マガジン

  • 総合診療トピックゼミ

    地域病院で診療を行うための診療ノート(メモ書き)です。

  • 症候別内科診察

    【講座の紹介】 この講座では、救急外来でよく出会う内科的な「訴え」について、どのようにアプローチしていくのかについて考えていきます。内科疾患については、そもそもに関連する情報量が膨大です。従ってこの講座では、救急外来での対応に的を絞って、必要最小限の知識をできるだけ広くカバーするとともに、今後学習するとっかかりになる構成を目指して作成しました。

  • 救急外来総論

    【講座の紹介】 この講座では、救急外来が何をするところなのかというテーマからスタートして、疾患に関わらず”どのように動けばよいのか”について紹介しています。患者の生命を守り、後遺症を回避することが命題の救急外来は、一般外来とは異なる順序、考え方での働きが求められます(一般外来では、問診もせずに治療を開始することはまずないでしょうが、救急外来ではあるあるです)。これを一緒に学習していくことができたら嬉しいです。(全5コマ)

  • 神経蘇生講座

    この講座では、脳卒中(出血性脳卒中として、脳出血やクモ膜下出血等、虚血性脳卒中として、脳梗塞)を疑う患者の対応について学習します。意識状態が悪い患者、手足の運動麻痺がある患者に対して、どのように診療を進めていくのかを、ISLSに準拠して紹介していきます。診療スピードが予後を分ける脳血管疾患について、また、多数のミミック(低血糖や大動脈解離を始めとする偽物脳卒中)が潜むこの分野について、いっしょに学んでいきましょう。(全4コマ)

  • 外傷初期診療講座

    この講座では、JATECに準拠して、外傷初期診療のエッセンスを学習します。生命に関わる可能性のある外傷を負った患者、また、複数部位に外傷を負った患者に対して、どのように診療を進めていくのかについて、そのプロセスを考え方と合わせて解説しています。外傷初期診療のコアを手早く学びたい方や、テキストを購入したものの、理解がいまいち進まない方の支えになれば幸いです。ぜひ一緒に学習しましょう。(全3コマ)

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Classroom of Practical Medicine

【心肺蘇生講座】この講座では、心停止患者に対応する蘇生のプロトコルとその下敷きとなっている考え方について学びます。ICLSやACLSでの学習内容に準拠して、どのように蘇生を進めるのかをお伝えするとともに、“ナゼ”このような対応をするのかという点まで深堀りができたらと考えています。蘇生を円滑に進めたい人、蘇生を理解したい人におすすめできる講座を念頭に作成しました。ぜひ一緒に学習しましょう。(全5コマ) 【外傷初期診療講座】この講座では、JATECに準拠して、外傷初期診療のエ

    • Day.46 ステロイドパルスの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

      <初めにおことわり> 今までの記事もいろんな書籍を参照して作成しておりますが、本記事はほとんど「研修医のためのステロイドの使い方のコツ」の情報を引用して、病棟で使いやすいように並べ替え等を行ったものです。 <ステロイドパルスの適応> ステロイドパルスは、免疫を強力に抑える一方で副作用も多い療法です。出番は下記等の疾患で重篤な病態を示すタイミングです。 ◇全身性エリテマトーデスのループス腎炎、中枢神経ループス ◇皮膚筋炎・多発筋炎 ◇膠原病による間質性肺炎 ◇血管炎 ◇重症

      • Day.45 関節リウマチの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

        <関節リウマチの診断基準>以下に米国・欧州リウマチ学会合同関節リウマチ分類基準を紹介する。 合計6点以上で関節リウマチの診断となる。 ◇罹患関節 0点:大関節(肩、肘、股、膝、足関節)1か所 1点:大関節2~10か所 2点:小関節(手指、足趾、手関節など)1~3か所 3点:小関節4~10か所 5点:小関節を含め、11か所以上 ◇血清学的検査 0点:リウマトイド因子陰性かつ抗CCP抗体陰性 2点:いずれかが低値陽性 3点:いずれかが高値陽性(正常上限の3倍越え) ◇急性

        • Day.44 開放創の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <はじめに> 猫咬傷をはじめとして、感染リスクに対して開放創としての管理を考慮する場合において創部の管理をどのように行うのかについてご紹介します。大原則は、中に感染性の物質(膿や膿瘍や)が溜まらないようにすることです。この大原則を踏まえて、実際にはいくつかの方法があります。 <プラン1.開放創での管理> 初診の段階で十分な洗浄を行い、開放創として管理。縫合せずに上皮化してくるのを待つ(10日くらい)。上皮化しきったら、創部がそのままで整容的にOKと患者さんが判断するなら、

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        • 総合診療トピックゼミ
          46本
        • 症候別内科診察
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        • 救急外来総論
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          Day.43 DICの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <DICとは何か>〇そもそも生理的(正常と言い換えてもよい)な状態にある人は、止血血栓(出血を止めるために血を固める)と、免疫血栓(感染に対して微生物を閉じ込めるために血栓を作る)を”局所的に”作る作用がある。 〇生体の侵襲に伴って、この止血血栓や免疫血栓が暴走し、病的に”全身に”できる病態がDIC(播種性血管内凝固症候群)である。 〇結果として、体中に邪魔な血栓ができると同時に、この血栓形成によって血小板や凝固因子を消費してしまい、必要なところで血が固まってくれなくな

          Day.43 DICの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.42 口唇ヘルペスの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <病態>◇単純ヘルペスウイルス1型(こちらがメイン)と、単純ヘルペスウイルス2型(こちらは、性器ヘルペスが多い)が原因となる。 ◇ストレス(発熱、過労、日光)が指摘となって、口唇周囲に水泡が認められる(痛い)。 ◇もともと持っているウイルスの再活性化による。 <診断>◇細胞診をすれば多核巨細胞や核内封入体が見られる。 ◇しかし実際は、問診と視診で診断する。 <対応>◇口唇ヘルペスでは原則、抗ヘルペスウイルス薬を内服or外用する。 〇アシクロビル 〇バラシクロビル 〇ビダ

          Day.42 口唇ヘルペスの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.41 機能性ディスペプシアの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <機能性ディスペプシアとは何か> 定義は、「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」。 <原則は除外診断だが……>-除外診断- 器質的疾患として少なくとも除外したいのは下記の通り ◇消化管潰瘍 ◇逆流性食道炎 ◇ピロリ感染 ◇悪性腫瘍 ◇膵炎(特に慢性) ◇胆道炎 ◇胆石発作  結果として、①血液検査(腫瘍マーカーやアミラーゼなど含む)や②CT、③上部消化管内視鏡を行うこと

          Day.41 機能性ディスペプシアの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.40 COVID-19の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          この診療メモは、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き10.1」からよく参照する部分をまとめたものです。 <重症度判定とマネジメント>◇軽症◇ 96%≦SpO2 呼吸器症状なく、肺炎所見を認めない。咳嗽はあってもOK →高リスクの場合のみ抗ウイルス薬(レムデシベル等) ◇中等症Ⅰ◇ 93%<SpO2≦96% 呼吸困難があり、肺炎所見を認める。 →抗ウイルス薬(レムデシベル等)を検討 ◇中等症Ⅱ◇ SpO2≦93%で酸素投与が必要 →酸素療法に加えて、レムデシベル

          Day.40 COVID-19の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.39 血小板減少の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <血小板減少の鑑別疾患>いろいろ調べましたが、HELP ME DICが覚えが良さそうです。 H: HUS(溶血性尿毒症症候群)、TTP(血小板減少性紫斑病) E: Ecla,psia(HELLP症候群) L: Liver cirrhosis(肝硬変) P: Prosthetic valve(人工弁による物理的な破壊) M: Marrow(骨髄関連の血液疾患、腫瘍) E: EDTA(偽性血小板減少) D: DIC/Drug(Drugについては、特にヘパリン起因性血小板減少症)

          Day.39 血小板減少の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.38 リウマチ性多発筋痛症の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <リウマチ性多発筋痛症を考えるとき>こんなときに上記疾患を早期します。 ◇50歳以上の発症(特に50歳台が多い) ◇朝のこわばりがある ◇頸部、肩関節、上腕、股関節から大腿部あたりの疼痛(特に肩関節) ◇赤沈が40mm/h以上(100超えると可能性がかなり高い) ◇CRPの上昇。 ◇ステロイドがとても良く効く <必要となる除外診断>◇関節リウマチ →RFや抗核抗体を確認する。リウマチ性多発筋痛症では、原則陰性となる。 ◇感染症 →血液培養を躊躇わない。 ◇悪性腫瘍 →年齢

          Day.38 リウマチ性多発筋痛症の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.37 咳喘息の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <咳喘息とは> 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上続き、聴診上wheezeを聴取せず、気管支拡張薬が有効なものとされています。就寝時、夜間や早朝に症状が強く、睡眠に支障が出ることもあります。また、喘息へ移行するものもあります。 <咳喘息への対応> 実際には、3週間を過ぎて急性咳嗽から慢性咳嗽へ区分が切り替わった段階で、8週間を待たずにICSによる診断的治療を開始します。  咳喘息に対する治療はICSが主薬であり、必要に応じてSABAやLABAを追加することになります。また、文

          Day.37 咳喘息の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.36 腫瘍マーカーの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <腫瘍マーカー☞臓器>AFP→肝臓がん、胚細胞性腫瘍 hCG→柔毛がん CA125→卵巣がん PSA→前立腺がん CA19-9→消化器がん CA15-3→乳がん、胃がん、肺がん、卵巣がんなど CEA→消化器がん、乳がんなど NSE→肺小細胞がん、神経内分泌腫瘍 SCC→扁平上皮癌 <臓器☞腫瘍マーカー>甲状腺がん:CEA 肺がん:CYFRA、CEA、ProGRP、NSE 食道がん:SCC、CEA 胃がん:CEA、CA19-9 大腸がん:CEA、CA19-9 肝臓がん(肝細

          Day.36 腫瘍マーカーの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.35 上部消化管内視鏡の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <胃ポリープの分類> 胃のポリープは、山田・福富の分類で記載するのが一般的です。 Ⅰ型:平滑隆起 ☞境界不鮮明でなだらかに立ち上がる。 Ⅱ型:無茎型 ☞起始部がはっきりしているが、くびれはない。 Ⅲ型:亜有茎型 ☞茎とまではいかないが、しっかりくびれている。 Ⅳ型:有茎型 ☞明らかに茎がある。 <逆流性食道炎の分類> 逆流性食道炎はロサンゼルス分類に従います。 Grade:N ☞内視鏡的な変化なし。 Grade:M ☞色調変化している。 Grade:A ☞5mm未満の粘膜

          Day.35 上部消化管内視鏡の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          2024年度 医療教育シミュレーションコース 救急科担当分 補助教材

          OSCE事前学習に対応して作成した補助教材です。 下記からPDFをダウンロードして、適宜学習に使用してください。 ダウンロードのエラーに備えて、JPEGでも添付します。 みなさまがCBT及びOSCEに無事合格されることを願っております。

          2024年度 医療教育シミュレーションコース 救急科担当分 補助教材

          Day.34 うつ病mimicの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <うつ病に類似した症状を示す内科疾患>◇甲状腺機能異常  甲状腺機能が低下すると、代謝が落ちてエネルギーの枯渇したような様子に見えるため、うつ病が頭をよぎったら、まず除外が必要な疾患です。採血でTSHやFT4の確認を行います。 ◇副腎不全  易疲労感がうつ病の症状に映ります。また、ホルモンの疾患なので、全身に様々な症状が出るため、不定愁訴?ということはメンタル?と思考が流れないようにご注意です。 ◇脳炎  脳炎でもうつ症状が出ることがあります。発熱や項部硬直が認め

          Day.34 うつ病mimicの診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          Day.33 パーキンソン病の診療メモ【総合診療トピックゼミ】

          <パーキンソン病を診断する>□診断基準□  厚生労働省の資料を見ると、パーキンソン病の診断についてこのように書かれている。 ◇以下の4項目を満たした場合をパーキンソン病と診断する。 1)パーキンソニズムがある 2)脳 CT 又は MRI に特異的異常がない。 3)パーキンソニズムを起こす薬物・毒物への曝露がない。 4)抗パーキンソン病薬にてパーキンソニズムに改善がみられる。  他の基準も存在するものの、非神経内科医にとって最もシンプルで使用しやすいのはこれであろう。

          Day.33 パーキンソン病の診療メモ【総合診療トピックゼミ】