山田洋次監督「息子」…ひとり、明かりのない家に帰る老いた三国連太郎の孤独。
映画は水物だ。 「いま」を描けば、時代と寝てしまうことを避けられない。
それはどんな名監督、巨匠の作品だとて、例外ではない。山田洋次監督におけるそれは、1991年の作品「息子」だ。
日本がイケイケだった時代の「片隅」に生きる親子関係が表テーマな訳だが
息子の一人は「当時理想の生き方だった」フリー・アルバイターに熱中してるし
もう一人の息子は「まだ続くと思ってた」土地神話にのぼせ上がっている。
これは、90年代以降、日本が未曾有の大不況を経験した際の「片隅」ほど深刻なものではな