著者は長くインドを研究する経済学者で、近年「グローバル・サウス」と呼ばれる世界1位の人口と世界5位の経済力であるインドの入門書。インドの経済、社会、内政、国際関係などについて読みやすい文章でバランスよく網羅している。インドについては知らなかったことが多々あったので学ぶことが多い1冊。やはり20年ほど前の貧困大国のイメージとは大き変貌しており、国内の貧困や格差は残っているものの、様々な方面で世界に影響を及ぼしている姿が良く理解出来る。中国、ロシア、米国との外交の検証によると、中国とは国境問題で小競り合いが続いており、ロシアとは強い二国間関係が構築されており米国の比ではない。今後も独自の外交を続け近隣諸国と世界に益々大きな影響力を及ぼすことになると思われる。インドの強大化に伴い「チャイナ・ウォッチャー」ならぬ「インディア・ウォッチャー」の数もこれから増えていくのではないのだろうか。
目次
第1章 多様性のインド―世界最大の民主主義国家
第2章 モディ政権下のインド経済
第3章 経済の担い手―主要財閥、注目の産業
第4章 人口大国―若い人口構成、人材の宝庫
第5章 成長の陰に―貧困と格差、環境
第6章 インドの中立外交―中国、パキスタン、ロシア、米国とのはざまで
第7章 日印関係―現状と展望
以下、気になった個所の抜粋:
中国との外交関係(アルナチャル・プラデシュ州の重要性)
ブータンとの関係
ネパール・バングラディッシュとの関係
ロシアとの関係(ウクライナ戦争の影響)
米国との関係
アフガニスタンとの関係
(2024年2月29日)