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【読書】魚を食べることで生き延びてきた人類のこれまでの歴史と今後のあり方を少し考えてみる?

みなさんは魚は好きですか?

突然ですが、みなさんは魚料理は好きですか?

私も以前は肉>魚でしたが、最近では肉も魚も好むようになりましたね。魚の干物だったり、刺身などは学生の頃から比べて食べるようにはなりましたね。

そんな加齢と向き合う中年の食生活はさておき、今回の記事は「魚食の人類史: 出アフリカから日本列島へ 」を取り上げみたいと思います。著者は人類学者の島泰三氏。人類が生き延びた背景に魚食ありという知的好奇心は、私の満腹中枢を満たしてくれるのかに、興味がありますね。

とりあえず人類史

前半はどちらかというと、人類史の研究の発展について、最新の研究成果やその批判などを交えた内容です。もちろん、現時点で人類の進化の決定的な証拠が見つかっていないのが前提となりますが、現生人種である私たちホモ・サピエンス(Homo sapiens)がネアンデルタールとの比較のところは大変興味深いものでした。

ただ、ネアンデルタールは割と大型の哺乳類(ライオンなど)を捕食していたのに対し、ホモ・サピエンスは水辺の生活を行い自分たちより安全な水棲動物・水棲植物を捕食するニッチな生き方をしていた…これがのちに人類の大繁栄につながってきます。

陸地の拡大と進出

本書によると、約7万年前に海水面が下がるとともに、骨格では筋骨隆々な他の種とくらべ、やや華奢なホモ・サピエンスが海辺や川辺の生物を捕食しつつ、海や川を渡った.結果ホモ・サピエンスは拡散していき、勢力を拡大したとのことです。

ホモ・サピエンスはその後、定住して農耕 or 牧畜の生活を行いますが、

海辺や川辺の近くにいる
=湿地に近いところにいる
=漁撈を行いながらの生活

をしていたことが石器の研究からも明らかにされつつあるとのことでした。

農耕・牧畜と漁撈、一見するとあんまり関係なさそうな話ですが、人類史を考える上では、これからの研究が進むことを期待してしまいます。

豊かな海だった日本

ご多分にも漏れず、日本列島に進出したホモ・サピエンスですが、中世の絵巻物、宣教師によるジパングの紹介、江戸時代の魚市場の繁栄などを見る限り、私たちのかなり近いところで鮮度が高い魚介類を入手しやすかった環境が見て取れます。

また、日本人な腸が海苔の消化に適していることことも発見され、進化の過程でニッチさによる適応が重要であることが物語ってくれます。

ナショナルジオグラフィックの記事↓

本物のNatureの記事(ただし、全文は要課金)↓

そして現在へ…

ただ、最近の日本の漁場となると、藻場は少なくなり、生態系サービスという面では、日本列島に進出してきた時期と比べた数千年前からすると、その恩恵は少なくなりつつあります。

また、世界的な人口爆発と経済発展により、魚の生態系(河川、湖沼、海域…)はこれまでにない変化が生じています。特にマグロやウナギに代表されるように、日本食には魚が必要となりますが、資源量の確保からも世界との協調が必要な時代になりました。

こんな時代を踏まえ、改めてニッチな人類がここまで生き延びできた事実を魚食から振り返る…そんな一コマがあってもよいかなと思える良書でした。(了)

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山田太朗(仮名)
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