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鉄人同士、気が済むまで殴り合え! 映画「ロボ・ジョックス」と「リアル・スティール」。
まだ、テレビが元気だった10ねんまえの話。
2004年から2005年の1年間だけ日テレで放映されていた「ワールド☆レコーズ」
ロボットNo.1決定戦 が好きだった。
ラジコン操作で動く手のひらサイズのロボットがK-1ルールで戦う格闘技戦。
ブラウン管の中で、捨て身で戦う小さなファイターたちに、魅せられた。
(その頃、ウチではK-1もPRIDEも「残酷だから」と視聴厳禁だった。「ワールド⭐︎レコーズ」だけはOKだったのだ。)
思えば、ゼロ年代前半の日本では、ちょっとしたロボットブームが吹いていた。
特に、二足歩行人間型のロボット=ヒューマノイドによる「いかに人間的な動きに近づけるか?」各社競争、研究に対する熱、技術者魂賛歌が凄かった。間違いなく、国民全員がロボット熱にうかされていた。
ホンダのASIMOも引っ張りだこだった。愛・地球博の開会式に出演したり、ホンダのCMに出演したり(バックに流れるザ・ハイロウズの「日曜日よりの使者」が忘れられない)
そうだ、あの頃は、毎年夏にNHKで放送された「高専ロボコン」も熱かったっけ。AIじゃなくて、ロボットが時代の最先端を走っていた時代のはなし。
その熱が冷めたのは、一体いつのことだろうか?
気がついたら、ASIMOの開発も終わっていた。
というわけで今回は、2足歩行ロボット同士がぶっ倒れるまで殴り合う実写映画(乱暴にいえばパシフィック・リム的な作品)をふたつ紹介したい。
「ロボ・ジョックス」。
人類の多くが死滅した核戦争から半世紀。世界は「マーケット」と「連合」の二つの陣営に分かれて争っていた。だが、そこで行われるのはジョックスと呼ばれるパイロットが乗り込んだ巨大なロボットによる1対1の戦い。領土を賭けて「マーケット」の戦士アキレスは「連合」の覇者アレクサンダーに立ち向かう!
スタッフ
監督・原案■スチュアート・ゴードン
製作■アルバート・バンド
製作総指揮■チャールズ・バンド
脚本■ジョー・ホールドマン
撮影■マック・アールバーグ
音楽■フレデリック・タルゴーン
キャスト
ゲイリー・グレアム………………アキレス
アン=マリー・ジョンソン………アテナ
ポール・コスロ……………………アレクサンダー
ロバート・サンプソン……………ジェームソン
ダニー・カメコナ…………………ドクター・マツモト
ヒラリー・メイソン………………ラプラス教授
allcinema SELECTION 公式サイトから引用
「死霊のしたたり」ほか一連のホラー映画で名を挙げたマイケル・ゴードンが、念願の企画だ。
核戦争後の近未来、人類は戦争の代わりに人間が操縦するロボットによる格闘技で国家間の争いを解決していた。国民的英雄である操縦士アキレスは宿敵アレクサンダーとの決戦で客席に倒れこみ、大勢の観客を死なせてしまった。罪の意識から戦いを辞退するアキレスの代わりとして、秘かに彼に思いを寄せる女操縦士アテナがアキレスに戦いを挑むのだが・・・。
当時としてはしょっぱいSFXに対して、ぬるぬる動くストップモーションアニメの技術が凄まじい。
本作は1988年に撮影されたもの(公開は1990年)、にも関わらず?主人公の登場するマツモト14号を日本人のロボット博士が設計したという設定を持ち込んでいるのは、興味深い点だろう。
総じて「機動戦士ガンダム」への正当なオマージュと言えるSFロボット大作。
これに燃えない人間は、ヒトじゃない。
「リアル・スティール」。
原作は代表作「地球最後の男」のハードSF作家リチャード・マシスン。
人間の代わりに高性能のロボットたちが死闘を繰り広げるロボット格闘技の時代―。夢も希望も失くした元ボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)の前に突然、母を亡くした11歳の息子マックス(ダコタ・ゴヨ)が現れる。険悪な雰囲気の父と子は、マックスが廃品置き場でみつけた旧式ロボット“ATOM”との出会いをきっかけに、少しずつ絆を取り戻していく。熱心なマックスに心を動かされ、チャーリーはATOMに自分の技を教え込む。やがてATOMと共にどん底から這い上がった2人は、史上最強の王者ロボット、ゼウスとの対戦へ―。
製作総指揮S・スピルバーグ×R・ゼメキス、アカデミー賞(R)視覚効果賞にノミネートされた迫力のロボット格闘技シーンと親子の絆が魂を揺さぶる、感動のアクション大作。
キャスト
チャーリー・ケントン:ヒュー・ジャックマン/山路和弘
マックス・ケントン:ダコタ・ゴヨ/吉永拓斗
ベイリー:エヴァンジェリン・リリー/天海祐希
フィン:アンソニー・マッキー/堀内賢雄
リッキー:ケヴィン・デュランド/森田順平
タク・マシド:カール・ユーン/手塚秀彰
ファラ・レンコヴァ:オルガ・フォンダ/木下紗華
スタッフ
監督:ショーン・レヴィ
脚本:ジョン・ゲイティンズ
ストーリー:ダン・ギルロイ、ジェレミー・レヴェン
原案「Steel」:リチャード・マシスン
製作総指揮:ジャック・ラプケ、ロバート・ゼメキス、スティーヴ・スターキー、スティーブン・スピルバーグ、ジョシュ・マクラグレン、メアリー・マクラグレン
製作:ドン・マーフィ、スーザン・モントフォード、ショーン・レヴィ
ディズニー公式サイトから引用
まだバーナムを演じる前のヒュー・ジャックマンなので「しっかりしたお父さん」を演じるにはいささか若すぎる、その代わり、自分が第一で子供が第二の「未熟な父親」を演じるには、十分な説得力がある。
ロボットを「金儲けのためのスクラップ、ただ殴り合うだけの愚図な道具」としてしか見ていなかった彼が、息子の熱意に動かされている形で、次第にロボットに愛着を持つようになる成長ぶりの、心地よさといったら。「グレイテスト・ショーマン」で演じた父親像と比較してみても、面白い。
また、当時ウルヴァリンを演じていたジャックマンの身体は、背中の肉が厚く、がっしりとしていて、元ボクサーというバックグラウンドも、ATOMに技を教え込むシーンも、見ていて何ら違和感ない。
ロボットも個性豊かで、どれもが、非常にカッコいい。
ブリキのタロス、ローマ兵の甲冑風、全身に漢字を張り巡らした鎧武者、
どれもが、手に触れて、自分の手で操縦してみたくなる、
まるで「ワールド⭐︎レコーズ」でブラウン管の中のファイターたちの様に。
そして最後は、SFロボット大作というよりは、ロッキーへのオマージュと言える本作。これに燃えない人間は、ヒトじゃない。
以上、鉄人同士が地面に足をつけて殴り合うSF映画を、二つ紹介した。
ゼロ年代前半を明るく懐かしく振り返るもよし、殴り合いに滾るもよし、
使い方は自由だ、この週末にぜひ。
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