続けていこう、と思ってベストアルバムの記事を書き始め随時更新していたのですが、既にかなりの分量になってきて「こりゃあかん」と記事を分けます。重すぎると読み込めなくなるんですよね。

この記事は4月~5月あたりで耳を惹かれたアルバムの紹介。流すと「空気感が変わる」「独特の時間を過ごせる」ものを選んだつもりです。

もっとみる
2022 ベストメタル/ハードコア(一部プログレ)系アルバム 1月ー4月

2022 ベストメタル/ハードコア(一部プログレ)系アルバム 1月ー4月

2022年で「おっ」と思った新譜アルバムをまとめてご紹介。じっくり聞くような大作よりは聞いていて楽しい、テンションが上がる作品が多いのは聞き方を変えた(※1)影響かも。メタル/ハードコア系と言っても音像が広いのでいくつかのサブカテゴリに分けています。

・”新しさ”が耳を惹くアルバム ー 新規性があってこの界隈の音像を拡張する、挑戦しているアルバム。個人的には大好きだし、多くの人におススメします。

もっとみる
メキシコ音楽+メタリックハードコア=オチョ・カラカス : 8 Kalacas / Fronteras(2022、US)

メキシコ音楽+メタリックハードコア=オチョ・カラカス : 8 Kalacas / Fronteras(2022、US)

スカコア・メタルバンド、8 Kalacas。本国ではアトミックファイアーレコードと契約し、日本ではワードレコードから国内版も発売予定。アルバムは未発売ながら先行トラックが何曲か公開されており、それらが衝撃的だったのでご紹介。バルカン的なブラスセクションが入り、シカゴなどのブラスロック的な味わいも感じる面白い音像。

ベースはスカコアであり、ラテンアメリカの音楽をベースとしながらザクザクしたギター、

もっとみる